活動リポート:垣内 響太(ヴァイオリン)
2025年度、2026年度の支援対象者で、現在ベルリン芸術大学に在籍の垣内響太さんにお話しを伺いました。
現在勉強していること
現在、私はベルリン芸術大学にて、ヴァイオリン専攻の学士課程に在籍し、ノラ・チャステイン教授のもとで研鑽を積んでいます。加えて、室内楽では、ヴィネタ・サレイカ教授、グレゴール・ジーグル教授の指導を受けています。お二人からは音楽的な視野やアンサンブルに対する考え方において、大きな影響を受けています。また、2026 年 3 月よりベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)アカデミーに所属しています。シュターツカペレ・ベルリンは、450 年以上の歴史があるベルリンを代表する世界最高峰のオーケストラの一つであり、その環境の中で実践的に音楽を学べることは、私にとって非常に貴重な経験となっています。現在は、大学での学びと、プロの現場での実践的な経験の両方が、私の音楽形成の核となっています。優れた教授陣のもとで学びながら、同時に高いレベルの現場で演奏することで、技術面だけでなく、音楽的な柔軟性やアンサンブル能力、そして音楽そのものへの理解を日々深めています。
ベルリン芸術大学の校舎
ベルリン芸術大学交響楽団のコンサートマスターとして出演
ベルリン芸術大学交響楽団のコンサートマスターとして出演
音楽を始めたきっかけ
私にとって音楽は、とても幼い頃から身近な存在でした。母はピアニストであり、父もヴァイオリンを弾いていたため、家庭の中には常にクラシック音楽がありました。また祖父母も音楽を愛しており、自然とその環境の中で育ちました。2 歳のとき、祖父母から小さなヴァイオリンをプレゼントされたことが、私の音楽人生の始まりです。すでに両親の影響で楽器の存在は知っており、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタなどの録音を聴くことが大好きでした。そのため、自然と楽器を手に取り、音楽への道を歩み始めました。初期の指導は父から受け、その後は地元の先生のもとで本格的にレッスンを重ねていきました。そして数年後、メニューイン音楽院に入学する機会を得たことが、大きな転機となりました。この経験を通して、音楽を職業として本格的に目指すという意識が強く芽生えたと思います。振り返ると、最初はとても自然で遊びの延長のようだった音楽との関係が、次第に深く、そして明確な目標を持ったものへと変化していきました。
ウィグモアホールのデビュー後ロビーで友人たちと
佐渡裕氏との共演
これまでで最も印象に残っている出来事
一つの出来事に絞るのは難しいですが、メニューイン音楽院に入学したばかりの頃の経験は、今でも強く印象に残っています。当時、私は 10 歳で、すでにメンデルスゾーンやブルッフの協奏曲、パガニーニのカプリースなど、難易度の高い作品を演奏していました。しかし実際には、基礎が十分に身についているとは言えない状態でした。イギリスに渡って最初に先生から言われたのは、「まず、弓の持ち方などを一から学びましょうね」という言葉でした。それまで演奏していたレパートリーから離れ、基礎的な練習を長期間続けることになり、当時は大きな戸惑いとフラストレーションを感じていました。しかし今振り返ると、この時期こそが、現在の自分の演奏を支える最も重要な土台になっています。この経験を通して、基礎の大切さ、そして長い時間をかけて積み重ねていくことの重要性を学びました。一見すると華やかなエピソードではありませんが、私にとっては非常に大きな意味を持つ、大切な経験です。
メニューイン音楽院の校舎
冬のメニューイン音楽院
今後の目標
8歳の頃からの目標であるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団への入団は、今も変わらず私の大きな目標です。この目標は、日々の努力の原動力となっています。現在はベルリン国立歌劇場管弦楽団の一員として、ベルリン国立歌劇場で定期的に演奏する機会をいただいています。オペラの現場での経験は、音楽の捉え方やアンサンブルの感覚、そして音色やフレージングの幅を大きく広げてくれています。これはソロや室内楽の演奏にも大きく活かされています。
ベルリン国立劇場の正面エントランスロビー
松林太郎氏(P)と共演(宗次ホール)
趣味で作ったお寿司
今後は、まずオペラというジャンルをさらに深く探求しながら、自身の音楽性をより一層高めていきたいと考えています。また、オーケストラ活動と並行して、室内楽も私にとって非常に重要な存在です。現在、「ヴァリオン弦楽四重奏団」と「クアドフォニックス」という2つのアンサンブルで活動しており、どちらも信頼する仲間たちと築いている大切なグループです。これらの活動を通して、国際的に認知されるアンサンブルへと成長させていくことも目標の一つです。
最終的には、オーケストラと室内楽の両方において充実したキャリアを築きながら、音楽を通して多くの人と深い時間を共有していける演奏家でありたいと願っています。
「クアドフォニックス」としてイギリスでのデビュー公演
「ヴァリオン弦楽四重奏団」での曲の分析
垣内 響太(KYOTA KAKIUCHI)さんプロフィール
2003年生まれ
2013年 メニューイン音楽院に英国政府奨学生として入学し、小野明子氏に師事
2019年 第12回グリュミオー国際ヴァイオリンコンクール優勝
優勝記念として、15歳でウィグモアホールにてデビュー
2021年 妹の垣内絵実梨とヴァイオリンデュオとして宗次ホールにてデビュー、
その後は「EMIRI & KYOTA Violin DUO」として本格的に演奏活動を始めた
ベルリン芸術大学に入学し、現在までノラ・チャステイン、ヴィネタ・サレイカ、グレゴール・ ジーグル、日本では漆原啓子の各氏に師事
2022年 第23回ヨハン・セバスティアン・バッハ国際コンクールにて、クリスタ・バッハ=マーシャル 財団賞受賞
2023年 「GIFU•KANO国際音楽祭2023」を自らプロデュースし、ベルリンフィルのメンバーなど と共演を重ね、大きな注目を集めた
2024年より「クアドフォニックス」に所属、メニューインホールでのイギリスデビューや、日本でもツアーを開催している
2025年より「ヴァリオン弦楽四重奏団」に所属、第5回宗次ホール弦楽四重奏コンクール優勝
および聴衆賞受賞、第10回アリス・ザムター財団室内楽コンクール優勝
2026年より「ベルリン国立歌劇場管弦楽団」(シュターツカペレ・ベルリン/音楽監督=クリステ ィアン・ティーレマン)のアカデミーに所属
- 垣内 響太(ヴァイオリン)
- 小嶋 早恵(ピアノ)
- 松本 拓也(ファゴット)
- 児玉 隼人(トランペット)
- 古澤 香理(ヴァイオリン)
- 今井 理子(ピアノ)
- 竹本 百合子(ヴァイオリン)
- 山影 頼楓(ヴァイオリン)
- 大谷 恵理架(クラシックギター)
- 水野 魁政(ピアノ)
- 郡司 菜月(ヴァイオリン)
- 嘉屋 翔太(ピアノ)
- 水越 菜生(ヴァイオリン)
- 森本 隼太(ピアノ)
- 平井 菜々子(ハープ)
- 島方 瞭(ヴァイオリン)
- 佐藤 桂菜(チェロ)
- 片岡 友紀(クラリネット)
- 井上 陽南子(ピアノ)
- 宇野 由樹子(ヴァイオリン)
- 森田 啓佑(チェロ)
- 荒井 里桜(ヴァイオリン)
- 柴田 花音(チェロ)
- 藤原 秀章(チェロ)
- 新田 吏央(マリンバ)