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研究活動支援対象者の活動レポート

音楽認知に内在する身体・運動性に関する研究 -乳幼児の音知覚の発達を中心にして-国立情報学研究所情報社会相関研究系 丸山慎 特任研究員 インタビュー2010年02月24日 取材

国立情報学研究所情報社会相関研究系に所属し、認知心理学の中でも比較的新しい研究領域「生態心理学」について研究を進めておられる丸山慎特任研究員(以下、丸山研究員)。そんな丸山研究員の研究「音楽認知に内在する身体・運動性に関する研究 -乳幼児の音知覚の発達を中心にして-」が、2008年度研究活動支援の対象になりました。今回はその内容について、東京都文京区にある東京大学本郷キャンパスの一室で、丸山研究員と共同研究者の山崎寛恵氏にお話をお聞きしました。

知識に縛られない乳幼児が、身体的経験からどうやって音楽を認知するのか

人間や動物の認定活動について研究する「認知心理学」や、成長過程における変化を研究する「発達心理学」に、かねてより興味をお持ちだったという丸山研究員。近年は心理学において比較的新しい研究領域である「生態心理学」に打ち込んでおられます。人間が知識に縛られることなく、環境から情報を得て適応的に行動するメカニズムを研究する「生態心理学」において、経験や記憶の蓄積がまだ少ない乳幼児の発達は興味深い研究対象だといいます。

丸山慎 特任研究員

山崎寛恵 氏

丸山: 例えば今、腰掛けている物体を見たときに、私たちはそれを「イス」だと理解します。それは「イス」という名前や「座るもの」という特徴に関する知識を既に獲得しているからだと考えがちですが、まだ「イス」がどのようなモノなのかを知らない赤ちゃんだって、触ったり動かしてみたりしながら、身体を預けて支えることができるモノの性質を発見しているといえます。つまり、知識や経験が少ない赤ちゃんでも、身体が関わり合うことでその機能に気がつくのです。

頭の中ではなく、環境にあるものと直接触れ合うことで、赤ちゃんは育まれていく。そのプロセスが分かれば、「知識の獲得のみに限定されない知能の発達のプロセス」について解明できると考えたのです。

山崎: 0〜2歳の乳幼児は、ことばを理解する、話す最初期の段階でまだまだ発達の途上にあります。しかし、そのおかげで乳幼児は言語に制約されずに、これが何かということに影響されずに、いろんなこと行動を取ることができます。目の前で見たり聞いたりしているものに対して、素朴に関われる時期という意味で、観察するには適しているなと思っています。

同時に丸山研究員は、生態心理学に対する興味と音楽行動の発達に関する研究とを結び付け、「音楽のはじまりとは何なのか?」「身体がどのように音の意味を伝えるのか?」という音と人間の出会いについて、関心を寄せるようになったといいます。

丸山: 以前、指揮者の方々にご協力いただき、演奏時の腕や手の動きを解析してみたところ、私などからみると何気ない動きに見える運動も、実は細かなコントロールが行き届いていることがわかりました。指揮者の手腕の運動には楽曲固有の情報が込められていたというわけです。身体と音楽の結び付きについては多くの演奏家も理解していて、「音楽の基盤は身体」という認識を持っている方もいらっしゃいます。

それでは発達的にみて、どのようなことがきっかけになって身体と音楽は出会っていくのだろうか?ということが気になってきたのです。赤ちゃんが音に注意を向けたり、自らの身体を動かして音を出して遊んでみたり、といった日常的な経験と音楽的な行動の発達との関係を観ていくことができたら面白いテーマになるのでは、と思ったわけです。そこで赤ちゃんを集めて実験してみようということになりました。

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