卒業生編

かつてJOCに出演、学んだ頃の皆さんの
エピソードをご紹介♪

長谷川 亜樹さん
インタビュー(はせがわ あき)サントリーホール 企画制作部 副部長/プログラミング・ディレクター

6歳から15歳まで毎年JOCに参加し「JOC in TOKYO」など多数のコンサートに出演。
現在は、サントリーホール プログラミング・ディレクターとして主に音楽の教育普及プログラムの企画・制作に携わっている長谷川亜樹さんに、JOCでの思い出などお話を伺いました。

― ヤマハ音楽教室にはいつから通われていたのでしょうか。

ピアノをやりたいと自分から言ったようで、4歳から幼児科に通わせてもらいました。幼稚園の頃なのではっきりとは覚えていませんが、最寄り駅から送迎バスにお友達と乗って通うことや、みんなでワイワイとやるグループレッスンが楽しかったと記憶しています。小学生からはジュニア専門コースで学び、ヤマハの課題やおさらいをした後は自分で気の向くままにピアノを弾くのが日課でしたね。

― JOCで最初に創った曲はどんな曲でしたか?

初めて参加したのは小学1年生で、『クローバーのくびかざり』という曲でした。NHKの「みんなのうた」が大好きでしたので、今思えば『おもいでのアルバム』という歌にインスパイアされたのでしょう、なぜかいきなり6/8拍子で、楽譜の書き方がわからず困った思い出があります(笑)。3年生のときには、いわさきちひろさんの絵をモチーフに『木かげでおしゃべり』というワルツを創り、初めて埼玉エリアコンサートに出演させていただきました。始めはピアノを専攻していましたが、5年生からは音色がたくさん選べて面白そうだと、エレクトーンで作曲するようになり、卒業作品まで毎年参加していました。

はじめてのJOC作品発表会にて(小1)

― JOCやヤマハ音楽教室での思い出は?

共演者としてですが、JOCのTV番組の収録に参加させていただいたことが、初めての体験でしたのでとても新鮮で楽しかったですね。合歓の郷に全国から子どもたちが集まる春休みの合宿では、初めての遠征で全国の優秀な人たちに刺激を受け、とても楽しい時間を過ごしました。また、「JOC in TOKYO」の大きなステージにも立たせていただきました。
どんなときもグループレッスンで一緒だった仲間と励ましあいながら、レッスンやコンサートに臨んでいました。

「JOC in TOKYO」(1994年)でJOC最後のソロ演奏

― 現在、サントリーホールでプログラミング・ディレクターというお仕事をされていますが、どういったお仕事なのでしょうか。

音楽の教育普及プログラムの企画から制作までを行うことが主な仕事で、3~6歳の幼児を対象に美術ワークショップとコンサートを組み合わせた「サントリーアートキッズクラブ いろいろドレドレ」というプログラムや、若手音楽家のための「サントリーホール オペラ・アカデミー」などを担当しています。

― お仕事に就かれたきっかけなど、教えてください。

JOCではとても優秀な方たちが身近にたくさんいましたので、自分が演奏家の道に進むというのはもともと考えていませんでしたし、曲創りも嫌いではありませんでしたが、プロフェッショナルを目指す覚悟があるかと言われれば自信もなくて。高校時代に進路に迷っていたときに、「音楽学」という音楽を研究する学問があると知り、曲の知識や背景を学べば自分の演奏にも深みが出るのかなという興味から、東京藝術大学の楽理科に進学しました。けれども授業の一環としてレクチャーコンサートの制作に関わったり、海外のアーティストを招く音楽祭のスタッフを経験したりする中で、コンサートを通して音楽の楽しさを伝えることに、自分の興味がシフトしていったんです。そこでアートマネジメント専攻の大学院に進学し、座学だけでなくインターンやアルバイトなどで現場経験を積むことで、より一層音楽の教育普及に対してやりがいや意義を感じ、現在の仕事に就くことになりました。

教育普及プログラム「いろいろドレドレ」で、子どもたちと接する長谷川さん
(写真提供:サントリーホール)

― 今のお仕事に、JOCやヤマハ音楽教室での経験が生きていることはありますか?

自分がJOCで学んでいたときに多くの方にサポートしていただいた経験があるからこそ、教育普及の仕事にやりがいを感じるのだと思います。今になって、あのとききめ細やかにサポートしてくださった先生方やスタッフの皆さまのありがたみが身に染みています。
具体的なところでは、サントリーホールのある東京都港区とのプロジェクトで、区内の小学校の音楽の授業にアカデミー生を派遣した際、簡単な歌の伴奏譜を書き起こして自らピアノ伴奏をしました。他にも譜めくりや、舞台袖でスコアを見ながらのキュー出し、あるいは絶対音感を頼られる(笑)など、ヤマハで学んだスキルはさまざまな場面でとても役に立っています。

― ヤマハ音楽教室で学ぶ子どもたちへ、メッセージをお願いします。

ヤマハでは音楽そのものを学べるだけでなく、グループレッスンではコミュニケーション力が、アンサンブルではチームワークを育む力が身に付くと思います。また、曲を創ることで、自分で考えてものを生み出す力はもちろん、いろいろなところに点在する“曲創りのきっかけ”を感じ取るインスピレーションや想像力も磨かれるはずです。これらはどんな仕事でも役立つスキルになると思いますので、音楽のプロになる・ならないではなく、音楽が大好きという原点を忘れずに、自分に合った形でぜひ長く続けていっていただければうれしいです。

プロフィール
埼玉県出身。幼児科を経て、ジュニア専門コースに進む。並行して小学3年生からヤマハ音楽院ジュニアコース(現・ジュニア創作研究コース/ヤマハ目黒センター)に学び、研鑽を積む。6歳から15歳まで毎年JOCに参加し、「JOC in TOKYO」など多数のコンサートに出演した。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。同大学院ではアートマネジメントを専攻。現在、サントリーホール プログラミング・ディレクターとして主に音楽の教育普及プログラムの企画・制作に携わっている。