研究活動支援対象者の活動レポート

文化的・身体的差異を超えた音楽経験の人類学的研究一橋大学大学院社会学研究科 古川優貴 特別研究員 インタビュー2012年11月27日 取材

ケニアの人々の音楽経験を知ってもらい、音楽のあり方に広がりを持たせる

古川研究員は今回の研究で、「ケニアのろうの子どもたちが、音がない状態でダンスができる」ことの社会的条件も明らかにすることができました。これは言い換えると、一定の条件が揃っていれば、ケニアのろうの子どもたちと同様にあらゆる人が音楽を楽しめるということです。

古川: まだ日本では、音楽経験は、練習を重ねて舞台で発表してという前提条件を考える方が一般的です。そうなると、お金がないから音楽を楽しめないのではないか、演奏ができないから音楽を楽しめないのではないか、という考えが先に来てしまいます。

しかし、このケニアでの事例は、約束事を学ぶことという音楽経験の前提条件を覆しました。日本の音楽教育に直接貢献できることはないかもしれませんが、まずは多くの方々にケニアの人々の音楽経験を知ってもらうことで、音楽のあり方に広がりを持たせることができると考えています。

古川優貴 研究員

また、古川研究員は、こうした事象を言葉だけで紹介することは難しいと感じています。そのため、静止画・動画を工夫しながら使い分けて、分かりやすい紹介方法を研鑽していく予定です。

古川: 文章・動画・静止画それぞれの利点を生かした紹介方法を開発し、さまざまな機会で、多くの方々に、ケニアの人々の音楽経験を知ってもらえるよう精進していきます。

今回の渡航・フィールドワークにより、音楽経験におけるさまざまな気づきを得た古川研究員。今後もさらに考察を深め、研究を深めていかれることを期待しています。

支援対象者プロフィール(取材時)

古川優貴 研究員

一橋大学大学院社会学研究科・特別研究員

支援対象研究

課題名
文化的・身体的差異を超えた音楽経験の人類学的研究
研究期間
平成23年4月~平成24年3月