• LINEで送る

コンサート・コンクール 「ヤマハ・ガラ・コンサート2015」
指揮者・三ツ橋敬子インタビュー

2015.06.12
mitsuhashi_011

ヤマハ音楽振興会が展開する、音楽普及・教育活動の中から選ばれた出演者による祭典「ヤマハ・ガラ・コンサート2015」を、2015年6月6日(土)Bunkamuraオーチャードホール(東京都渋谷区)で、満員のお客様をお迎えし開催しました。コンサートには10組が出演。第1部ではピアノソロ、エレクトーンソロ、アンサンブル。第2部では、三ツ橋敬子氏指揮による東京フィルハーモニー交響楽団との共演と、多彩なプログラムが繰り広げられ、感動のステージとなりました。

終演後、三ツ橋さんに、共演した感想やご自身の子どもの頃の思い出、音楽を学ぶ子どもたちへのメッセージを語っていただきました。


コンサート会場

本日のコンサートで、若い二人の演奏家と共演されていかがでしたか

とても新鮮でした。『未来(あした)へ』という曲を作曲した須田彩貴咲さんには、どんな思いでこの曲を書いたのかたずねてみたんです。「最初は暗くて不安だけど、どんどん明るい気持ちになり、聴き終わった後は元気になっていてほしい」と話してくれたのが印象的でしたね。ラヴェルの『ピアノ協奏曲 ト長調』を弾いた佐久山修太さんは、決して簡単ではないオーケストラとの初共演にも、果敢に挑もうとするチャレンジ精神が伝わってきました。私もオーケストラも、2人が伸び伸びと演奏できるように、と意識しました。

mitsuhashi_03

三ツ橋さんご自身の、幼少期~学生時代の音楽の思い出をお聞かせください

私も5歳の頃からヤマハ音楽教室に通っていたんです。仲の良い友達が習っていて、ただ「同じことをしたかった」という理由でのスタートでしたが、音楽の全てが好きになりました。 強く印象に残っているのは、中学3年生のとき、ジュニアオリジナルコンサートの海外公演でイスラエルを訪問したこと。実は、当時は音楽家になるつもりはなく、法律にも興味を持っていました。けれど、異国での演奏会を経験し、音楽とは言葉が通じない人々とも心を通い合わせることができるものなのだと実感したんです。しかも、私の演奏に拍手を送ってくださった当時の首相が、数日後に反和平派に暗殺されてしまうという事件も目の当たりにし、強い衝撃を受けました。それを機に、「音楽は人の心に入り、人々をつなぐことができるのではないか」という思いが湧いてきて、音楽に一生を捧げようと決めたんです。

ヤマハに期待されることはありますか

私は今、ヨーロッパで暮らしていますが、子どもたちが楽器に触れて学ぶ機会を持つというのは簡単なことではないんですね。そうした他の国々に比べ、日本は楽器の普及率が高く、恵まれた環境だと感じます。音楽家を志すわけではなくても、小さな頃から音楽に触れ、楽しさを体験できるというのはすばらしいこと。ヤマハのシステムを通じて、音楽に気軽に触れられる機会を広く提供していただきたいと思います。

mitsuhashi_04

音楽を学んでいる子どもたちへ、メッセージをお願いします

教室でレッスンを受けていると、お友達と比べることもあるでしょう。自分のほうが上手だと優越感を持ったり、 劣等感や悔しさを感じることもあるのではないでしょうか。けれど、音楽を「競争」の材料にしてしまうのは、とても悲しいと思うのです。そもそも、音楽には「これが正しい」「こちらは間違い」などという評価は存在しません。 誰かと比較するのではなく、自分自身の素直な思いを大切にしてください。「いつかこの曲を弾きたい」「この作曲家をもっと深く知りたい」など、どんなことでも構いません。自分にとって何が大切なのかを知り、その思いを温めていれば、一生音楽を好きでいられる。音楽をかたわらに置いて生活する喜びを感じ続けられるでしょう。 また、たくさん課題をこなして演奏できる曲目を増やすだけでなく、その曲の背景にも目を向けてみてください。その曲を作った人はどこで生まれ、どんな言葉を話し、何を食べていたのか。その曲が生まれた時代、どんなことが起きていて、人々はどんな感情を抱いて生きていたのか…。音楽とは、文化や歴史とは切り離せないものであり、他の芸術ともつながっています。そうしたものに積極的に触れることで、新たな「感性の扉」が開いていきますよ。

【プロフィール】

profile Photo: Walter Garosi

三ツ橋敬子・指揮者

東京藝術大学大学院を修了。ウィーン国立音楽大学とキジアーナ音楽院に留学。
これまで小澤征爾、小林研一郎、G.ジェルメッティ、E.アッツェル、H=M.シュナイト、湯浅勇治、松尾葉子、高階正光の各氏に師事。2008年第10回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールにて日本人として初優勝。2010年第9回アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールにて女性初の受賞者として準優勝。併せて聴衆賞も獲得。13年第12回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。国内主要オーケストラをはじめ、海外のオーケストラへも多数客演を重ねている。2009年にはNewsweek Japan誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出。2015年1月、大阪交響楽団にて「カヴァッリーニ:ティンパニ協奏曲(世界初演)」を手掛け、好評を博した。現在ヴェネツィア在住。

「ヤマハ・ガラ・コンサート2015」のダイジェスト映像はWebサイトにて、7月上旬公開予定です。
「ヤマハ・ガラ・コンサート2015」出演者インタビュー記事はこちら>>> 須田 彩貴咲さん   佐久山  修太さん

ページの先頭へ