ヤマハエレクトーンコンクール最高位受賞コンビ、寺島怜志さん&川上天馬さんの「てらしまてんま」。フリーアナウンサー川口満里奈さん、エレクトーンデモンストレーター安達香織さんによる弾き語りデュオ「tina&tino」。そしてジャズピアニストとしても活躍中の武本和大さん、サックスの篠嶋祐希さん、ドラムの多田涼馬さんからなるジャズトリオ「武本&篠嶋&多田トリオ」。サックスの篠嶋さんも含めて幼い頃からヤマハ音楽教室で学んできた同世代の仲間たちが、「せっかくエレクトーン誕生60周年の年にユニット活動を始めるのだから、エレクトーンで学んできたことへの感謝も込めて何か面白いことをやりたい」と企画したのが、この「SHOWCASE 3units from Play on Passion」。2019年8月2日(金)、ヤマハ銀座スタジオ(東京都中央区)は豪華な3ユニットの共演を見逃すまいと、多くの観客か詰めかけ早々に満席。ワクワクの高揚感が会場いっぱいに広がりました。
SHOWCASEの名の通り、まずは3ユニットのお披露目から。最初に登場したのは「てらしまてんま」。さすが実力派コンビ、卓抜のテクニックと、エレクトーンだからこそできる、デジタルな表現を駆使したナンバーが飛び出します。観客も手だけでなく足まで使ったリズム打ちで参加するなど、一緒にその音楽を体感しました。
「tina&tino」は結成10年以上、中学生の頃から弾き語りデュオで新鮮なエレクトーンの楽しみ方を魅せてくれています。この日はオリジナル曲のほか、坂本真綾さんの『Gift』などで溶け合うような心地よいハーモニーを聴かせてくれました。
「武本&篠嶋&多田トリオ」はその場、その時にしか生まれないジャズの楽しさを見せてくれます。武本さんが仕掛け、それに篠嶋さんと多田さんが反応。互いの音の出方を楽しみ、武本さんも鍵盤に指を走り回らせてどんどん盛り上がっていく様子からは目が離せませんでした。
途中、特技披露コーナーを挟んで(ちなみにドラム多田さんがエレクトーンのキーボードパーカッションで激しいドラムプレイ、川口さんは本職を生かしたニュース読み、川上さんはケン玉! と意外性もあり)、ユニットの枠を超えたランダムな組み合わせでのスペシャルプログラムへ。
川上さんがYECで1位を獲得した際の演奏曲『Overcome』は、サックス篠嶋さんとのデュオでプレイ。疾走感たっぷりのデジタルフュージョン、濃厚なアドリブバトルも繰り広げられていきました。チック・コリアの『God a match?』は、ライブメンバーから「3人の匠」と呼ばれる、武本さん、寺島さん、ドラム多田さんの顔合わせ。武本さんのショルダーキーボードを操っての演奏は、より一層自由度を増して変化し続けていき大興奮。ラスト、全員での『SUN』で拍手が止まらないほどの熱狂となれば、もちろんアンコールも。みんなが知っている『Isn’t she lovely』も彼ら7人の手にかかると一味違ったアレンジに。バウンスするリズムと気心の知れた仲間同士でしか作ることができないアドリブが楽しい時間をめいっぱいまで盛り上げ、外の猛暑に負けない熱気に包まれて終演となりました。
ヤマハ音楽教室を巣立ち、さまざまな道で活躍しているメンバーたち。どんな道でもエレクトーンで培ったものは大きいと語り、揺るぎない基盤が培われていることを感じました。ユニットの演奏に加え、この日限りの顔合わせでの演奏にも全力投球、本人たちも心から楽しんでいる姿が印象的でした。ヤマハが行う、プレイヤーによる人気のコンサートシリーズ「Play On Passion」に、この3ユニットが新たに参加します。全国で展開されますので、そちらでの活躍も、期待しましょう!
[Photo by 溝口元海]