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研究活動支援対象者の活動レポート

琉球列島における民謡の文化進化東京大学 理学部 井原泰雄 講師 インタビュー2016年10月19日 取材

1,342曲の琉球民謡を、さまざまな視点から分析

琉球民謡の分析にあたり用いた文献は、「日本民謡大観(沖縄・奄美)」(日本放送協会編 1989-1993)という全4巻の本です。この本に収録されている1,342曲の民謡の採譜資料を見て、「CantoCore」を用いて26項目を1曲ずつ評価。その結果を表計算ソフトに入力していき、琉球民謡のデータベースを構築しました。

西川:「CantoCore」により、リズムやピッチ、音節など26の構造特性を、それぞれ3~6段階で評価してコード化しました。次に、別の研究で使用されたアルゴリズムによって、民謡同士の相違度(民謡距離)を定量化。ここで算出した民謡距離を多次元尺度構成法(MDS)で分析し、すべての民謡を2次元の平面上に1つの点として位置付けていきました。事前の予測では、この点が地域ごと、もしくは方言グループ(奄美・沖縄・宮古・八重山・与那国)ごとに集団を作ると考えていたのですが、実際はそこまで明瞭な集団は見られませんでした。

一方、「日本民謡大観(沖縄・奄美)」では、全民謡を4つのジャンル(子どもとの関わり・儀礼/行事/祝い・仕事/作業・座興/遊び)に区分しています。この民謡のジャンルでそれぞれ民謡距離の点を見ていきますと、「子どもとの関わり」と「座興/遊び」の点は平面上で明瞭な集団を形成していました。

井原:また、あるグループから選んだ2曲が異なるグループから選んだ2曲よりも似ている場合、そのグループによる構造があるといいます。今回は、さまざまな違いがある琉球民謡が、方言グループや民謡ジャンルによって構造を持っているのかどうか、「AMOVA」という手法を用いて分析しました。結果、方言グループと民謡ジャンルのどちらにも有意な集団構造が検出されました。

さらに、グループ間の民謡の類似性についても分析をおこないました。通常、類似性を分析する際には系統樹のようなツリー構造で記述します。しかし、今回はあるグループが分岐したあとも、移住などでお互いに影響し合ってきた可能性があるため、ネットワークで記述しました。同時に、ツリー構造からどのくらい逸脱しているのかも分析しました。

井原:方言グループのネットワークでは、地理的分布とある程度合致しますが、奄美と宮古が隣接するなど、地理的な距離と合致しない部分も見られました。また、民謡ジャンルごとにおこなった分析では、ネットワークがジャンルごとに異なり、方言グループとの関連性もまちまちでした。

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