研究活動支援対象者の活動レポート

音楽が身体表現の動作特性に与える教育・芸術学的意義お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 水村真由美 准教授 インタビュー2011年06月28日 取材

お茶の水女子大学大学院・人間文化創成科学研究科で、身体運動を外側から見たときの動き・メカニズムなどを解析するバイオメカニクスや、内側で起きる筋肉など反応を研究する運動生理学をはじめとする、身体運動科学を専門領域にされている水村真由美准教授(以下、水村准教授)。そんな水村准教授の研究「音楽が身体表現の動作特性に与える教育・芸術学的意義」が、2010年度研究活動支援の対象になりました。今回は、その内容について、東京都文京区にあるお茶の水女子大学で水村准教授にお話をお聞きしました。

ダンスにおける身体的な動きと音楽との関係性に着眼

お茶の水女子大学の芸術・表現行動学科にも在籍し、身体に関わる自然科学系分野について指導にあたられ、体育教員育成にも関わる水村准教授。もともとこちらの学部のご出身であることや、ご自身がクラシックバレエを長く続けてこられた経験から、スポーツ科学からダンスを研究するという活動を進めておられました。そして、ダンスにおける身体的な動きの研究を進めるうちに、今回の研究テーマにも着眼したといいます。

水村真由美 准教授

水村: 私自身20年近くクラシックバレエを続けてきた経験から、音楽とダンスの関係性は深いということに気が付いていました。実際に、自分がダンスをしているときには、ダンスの練習と同じくらい音楽を聴いていたほどです。

ただ、これまで独自に進めていたダンスの研究では、身体的な動きだけに注目するために、あえて被験者には音楽を聴かせないようにすることがほとんどでした。音楽を入れてしまうと、動作が音楽の影響を多分に受けてしまうという理由から、そうしていたのですが、これは、ダンスの本質的にはとても不自然なことだったと思います。そこで、今回は、これまで避けていた部分を、逆に主題として研究し、感覚的に分かっていたことをデータ化して客観的に分かる形にしようと考えたのです。

ただ、ダンスを科学の視点からとらえた研究テーマは、これまでに同様の研究例がほとんどなく、なかなか研究費を集めにくい状況があったといいます。そうした中、NPO「芸術家のくすりばこ」での社会的活動を通じて、2006年度のヤマハ音楽支援制度支援対象者である宇都宮大学工学部の酒井直隆教授との親交を深めたことが、「ヤマハ音楽支援制度」への応募のきっかけとなったそうです。

水村: 酒井先生のこれまでの研究を拝見していたときに、こちらの支援制度を知りました。Webサイトの情報から、芸術分野を科学の視点で研究することについて支援してくださる貴重な制度だということで、応募しました。