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ホルン奏者の身体の使い方を科学的アプローチで研究している桜美林大学の平野剛先生。「音楽」=「芸術」というイメージが一般的ですが、「音楽」と「科学」を結びつけることでさまざまな可能性が広がる、と先生は指摘します。今回は平野先生の書かれた記事「ギネス級!ホルン演奏を科学する」に寄せられたコメントへの回答と、演奏者を科学することによって期待できる“音楽教育の未来”について、仙台フィルハーモニー管弦楽団ホルン奏者の溝根伸吾先生と対談していただきました。本連載ではその内容を6回にわたってお届けします。
連載
【研究者×プロ奏者対談】ホルン演奏を科学して”音楽教育の未来”を切り開く

ホルンの魅力とは

お二人のプロフィールと出会い

桜美林大学助教 平野剛氏

司会:まずは平野先生から。ホルン演奏の研究というのは珍しいと思うのですが、研究者になったきっかけを教えていただけますか?

 

平野:初めから「ホルン研究者になりたい」という夢があったわけではなく、ホルンと関わっていく中で導かれるようにして「ホルン研究者になった」という感じです。ホルンとの出会いは小学生のときで、中学生、高校生になってもホルンを楽しく演奏してきました。

転機が訪れたのは大学生のときです。所属していた大学のオーケストラでプロのホルン奏者から初めてレッスンを受けたときに「いままでのやり方だと、この先もずっと同じ音だよ。良い音を出したかったら正しいやり方を教わる必要があるよ」と言われて、私は強い衝撃をうけました。「正しいやり方ってなんだろう?」。これに対する納得のいく答えを捜し求めているうちに、いつの間にか研究者になっていました。

 

司会:なるほど。実際にプロ奏者のレッスンを受けているときに、どんなことを感じましたか?

 

平野:「呼吸はこのようにする」「構えはこのようにする」と具体的に説明してくれるのですが、指導する人によってその内容が違っていて、場合によっては全く逆のことを言われて大変困りました。ある時「こんなに違っていて良いのだろうか?誰か調べていないのか?」と思い学術論文を調べたのですが、科学的に検証されている事柄がほとんどなくて。がっかりを通り越して愕然としました。そんなことがあり、誰も研究していないなら自分が研究してみようと思い、大学院では身体運動科学を専門にしている研究室を選び、ホルン演奏の研究を始めました。

 

司会:続いて、溝根先生がプロ奏者になったきっかけを教えていただけますか?

仙台フィルハーモニー管弦楽団ホルン奏者 溝根伸吾氏

溝根:小学5年生のときに学校の課外クラブのオーケストラに入団したのがホルンとの出会いです。6年生では熱心な指導者の下で朝から晩まで練習漬けの日々でした。その後中学でも吹奏楽部でホルンを楽しく吹いていましたが、ピアノ教師の経験もあった母から「ずっとホルンを続けていくならプロの先生のレッスン受けてみたら?」と言われ、当時東京都交響楽団所属で日本ホルン協会初代会長でもあった伊藤泰世先生の指導を受けるようになりました。

高校もオーケストラが盛んな学校に進学しましたが、活動日が少なく物足りないと感じていました。そんな中、部活とは別にソロのコンクールに出場したところ、予選は通過したけれどその後思うような結果が出なかった。自分は上手いと思っていたのでそれが悔しくて、もっと演奏のレベルを上げたい、それならば音大に行こう、と思うようになりました。それがプロを目指したきっかけです。

 

司会:お二人とも小学生のときにホルンをはじめ、長い間ホルンを続けて来られたのですね。お二人はどのようにして出会ったのでしょうか?

 

平野:はじめての出会いは、私が大学院生でまだ研究をはじめたばかりのころでした。そのとき溝根先生は東京藝術大学の学生で、被験者として実験に参加いただいたのですが、無口な人だなぁというのが最初の印象でした。でも実験後に、ホルン研究に関するアイディアをたくさん語りはじめて、ホルン奏法や音楽教育に対して研究熱心な方だなぁと感じました。そのときは一度だけの出会いでしたが、後にプロ奏者になられたと聞いてコンタクトをとって再会しました。

 

溝根:はじめて平野先生の実験に参加したときは、どんな実験かよく知らないまま行ったのですが、実験室に着いたら顔中に計測器をペタペタ貼られて!それだけでテンションが上がってしまいました(笑)。「何これ、すごい研究!」と思ったのを覚えています。

 

平野:このときの実験が「ギネス級!?ホルン演奏を科学する」に書いたものです。

 

演奏は難しいが魅力的な楽器

司会:ホルンの魅力についてお聞かせください。

 

溝根:やはり音色でしょうか。1音で感動させられる深さがあり、いろんな楽器とも音が溶け合う。ソロでも良いけれどアンサンブル楽器としても優れていて、室内楽、ホルン同士など二人以上集まると響きが倍増します。木管楽器とも合うし、他の金管楽器や弦楽器とも溶け合う。いろんな楽器とつながりの持てる楽器だと思います。作曲家もそれをわかって曲を書いている。

 

平野:おっしゃる通りですね。またホルンは、きれいな音から荒々しい音まで表現の幅が広いことも魅力のひとつだと思います。同一の楽器で多くの音楽を表現できてしまう。音を外しやすい楽器とよく言われますが、作曲家は「ホルンには難しいだろうなぁ」と思うところでも「この旋律はホルンの音で聴きたい」と思って、敢えて音を書いている曲も少なくないと思います。演奏することは難しいけれども、魅力的な楽器とも言えますね。

(司会:ヤマハ音楽研究所)

 

「2.2014年掲載『ギネス級!?ホルン演奏を科学する』について」に続く(全6回連載予定)

 

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◇プロフィール

平野 剛(ひらの たけし)
桜美林大学 芸術文化学群 助教
専門:運動制御学、神経生理学、バイオメカニクス

URL:http://takeshi-hirano.com/

溝根伸吾(みぞねしんご)

東京藝術大学卒業及び同大学院修士課程修了仙台フィルハーモニー管弦楽団ホルン奏者

宮城学院女子大学非常勤講師

Twitter:@mizone_s

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