ヤマハジュニアオリジナルコンサート50周年記念サイト

卒業生編

かつてJOCに出演、学んだ頃の皆さんの
エピソードをご紹介♪

墨岡俊治さん
インタビュー（すみおかしゅんじ）公認会計士

JOCでは中部エリアコンサートや、ユニセフチャリティコンサートなど多数出演。現在は、公認会計士として活躍されている墨岡俊治さんに、JOCでの思い出や、多忙なお仕事の傍ら、趣味としてピアノを楽しまれている様子などを伺いました。

― ヤマハ音楽教室に通い始めたきっかけは？

実は母の姉である伯母がヤマハ音楽教室で講師をしていまして、4歳ごろからその伯母のもとに通い始めました。母も音楽好きでしたから、小さいころからいろいろな音楽を聴かせてくれて、最初に好きになった曲はドヴォルザークの『新世界』。寝るときにレコードをかけてもらったり、小学生になるとスコアを見ながら聴いたりしていました。幸いにも音感に恵まれていたのか、『新世界』以外でも、聴いた曲をピアノで弾いて再現できることをとても面白く感じていました。

― JOCで最初に創った曲を覚えていますか？

コンサートに出たのは小学校2年生の時でした。母が当時の演奏をカセットテープに録音してくれていたので見返したところ、初めて創った曲はそれよりも前で、4歳の時。『ひとりぼっち』というタイトルでした。実は作曲はあまり得意ではなく、毎回苦しみながら創った記憶しかないんですよ（笑）。でも好きだったオーケストラで使われている楽器とのアンサンブルを書くことにこだわっていて、管楽器や弦楽器との共演をたくさん経験させてもらいました。あまり器用なほうではなく、ピアノもそんなに達者ではなかったと自覚していたので、プロの共演者とステージに立てるのは心強くもあったんですよね。

現在も大切に保管されている、当時の演奏を録音したカセットテープ

― JOCでの思い出を教えてください。

小学校6年生のときに中部エリアのコンサートに出演しました。自分の演奏よりも何よりも、そのとき出演していた同じ歳の渡辺睦樹さんの『コミカル・トレイン』の演奏に衝撃を受けたんです。自分とは全然モノが違う、なんてすごい人だろうと。
同じ年に共演者としてユニセフチャリティコンサートにも出演させてもらったのですが、そのときは1歳下の横山幸雄さんが出演していて、こちらもまたものすごい衝撃を受けました。舞台袖から見ていて「こういう人を天才というんだな」と、圧倒されたことをよく覚えています。

1982年JOC中部大会出演時（ピアノが墨岡さん）

― 今は公認会計士のお仕事をされていますが、どのようなきっかけで進まれたのでしょうか。

JOCを卒業したあともピアノは続けていましたし、オーケストラ好きが高じて指揮者に憧れた時期もあったんですが、渡辺さんや横山さんの演奏で受けた衝撃を考えると、自分が音楽の道に進むのは違うのかな、と。税理士だった父から公認会計士の道を勧められ、大学進学を機に挑戦してみることにしたんです。

― 公認会計士というのはどのようなお仕事なのでしょうか。
また、JOCでの経験が役に立っていると感じることはありますか？

たとえば株を売り買いする人が必要とする決算書、これがきちんと作られているかを第三者として監査することがひとつの役割です。決算書を作る仕組みである内部統制を評価することなども私たちの仕事ですね。
仕事をしている中で、何かに取りかかるときには全体像を俯瞰して考えることが多いのですが、これは作曲をするときに構成を頭に思い浮かべることにとても似ています。パーツをつなぎ合わせるように考えることもするんですが、モチーフを展開させることで培った能力なのかと自己分析しています。
それから、大勢の人の前でプレゼンをする機会も多いのですが、これがピアノを演奏するときとまさに同じ感覚。どこでどういうテンションで話すか、聴かせるところはどこなのか……プレゼンもひとつのパフォーマンスですから、子どものころに大きな舞台で演奏経験をさせてもらったことが、非常に生きていると感じます。逆に、当時と同じ規模のステージで演奏しろと今言われても、身体が震えてしまって無理でしょうけれども（笑）。

― ヤマハ音楽教室で学ぶ子どもたちへ、メッセージをお願いします。

私の話になりますが、仕事が多忙で休んではいたものの、30代半ばから子どもが習い始めたのを機にまたピアノを弾き始めたんです。そのとき、大好きなベートーヴェンのピアノソナタ全曲（32曲）をいつか弾き切りたいと目標を立てて、ずっと続けています。不思議なもので、習っていたときより指が動く気がしていて。音楽って、やっぱり楽しむことが大事なんだと実感しています。
余談にもなりますが、子どもが師事したピアノの先生の関係で何十年ぶりかで横山幸雄さんと再会を果たし、レッスンをしていただける機会にも恵まれました。練習が嫌だと思うこともあるかもしれませんが、続けていると思わぬ形で返ってくることもあるのが音楽です。出会いもどこでまた縁をつなぐかわかりません。ぜひ、音楽教室での学び、出会いを大切に過ごしていってほしいと思います。

プロフィール: 静岡県浜松市出身。伯母である椙山知子先生に幼児科から師事。音楽好きの母の影響もあり、幼少期からクラシック音楽に親しみ、ベートーヴェンやマーラーに傾倒。4歳の頃から作曲を始め、JOCには2年生から参加。中部エリアコンサートや、ユニセフチャリティコンサートなど、多数のコンサートに出演した。現在は、公認会計士として有限責任監査法人トーマツに在籍。多忙の傍ら、ベートーヴェンのピアノソナタ全曲制覇を目標に邁進中。