研究活動支援対象者の活動レポート

自己組織化写像を用いた脳認識された音声の抽出アルゴリズムの開発徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 西尾芳文 准教授 インタビュー2008年07月15日 取材

さまざまな状況下での脈波を測定して、データを解析

今回の研究は、頸動脈の脈の様子を超音波で測定し、その頸動脈波形のうちノイズの少ない30秒間分のデータを切り出して、シミュレーション実験を行なうという方法で進められました。また、被験者は学生3名で、「平常時」、「暑さを感じているとき」、「暑さを想像しているとき」、「特徴的な音楽を聴いているとき」の脈波を測定。それぞれ60秒の測定を、時間をあけて2度以上行ないました。

西尾: このシミュレーションデータは意識が散在していると黄色や赤色が多くなり、集中していると青色になります。実際に「暑いと感じているとき」のデータは、「平常時」と比べて青色が多くなりました。このデータからだけで判断するのは難しいですが、「暑い」という1つの感情に意識が比較的集中していたと推測されます。

次に「暑いと想像しているとき」のシミュレーションデータは、黄色や赤色が若干多くなり、「平常時」の測定結果と類似した傾向が見られました。現段階では、視覚、触覚など直接的な刺激を受けたときの生体信号と、言葉や状況をイメージしたときの生体信号との関連は見出せていませんが、両者を結びつける何かを見つけることができれば、言語を用いないコミュニケーションツールの開発も可能となります。

また、「特徴的な音楽を聴いているとき」の生体信号測定には、気分が高揚するようなロック音楽と、リラックスできるイージーリスニングを聴きながら測定する、という方法がとられました。

西尾: 各被験者とも、気分が高揚する曲を聴いているときは青い部分が多くなり、気分がリラックスする曲を聴いているときは、赤色や黄色の部分が多くなったことが分かりました。おそらく、音数の多いロック音楽が流れていると、その曲に聴き入ってしまうのではないでしょうか。逆に、リラックスする曲が流れていると、力が抜けた状態になり、色々と他のことを考えられるような状態になっているのではないかと推測できます。

今回は2種類の曲しか比較していませんが、今後はより多くのジャンルの楽曲に対して生体信号波形を測定し、さまざまな曲が生体信号に与える影響について調査を続けていきたいと思います。

Aさんの場合

激しい曲を聴いているとき

静かな曲を聴いているとき

  • 上がデータの埋め込み結果、下がSOMによるシミュレーション結果