2017年3月30日(木)、ミュージックレストラン「ラ・ドンナ原宿」で、ヤマハ音楽振興会所属エレクトーンプレイヤーの尾野カオルプロデュースライブ「Electone Exclusive Live vol.2」が開催され、今回は同若手プレイヤーの中野正英を迎えた。
ステージには2台のエレクトーン(ELC-02とD-DECK)が並び、観客とほぼ対面するような形にセッティングされた。エレクトーンライブとしては新鮮なビジュアルだが、よりカジュアルに近くで音楽を楽しむには絶好のスタイルだろう。ゆったりとした客席でお酒やディナーを楽しみながら、それぞれのソロの魅力を思う存分堪能できるのだから、ファンにはたまらない。
まずは中野のステージ。パワフルでパンチの効いたサックスサウンドが華やかにオープニングを飾る。『アイ・ガット・リズム』は思わず顔がほころぶようなキュートなアレンジ。中野おなじみ『宇宙戦艦ヤマト』は駆け抜けるように颯爽と演奏。日本の故郷をイメージした『郷邑』は、パンフルートのシンプルなメロディーと美しい和声展開、終盤の高揚感が印象的。
最後に今回のためにアレンジしたという渾身の『スリラー』。エレクトーンで本物のEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)を表現することはなかなか難しいけれど、今回思い切ってアレンジに挑戦したと話し、エレクトーンのボーカル音色を軸に、ギラギラの中に中野らしい人なつっこさが盛り込まれたEDMアレンジを披露した。記念すべき初演を楽しんだ。
いつまでも色褪せないような色彩をもつサウンドと、キャッチーなメロディーでファンを飽きさせることなく7曲を弾ききり、尾野へとバトンタッチ。
続いて尾野のステージへ。メディアやショップなどでも使用されている代表曲『Liquid Sky』『Jazz Affect』の2曲で攻めスタート!尾野の持つ絶対的なグルーブ感が会場の手拍子を巻き起こし、早くもヒートアップ。続いて前回ライブでセルフカバーをしたという『Cool Vibes』は、ループするメロディーとコードがやみつきに。20代で作曲し、今回再び日の目を見た『Nobody But You…』。ゆったりと浮遊するエレクトリックピアノに酔いしれた。
最後は尾野ワールド全開『Quality Time』。サックスとエレクトリックピアノが交互に登場し、ふんだんに使ったボーカル音色が爽やかなアクセントとなる。
ファンにとっておなじみの曲はもちろん、今日のためのリメイク版や、これまでライブではめったに演奏されることのなかった曲など盛りだくさんで披露。まさにここでしか聴くことができない貴重なプログラムだ。
鳴り止まぬ拍手に応え、やっと2人揃って登場!尾野のライブではおなじみ、青ボディのD-DECKも使い、アンコールは2人で『TOMBO IN 7/8』。尾野がエレクトリックピアノをスタンドプレーで、中野がブラス&サックスを担当し、それぞれのアドリブはもちろん、サンバのリズムに乗せた情熱的なサビは、プレイヤー、観客共に今ライブ最高にハッピーな瞬間だっただろう。 意外にも同じステージに2人だけで立つことは初めてだという。偶然か狙ってか、お揃いの「可愛い」靴下で登場し、2人の仲の良さがうかがえた。
文:菊地友夏