辰本幸子さん
インタビュー(たつもとゆきこ)産婦人科医
ジュニアオリジナルコンサート(JOC)に10歳で応募したピアノソロ曲『ソナチネ』が評価され、合歓コンサート’88に出演。その後ドイツ、スイス、インドネシアでも演奏を披露した経験を持つ辰本幸子さん。現在は広島市内で産婦人科医として活躍されています。ヤマハで学んだこと、音楽と向き合った時間が、今のお仕事に生きているところもあるとのこと。お話をうかがいました。
かつてJOCに出演、学んだ頃の皆さんの
エピソードをご紹介♪
ジュニアオリジナルコンサート(JOC)に10歳で応募したピアノソロ曲『ソナチネ』が評価され、合歓コンサート’88に出演。その後ドイツ、スイス、インドネシアでも演奏を披露した経験を持つ辰本幸子さん。現在は広島市内で産婦人科医として活躍されています。ヤマハで学んだこと、音楽と向き合った時間が、今のお仕事に生きているところもあるとのこと。お話をうかがいました。
ジュニアオリジナルコンサート(JOC)に10歳で応募したピアノソロ曲『ソナチネ』が評価され、合歓コンサート’88に出演。その後ドイツ、スイス、インドネシアでも演奏を披露した経験を持つ辰本幸子さん。現在は広島市内で産婦人科医として活躍されています。ヤマハで学んだこと、音楽と向き合った時間が、今のお仕事に生きているところもあるとのこと。お話をうかがいました。
おそらく幼稚園の年長だったと思います。姉が先に通っていて、くっついて行っていたのと自分も習っているのと、区別がよくつかないくらい、自然に始めていました。アンサンブルのレッスンのときに、みんなできれいに弾けるとものすごく気持ちが良かったことを覚えています。子どものときですから明確なビジョンがあったということでもないのですが、理想の音楽が頭に浮かんでいて。きれいに弾くための練習は、いくらでも没頭してできるタイプでした。
曲名が思い出せないんですが、メロディは覚えています。短調でした。クラシック系の、特にバッハやモーツァルトといった型にかっちりとはまった古典的な音楽が好きで、10歳のときにオリジナルの2曲目として作った『ソナチネ』も形式的な音楽。その『ソナチネ』で、合歓やドイツ、スイス、インドネシアで演奏する機会をいただきました。
海外に初めて連れていっていただくなど、いろいろな経験をさせてもらいましたが、同年代の出演者の皆さんが、海外でも臆せずステージに立っていたことが一番印象に残っているんです。JOCは即興演奏がありましたが、実は私はちょっと苦手で。皆さんが喜々として課題に取り組まれていたのを、すごいなぁと感じていました。私も弾く練習は何時間でもできたんですが……(苦笑)。
それから、海外派遣の時や住んでいた広島から東京にレッスンに行く時などスタッフの方のお世話になったんですが、大人の方との接し方も、全然できてはいなかったと思いますが、良い時期に勉強させていただいたと感じますね。
中学のときに、音楽の道に進むかどうか、考えるタイミングがあったんです。それまで音楽が濃密にあって当たり前の毎日でしたが、音楽以外のことを全くやっていなかった。少し他に目を向けてみてもいいかと考えました。そこでいきなりお医者さんになりたいと思ったわけではないんですが、まずは勉強をしてみようと。やるからにはこれまでたくさんお世話になった先生や周りの方に申し訳なくないよう、全力でやらなければと思ったんです。
その後大学を選ぶ時に、“この学部なら職業はこれ”とはっきりしているところに行きたい、資格も取れるところがいい、それで選んだのが医学部です。
時々、ピアノに向かってバッハの『インベンション』や『ソナチネ』などを身体と脳が覚えている範囲で弾いて、「あ、まだいけるな」と確認する程度ですが、良い気分転換になっています。
ゆっくり音楽を聴く時間というのはなかなか取れないんですが、テレビから流れてくる音楽に、昔アナリーゼの講座で教えていただいた手法が使われていたりするのを聴き取ると、にやりとしてしまいますね。こういうのも、音楽の経験が生きていると言うんでしょうか(笑)。
手術をする前に1、2秒呼吸を整えるというか、一瞬止まって集中する時間を作るんですが、これが本番で鍵盤に指を置いて弾き始めるあの緊張の瞬間と同じ感覚なんです。手術中の没頭する感覚も、ピアノを弾いているときに通じるものがあります。手術中の集中力や没頭感も、ピアノの練習で培われた部分は大きいと思います。
音楽の道には進まなかった私の立場から、どんな道に行っても教室や音楽の経験は役に立つとお伝えしたいですね。音楽からシフトチェンジして、勉強も決してラクではありませんでしたが、ピアノを毎日3時間も4時間も弾いていたから、頑張れる忍耐力・集中力が付いたと思っています。私は周りに圧倒されてしまった部分もありましたが、とにかく楽しんで音楽をやってほしいと願っています。