ON-KEN SCOPE 音楽×研究ON-KEN SCOPE 音楽×研究 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope Thu, 21 May 2020 08:45:39 0 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.12 音楽で身体の動きが変わる https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/kawasesatoshi3_chapter3/ Wed, 13 May 2020 15:36:10 0 河瀬 諭(かわせ さとし) 神戸学院大学心理学部准教授/ヤマハ音楽研究所研究員/感性アナリティカ 代表 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=6020

ある曲に合わせるとダンスしやすい。テンポのよい曲を聴いていたらジョギングのピッチがあがった―。音楽を聴いているときに、いつもより身体を動かしやすくなった経験はないでしょうか。今回は、音楽が身体の動きといかにつながっているかをみていきましょう。

音楽の特徴と身体の動き

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音楽によって本当に身体の動きは変わるのでしょうか?ダンスや体操で色々な曲に合わせて身体を動かしてみると、ぴったりマッチしているときもあれば、なんとなく違和感があるときもあります。流れている音楽によって実際に身体の動きが異なることは、いろいろな曲に合わせて自由に踊ってもらった研究でも実証されています。

フィンランドでの研究では、音楽の様々な音響的な特徴(音楽に含まれる周波数成分やビートの明確さなど)と、踊っているときの動きをとらえたモーションキャプチャのデータがどのように関連しているか調べられました。その結果、例えば、ビートがはっきりしていることと身体の重心の移動速度の関連や、バスドラムやベースに代表される低周波成分と頭部の動きなどとの関連がみられました※1。ほかにも、実験室内をクラブのようにして、バスドラムの音の大小を変化させた研究では、バスドラムの音が大きくなると頭やお尻の動きも大きくなったことが観察されています※2。つまり、たしかに音楽によって身体の動きが変化するのです。

 

いわゆるダンスミュージックでは低音が強調されることもありますが、ヒット曲に含まれる低音成分が、この60年でだんだん大きくなってきているという研究もあります※3。エルビス・プレスリーやジャスティン・ビーバーなどを含む1955-2016年のヒット曲を分析した結果、時代を経るごとに曲の音が大きくなっており、とくに低音成分が強くなっていたのです。人がより踊れる曲を好むようになったのかもしれないと、この研究は考察しています。

 

音楽によって身体の動きが変化すること、そして、身体を動かすのに適切な音楽が存在する可能性は、身体の動きと音楽の関係に注目した現実場面にも活かされています。われわれは、運動生化学の先生方、日本エアロビック連盟の方々、プロの作曲家とともに、ゆっくりとしたエアロビック(スローエアロビック)に伴う、グルーヴィな踊りやすい音楽を監修しました※4。身体を動かすための音楽にこれまでの科学的研究の成果を詰め込んだわけです。このように、音楽と動きのコラボレーションをめぐる知見は、実際の活動に恩恵をもたらしてくれるのです。

運動や療法における音楽の役割

音楽やリズムが身体の動きに影響することを利用して運動などをサポートする試みも多くあります。アスリートが音楽を聴きながら身体を動かしている姿をよく目にしますが、音楽が運動時の様々なパフォーマンスに影響することは多くの研究で報告されています※5。運動前の音楽聴取の影響もありますが、今回は運動中に聴く音楽にフォーカスした研究をご紹介します。

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ランニング中に聴く音楽のテンポと1分間あたりの歩数を調べた研究では、ランナーにはわからないくらいの微妙なテンポの変化さえ、ランナーの歩数に影響していました※6。この研究では、成人のランナーが800m走を12セット、自分の好きなペースで、1人で走るよう教示されました。そして、走っているときにかける音楽のテンポを本人にはわからない程度に速く/遅くし、そのときの1分あたりの歩数が計測されました。すると、音楽のテンポを上げると歩数が増え、遅くすると歩数が減っていたのです。こうした結果を活かせば、音楽は、運動をスムーズにさせて健康増進につなげるだけでなく、ケガの予防にも役立つかもしれません。

療法分野でも、身体の動きに関する音楽やリズムが応用されています。パーキンソン病などを対象にした研究では、メトロノームや音楽などで歩幅や歩く速度の改善が報告されています※7。音楽は脳卒中での歩行や腕のリハビリテーションなどに影響していることも調べられています※8

 

下の動画は、音楽が有るときと無いときのパーキンソン病の方の動きの違いです※9。音楽が動きに影響していることが如実にみてとれるのではないでしょうか。

 

以上のいろいろな研究からもうかがえるように、音楽を聴くと身体を動かしたくなるだけでなく、実際の身体の動きにも影響します。のみならず、音楽やリズムをうまく用いれば、ダンスやエクササイズなどとの相乗効果も期待できる可能性に満ちているのです。

 

次回は、音楽に合わせて他の人と一緒に動くことによって、人の心理がどう影響されるのかをお話しします。

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  • ※1 Burger, B., Thompson, M. R., Luck, G., Saarikallio, S., & Toiviainen, P. (2013). Influences of rhythm-and timbre-related musical features on characteristics of music-induced movement. Frontiers in psychology, 4, 183.
  • ※2 Van Dyck, E., Moelants, D., Demey, M., Deweppe, A., Coussement, P., & Leman, M. (2013). The impact of the bass drum on human dance movement. Music Perception: An Interdisciplinary Journal, 30(4), 349-359.
  • ※3 Hove, M. J., Vuust, P., & Stupacher, J. (2019). Increased levels of bass in popular music recordings 1955–2016 and their relation to loudness. The Journal of the Acoustical Society of America, 145(4), 2247-2253.
  • ※4 征矢英昭 (2019). 1日10分! 脳フィットネスを高める スローエアロビック – DVD付き NHK出版.
  • ※5 Karageorghis, C. I., & Priest, D. L. (2012). Music in the exercise domain: a review and synthesis (Part I). International review of sport and exercise psychology, 5(1), 44-66.
  • ※6 Van Dyck, E., Moens, B., Buhmann, J., Demey, M., Coorevits, E., Dalla Bella, S., & Leman, M. (2015). Spontaneous entrainment of running cadence to music tempo. Sports medicine-open, 1(1), 15.
  • ※7 Nombela, C., Hughes, L. E., Owen, A. M., & Grahn, J. A. (2013). Into the groove: can rhythm influence Parkinson’s disease?. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 37(10), 2564-2570.
  • ※8 Thaut, M. H., & McIntosh, G. C. (2014). Neurologic music therapy in stroke rehabilitation. Current Physical Medicine and Rehabilitation Reports, 2(2), 106-113.
  • ※9 TEDx Talks (2013, May 30). Music on the Brain: Jessica Grahn at TEDxWaterloo 2013. Retrieved from https://www.youtube.com/watch?v=u1vlTI0EsPk
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赤ちゃんの音声発達 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/mugitaniryouko2_chapter1/ Sun, 15 Mar 2020 15:17:25 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5668 宇宙から考える、地球の平和や未来のこと https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/sajiharuo1_chapter3/ Mon, 27 Jan 2020 17:53:29 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5623 グルーヴとは何か https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/kawasesatoshi3_chapter2/ Mon, 20 Jan 2020 14:49:40 0 河瀬 諭(かわせ さとし) 大阪大学大学院人間科学研究科 招へい研究員/ヤマハ音楽研究所研究員/感性アナリティカ 代表 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5613

「グルーヴ」という言葉を耳にされたことはありますか。われわれの調査によれば、日本語の「ノリ」に近い用語で、日本では2000年代からより広く使われるようになりました※1

今回はこのグルーヴから、音楽と身体の動きのつながりを掘り下げましょう。

グルーヴの意味

グルーヴという言葉は、音楽シーンのみならず日常的にもいろいろな意味で使われています。音楽知覚・認知の研究では、音楽を聴いて身体を動かしたくなる感覚という定義が多くみられます※2。グルーヴ感の程度について、さまざまな曲を評定した研究では、最もグルーヴ感があるとされた曲はスティービー・ワンダーの「Superstition」(「迷信」)でした※3。また、グルーヴという言葉自体は、音楽ジャンルとある程度結びついているようです。とくに、ジャズやファンク、ソウル、ロックなどで用いられています※4

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グルーヴの特徴の一つに、身体を動かしたくなる感覚と同時に“楽しさ”を呼びおこす点があります。先ほどのSuperstitionなどの曲を使った研究では、グルーヴがあると評価された曲ほど楽しさの評価も高かったのです ※3。ドラムのリズムパターンを使った実験でも同様に、身体を動かしたくなる感覚と楽しさは関係していました※5※6。楽しくてつい踊りだしたくなるというありがちな経験も、グルーヴの研究によって明らかにされているのです。

これらのグルーヴの研究は、ヨーロッパやオセアニア、アフリカ、日本など、さまざまな地域の人を対象にしています。事実、身体を動かしたくなる感覚を表す言葉は世界各地にあるようです。日本ならノリ、ブラジルではbalanço、スイスはlüpfigなどが、グルーヴに近い言葉だといわれています※7。つまり、グルーヴは地域や人種を問わず、広く人の感覚や行動にかかわっているのです。

 

しかし、日本語のノリとグルーヴが全く同じわけではないように※5、リズムのとらえ方や定義の仕方には文化差があります。したがって、これからのグルーヴの研究では、多様性を考えることも重要になるでしょう。

グルーヴをもたらす音楽の特徴

どのような音楽的要素でグルーヴが起こるのかも研究されています。シンコペーションの度合いがその一例です。シンコペーション度を変えた50種類のドラムのリズムパターンとグルーヴとの関係を調べた研究では、中程度のシンコペーションでもっともグルーヴが感じられていました※6

グルーヴをもたらす音楽的・音響的要素としては、ほかにも、はっきりしたビートや、単位時間あたりの音の数の多さ ※8、低い音(低周波成分)が多く含まれることなどが指摘されています※9。また、グルーヴをもたらす最適テンポの存在も、われわれの研究で示されました。ドラムパターンを使ったこの聴取実験では、8ビートではおよそ125BPM、16ビートでは110BPMあたりのテンポで最もグルーヴが高いと推測されました※5

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ほかにも、楽器どうし(例:ドラムとベース)のわずかなずれや、楽譜からのミリ秒単位のずれも、グルーヴを起こす要素とみなされることもあります。しかし、このような微妙なずれは、グルーヴに効果あり/ほとんどなしと研究結果が割れています※4, ※10, ※11。謎もまだ多いからこそ、グルーヴの研究はおもしろく奥が深いのでしょう。

 

グルーヴィな音楽をどう生み出すか、あるいはどのように身体を動かしたくなる音楽を現場で活用するか。この悩みは、音楽だけでなく、エクササイズやダンスに携わる方も抱えていらっしゃるかもしれません。グルーヴの研究はその解決の糸口になりえますし、現場のみなさんとコラボレーションしたグルーヴの知見が今後も期待されます。

 

次回は、実際に音楽が身体の動きをどう変えるかということと、運動や療法への音楽の応用についてお話しします。

 

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  • ※1 Kawase, S., & Eguchi, K. (2010). The concepts and acoustical characteristics of ‘groove’ in Japan. PopScriptum11, 1–45.
  • ※2 Madison, G. (2006). Experiencing groove induced by music: consistency and phenomenology. Music Perception: An Interdisciplinary Journal24(2), 201–208.
  • ※3 Janata, P., Tomic, S. T., & Haberman, J. M. (2012). Sensorimotor coupling in music and the psychology of the groove. Journal of Experimental Psychology: General141(1), 54–75.
  • ※4 Kilchenmann, L., & Senn, O. (2015). Microtiming in swing and funk affects the body movement behavior of music expert listeners. Frontiers in psychology6, 1232.
  • ※5 Etani, T., Marui, A., Kawase, S., & Keller, P. E. (2018). Optimal tempo for groove: Its relation to directions of body movement and Japanese nori. Frontiers in psychology9, 462.
  • ※6 Witek, M. A., Clarke, E. F., Wallentin, M., Kringelbach, M. L., & Vuust, P. (2014). Syncopation, body-movement and pleasure in groove music. PloS one9(4), e94446.
  • ※7 Senn, O., Rose, D., Bechtold, T. A., Kilchenmann, L., Hoesl, F., Jerjen, R., Baldassarre A, & Alessandri, E. (2019). Preliminaries to a psychological model of musical groove. Frontiers in Psychology, 10, 1228.
  • ※8 Madison, G., Gouyon, F., Ullén, F., & Hörnström, K. (2011). Modeling the tendency for music to induce movement in humans: First correlations with low-level audio descriptors across music genres. Journal of experimental psychology: human perception and performance37(5), 1578–1594.
  • ※9 Stupacher, J., Hove, M. J., & Janata, P. (2016). Audio features underlying perceived groove and sensorimotor synchronization in music. Music Perception: An Interdisciplinary Journal33(5), 571–589.
  • ※10 Butterfield, M. (2010). Participatory discrepancies and the perception of beats in jazz. Music Perception: An Interdisciplinary Journal27(3), 157–176.
  • ※11 Frühauf, J., Kopiez, R., & Platz, F. (2013). Music on the timing grid: The influence of microtiming on the perceived groove quality of a simple drum pattern performance. Musicae Scientiae, 17(2), 246–260.
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家庭で子どもの創造力を伸ばすには https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/ishidonanako1_chapter3/ Mon, 23 Dec 2019 17:52:20 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5353 バッハをのせて旅する 宇宙探査機ボイジャー https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/sajiharuo1_chapter2/ Fri, 20 Dec 2019 10:19:28 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5402 研究への思い https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/maruyamashin5_chapter3/ Thu, 12 Dec 2019 14:24:30 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5449 音楽と身体の動きの基礎 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/kawasesatoshi3_chapter1/ Tue, 10 Dec 2019 18:03:04 0 河瀬 諭(かわせ さとし) 大阪大学大学院人間科学研究科 招へい研究員/ヤマハ音楽研究所研究員/感性アナリティカ 代表 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5539

音楽を聴いていて、ウキウキ踊りだしそうになったり、思わず頭や指先を動かしたことはありませんか。このような音楽と身体の動きの結びつきは、古代の舞踊から、船漕ぎ歌、ダンスミュージックにいたるまで古今東西広くみられます。ダンスやエクササイズ、リハビリなどの教育や療法でも、音楽に期待される役割は高まっています。全4回のこのシリーズでは、音楽と身体の動きをめぐる科学的な研究から、両者の関係をみていきましょう。

音楽と身体の動きの深い結びつき

音楽と身体の動きの関係は、どれほど一般的なものなのでしょうか。最近の研究では、自分で音楽に合わせて動けない赤ちゃんの頃でさえ、リズムと身体の動きには密接な関係があるとわかってきました。

 

ある実験では、7ヶ月の赤ちゃん16人が曖昧なリズムを聴きながら、2拍子または3拍子に合わせて身体を動かされました※1。その後、2拍子または3拍子でアクセントのついたリズムを流し、赤ちゃんがどちらの拍子を好むか(好みの指標はどちらをより長い時間見るか)を調べました。すると、赤ちゃんは自分が動いた拍子をより好んだのです。

さらにこの研究では、赤ちゃんが動いている人を見ただけでは、このような好みの違いは出ませんでした。つまり、赤ちゃん自身が動くことが重要だったのです。

 

この結果をふだんの生活にあてはめれば、子守唄などに合わせて赤ちゃんを揺することとリズムの知覚には密接な関係があるといえそうです。拍子の知覚は、ダンスなどで音楽に合わせて身体を動かすための基本です。だからこそ、保護者が何気なく歌い揺すってあやす行為は、実は子どものリズムの感じ方に大きな意味をもつのかもしれません。

 

人以外の動物にも、音楽と身体の動きの関係が観察されています。スノーボールという名前のオウムが、バックストリート・ボーイズの曲に合わせてリズミカルに踊っている様子を分析した研究が代表例です※2

※動画はこちらでご覧いただけます(「Supplemental Data」にてダウンロードしてください)。

 

この実験では、音楽のテンポを変えても、スノーボールはちゃんと拍に合わせて踊れていました。いいかえれば、ただ覚えこんだ動きをしているわけではなかったのです。

 

この結果で注目すべきなのは、音楽はメロディやリズムが含まれた複雑な刺激にもかかわらず、動物が音楽から拍(ビート)を知覚し、それに合わせて動けた点にあります。スノーボールは、ダンスのレパートリーも豊富で、シンディー・ローパーやクイーンの曲に合わせてノリノリで踊る動画でも楽しませてくれます※3

 

 

音楽に合わせて身体を動かす能力はアシカにもあるようです。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの曲に合わせて、ロナンというアシカが頭を振っている実験が一例です※4。音楽に合わせて動くという能力は、人ならではのものではなく、実は多くの動物が持っているのかもしれません。

 

 

このような赤ちゃんや動物の研究は、音楽と身体の動きの生物学的つながりを示しています。そして、われわれの進化や音楽の起源を考えるうえで、様々なヒントを投げかけているのです。

音楽に合わせるのが苦手な人もいる

音楽と体の動きが結びついているといっても、音楽に合わせて動くのが苦手な方もいらっしゃるでしょう。事実、ポーランドの大学生99人が音楽に合わせて指をタップした実験では、約10%の人が音楽に合わせてうまくタップできませんでした※5。ADHDの人の中には、音楽に合わせて動くのが苦手な人がいるという報告もあります※6

 

音楽に合わせて動きにくい人を調べた研究では、ほかの人が音楽に合わせて動くのを見ても、それが音楽に合っているか判断しにくい傾向もみられました※7

 

つまり、音楽を使ったダンスや運動のときに先生が動いてお手本を示しても、そもそも動きと音楽が合っているかわかりにくい人もいるかもしれないのです。この研究では、音楽と動きが関連しにくいのは先天的なものかもしれないと指摘されています※7

 

したがって、ダンスや運動などに携わるみなさんには、やる気などとは関係なく、音楽に体の動きを合わせるのが苦手な人が一定数いることを、ぜひ心にとめていただければと思います。

 

次回は、どのような音楽が体を動かしたくなる感覚を生み出すかについて、「グルーヴ」とよばれる感覚を中心にお話しします。

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  • ※1 Phillips-Silver, J., & Trainor, L. J. (2005). Feeling the beat: movement influences infant rhythm perception. Science, 308(5727), 1430-1430.
  • ※2 Patel, A. D., Iversen, J. R., Bregman, M. R., & Schulz, I. (2009). Experimental evidence for synchronization to a musical beat in a nonhuman animal. Current biology, 19(10), 827-830.
  • ※3 Keehn, R. J. J., Iversen, J. R., Schulz, I., & Patel, A. D. (2019). Spontaneity and diversity of movement to music are not uniquely human. Current Biology, 29(13), R621-R622.
  • ※4 Cook, P., Rouse, A., Wilson, M., & Reichmuth, C. (2013). A California sea lion (Zalophus californianus) can keep the beat: motor entrainment to rhythmic auditory stimuli in a non vocal mimic. Journal of Comparative Psychology, 127(4), 412-427.
  • ※5 Sowiński, J., & Dalla Bella, S. (2013). Poor synchronization to the beat may result from deficient auditory-motor mapping. Neuropsychologia, 51(10), 1952-1963.
  • ※6 Puyjarinet, F., Bégel, V., Lopez, R., Dellacherie, D., & Dalla Bella, S. (2017). Children and adults with Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder cannot move to the beat. Scientific reports, 7, 11550.
  • ※7 Phillips-Silver, J., Toiviainen, P., Gosselin, N., Piché, O., Nozaradan, S., Palmer, C., & Peretz, I. (2011). Born to dance but beat deaf: a new form of congenital amusia. Neuropsychologia, 49(5), 961-969.
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脳の一番の栄養は、お父さん・お母さんの言葉 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/katotoshinori1_chapter6/ Wed, 06 Nov 2019 08:51:32 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5518 子どもの創造力を育むワークショップ https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/ishidonanako1_chapter2/ Fri, 25 Oct 2019 12:00:48 0 https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/?p=5328