ヤマハ音楽教室でのノウハウを元に、ヤマハ音楽振興会が幼稚園・保育園向けに開発を進めてきた音楽プログラム「おと♪はぐ」。ヤマハ音楽教室講師による生演奏やICTを活用した音楽鑑賞、子どもたちの主体的な活動を通して創造性を育む内容など、多彩な構成となっています。2019年10月には、同年8月にヤマハ株式会社が設立したヤマハ事業所内保育園「おとのいえ」でスタートしました。「おと♪はぐ」開発に至った経緯をご紹介します。
ヤマハ音楽教室のノウハウを活かした音楽プログラムを作れないだろうか
ヤマハ音楽教室は、感性が育つ大事な乳幼児の時期に子どもたちにクオリティの高い本物の音楽を届けたいと考えていますが、共働き家庭が増え、教室に通いたくても通えない人たちがいる現実を何とかしたいというのが開発のきっかけでした。一方、幼稚園や保育園でも子どもたちが歌を歌う場面はたくさんありますが、保育士さんは音楽のプロではないため園での発表会の伴奏練習などが負担になっているという声も耳にしました。より多くの子どもたちに音楽の楽しさに触れる機会を届けたい、そのためにヤマハ音楽教室のノウハウを活かしたプログラムを園で展開できないだろうか?と考えました。
音楽を真ん中に置いたさまざまな活動をとおして非認知能力を育む
「おと♪はぐ」では「音楽を通して身につけてほしい5つの力」として「きく力」「想像力」「表現力」「つながる力」「学びに向かう力」を掲げ、今幼児教育の世界で注目されている「非認知能力」の育成をテーマに開発を開始しました。この点が「音楽力」を身につけることを目的としている音楽教室のコンセプトとは大きく異なります。0~5歳の年齢ごとに、経験豊かなヤマハ音楽教室講師との制作チームを組織し、過去の豊富な音源や映像からのリバイバルのほか、新たにオリジナルのアプリや映像などヤマハ音楽教室ならではの要素を盛り込みつつ制作を進めています。またiPadを使ってプログラムを展開するという今までのヤマハ音楽教室にない手法のため、子どもたちの反応がいったいどうなるのか想像するのが難しく、手探りで進めました。
「ヤマハがある日は保育園を休みたくないので事前に予定を教えて欲しい」など嬉しい声も
ヤマハ音楽教室の未就学児のレッスンは保護者が同伴していますが、園では保護者がいないため鑑賞の場面でちゃんと音楽を聴いてくれるのか?収拾がつかない状態になるのではないか?と心配でしたが、始まってみると子どもたちの集中力の高さに驚かされることばかりです。まだ発語が難しい0~1歳児も、音楽が始まると耳を傾けて集中する様子が見られます。保育士との意見交換では「普段の生活で子どもたちからヤマハの歌を歌いたいという声があった」「保護者の方から『ヤマハがある日は保育園を休みたくないので、事前に予定を教えて欲しい』と言われた」など、嬉しい声を多数寄せていただいています。
将来的にはこのプログラムを全国規模で展開することを目指しています。