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コンサート・コンクール エレクトーンと奏でるフルート協奏曲の夕べ

2017.11.13
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日本を代表するフルート奏者として国内外で活躍する工藤重典氏と、オペラの伴奏やオーケストラとの共演、後進への指導など幅広い活動で定評のあるエレクトーン奏者の赤塚博美氏による「エレクトーンと奏でるフルート協奏曲の夕べ」が、2017年11月2日(木)ヤマハホール(東京都中央区)で開かれた。二人の初共演となるこの日、さまざまな時代に生まれた名曲のコレクションと協奏曲による充実した構成で、エレクトーンとフルートの新しい可能性を見せた。

第1部の幕開けは、バッハ『管弦楽組曲第2番 BWV1067』。1曲目の『ポロネーズ』はチェンバロとストリングスのハーモニーに工藤のフルートが重なり、清廉なバロックのスタイルを描いて冒頭から観客の心を掴む。フルートの速いパッセージが特徴の『バディネリ』でも生き生きと呼吸の合ったアンサンブルを聴かせた。

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マイクを手に取った工藤が「今日はこれまで進化を続けてきたエレクトーンという素晴らしい楽器とのコンサートをお届けします」と笑顔で語り、観客を和ませる。フルートはマイクを通さずに生音で、エレクトーンは舞台後方に設置したスピーカーから音が出ていることも紹介された。

2曲目のモーツァルト『フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調 Kv.315』はゆったりと歌うような優美なメロディが特徴だ。厚みのあるストリングスや歯切れの良いピチカートなど、曲の構成に応じて変化するエレクトーンも心地よく響いた。

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続いて、マスネ『タイスの瞑想曲』、ビゼー『アルルの女 第2組曲より メヌエット』。フルートの定番とも言えるこうした有名曲をじっくり聴けるのも、このコンサートならではの魅力だろう。生き生きと歌うような工藤のフルートと、ハープやストリングス、立体感のあるオーケストラサウンドなどさまざまな音色を使った赤塚の豊かなエレクトーンによって、それぞれの曲の持つ魅力を存分に味わえた。

第1部のラストは、ドップラー『ハンガリー田園幻想曲 Op.26』。哀愁を帯びたフルートのメロディに呼応するようにオーケストラの音色が溶け合い、まさに幻想的な美しさを見せてくれる。長調の明るいメロディが登場する中間部では、木管楽器をはじめとする各楽器の絶妙な音量バランスによってドラマティックに奏でられるエレクトーンの確かな存在感が印象に残った。

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休憩をはさみ第2部は、サン=サーンス『ロマンス Op.37』から。「日頃はピアノの伴奏に合わせる機会が多いのですが、さまざまな音色や低音のペダルなどを活用した赤塚さんのエレクトーンと合わせてみて、新たな発見ができました」という工藤のコメントによって、演奏への期待がいっそう高まる。ストリングスを中心としたエレクトーンの繊細なハーモニーがフルートの優美なメロディを引き立て、転調をくり返しながら美しさが増して行く展開で観客を大いに魅了した。

ラストを飾るのは、イベール『フルート協奏曲』。生き生きと躍るような16分音符の細かいパッセージが印象的な第1楽章、ストリングスのハーモニーの中にしっとりとしたメロディが響く第2楽章と息の合った演奏が続く。第3楽章はスピーディーなフレーズが連なる前半から、近現代の作品ならではのダークなハーモニーの中間部へ。超絶なテクニックを駆使したフルートのカデンツァに心地よい緊張が高まる。終盤に再びテーマのメロディが登場、華やかでキレの良いエンディングに客席からは「ブラボー!」の声が上がる。

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大きな拍手と歓声に応えてのアンコールはフォーレ『シシリエンヌ』。さらにリムスキー=コルサコフ『熊蜂の飛行』ではエネルギッシュな「競演」でさらに会場を沸かせ、大盛況のうちに幕を閉じた。

文:森 真奈美
写真:武藤 章

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