活動リポート:古市 沙羅(ヴィオラ)

古市 沙羅

2026年度の支援対象者で、現在、ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンの修士課程に在籍している古市沙羅さんにお話を伺いました。

現在勉強していること

ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンの修士課程に在籍し、Annemarie Moorcroft先生のもとでヴィオラを学んでいます。また、2026年9月からは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のKarajan Akademieに在籍しています。
ドイツで学ぶ中で大きな刺激となっているのは、さまざまな国やバックグラウンドを持つ音楽家と演奏できることです。大学では学生同士だけでなく、教授陣と室内楽を演奏する機会もあり、同じ作品でも共演する人によって音楽の作り方や考え方が大きく変わることを日々実感しています。
オーケストラでも新しい発見の連続です。ベルリン・フィルでは、音楽の基本を大切にしながらも、「そんなことをしてもいいんだ」と驚かされるような自由さがあります。一人一人が自分のアイデアを持って音楽を作っていく環境から多くの刺激を受けています。

先生ご夫妻と門下生たちとのゼメスター終わりの小さいパーティー

先生ご夫妻と門下生たちとのゼメスター終わりの小さいパーティー

学校の近くのお気に入りの場所

学校の近くのお気に入りの場所

音楽を始めたきっかけ

3歳の頃、音楽好きの両親のもと、近所の友人に誘われたことをきっかけにヴァイオリンを始めました。それ以来、不思議と辞めたいと思ったことはありません。高校2年生の時、磯村和英先生のもとでヴィオラを始めました。当初はヴィオラ奏者を目指していたわけではなく、「自分の可能性を広げたい」という思いからでした。その後、室内楽でヴィオラを担当する機会が増え、次第にソロ作品にも本格的に取り組むようになりました。大学ではヴァイオリンを主専攻、ヴィオラを副専攻として、二つの楽器を並行して学びました。先生方の温かいご指導とご支援のおかげで卒業まで続けることができ、この経験は現在の自分にとって大切な土台となっています。

Leipzigでのコンサート後の打ち上げ

Leipzigでのコンサート後の打ち上げ

学校のコンサートで演奏したピアノカルテットのメンバーと

学校のコンサートで演奏したピアノカルテットのメンバーと

印象に残った経験、影響を受けた音楽家

大学を卒業する頃まで、自分が海外で学ぶことになるとは思ってもみませんでした。初めてドイツを訪れたのは、ARDミュンヘン国際音楽コンクールに参加した時です。世界にはこれほど多くの素晴らしい奏者がいて、それぞれが全く異なる音楽を持っていることに大きな衝撃を受けました。
Tabea Zimmermann先生のマスタークラスを受講したことも、忘れられない経験です。テクニックから音楽の作り方まで、それまでの自分とは大きく異なる考え方に触れ、何よりその圧倒的な音楽性に強く惹かれました。
私にとって、室内楽も大切な学びの場です。大学時代から同世代の素晴らしい音楽家たちと演奏する機会に恵まれ、ドイツに来てからもSchumann Quartettとの共演や、Belcea QuartetのSuyeon Kangさんをはじめ、さまざまな音楽家と演奏してきました。国籍や世代を越えて一緒に音楽を作る時間は、大きな学びであると同時に喜びでもあります。

Schumann QuartettとJavier Lanisさんとの演奏

Schumann QuartettとJavier Lanisさんとの演奏

テネリフェでのコンクール

テネリフェでのコンクール

Turina:Scène Andalouse

Viola:Sara Furuichi Quartet:Schumann Quartett Piano:Javier

海外で暮らす中では、日本の先生方からいただいた言葉も大きな支えになっています。特に、恩師の磯村和英先生からいただいた「もうしばらくは自分を信じて頑張っていいと思う」という言葉は、当時の私の背中を大きく押してくださり、今でも折に触れて思い出します。
Staatskapelle Berlinでの経験も、私にとって大切な財産です。オーケストラピットで、奏者たちが高い集中力を保ちながらも、心から楽しそうに、時には笑顔で音楽を作っている姿がとても印象に残っています。
また、メンターのFelix Schwartzさんからいただいた「トレンドは人生の中で何周もする。トレンドも大切だけれど、それ以上に、自分自身の音楽をどう持つかが大切だ」という言葉も心に残っています。演奏だけでなく、オーケストラ奏者としての姿勢についても多くのことを学びました。

Staatskapelle Berlinのチームヴィオラで

Staatskapelle Berlinのチームヴィオラで

チェコで室内オーケストラとの共演

チェコで室内オーケストラとの共演

好きな音楽・演奏家

クラシック以外では、特に2010年代のアニメソングやポップスが好きで、さまざまなジャンルの音楽を聴いています。
最近特に好きな演奏家は、ヴァイオリニストのPekka Kuusistoさんです。即興性を感じさせる自由で軽やかな音楽が好きで、クラシックでありながら、まるで新しいジャンルの音楽を聴いているように感じます。聴衆を一瞬で惹きつけるところにも魅力を感じています。

今後の目標

私にとって音楽は、人生から切り離すことのできない存在です。これからも仲間たちと演奏する喜びを大切にしながら、音楽とともに歩んでいきたいと思っています。また、これまで多くの方々に支えていただき、さまざまな機会をいただいてきました。いつか自分も、これまで受け取ってきたものを何らかの形で次の世代や周囲の人たちに還元していけたらと思っています。
これまでの出会いや経験のどれか一つが欠けても、今の自分はなかったと思います。これからも人との出会いを大切にし、多くのことを学び吸収しながら、自分自身の音楽を見つけていきたいです。

今後の演奏予定

今後は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団での演奏が活動の中心となります。ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールなどで演奏している姿を見かけていただけたら嬉しいです。
また、10月24日には日本で「トリトン晴れた海のオーケストラ」に出演予定です。久しぶりとなる
日本でのオーケストラ公演を、素晴らしいメンバーの皆さまとともに演奏できることを、とても楽しみにしています。

初めてベルリン・フィルで、フィルハーモニーにて演奏した時の席

初めてベルリン・フィルで、フィルハーモニーにて演奏した時の席

ベルリン・フィルのコンサート後のパーティーにて

ベルリン・フィルのコンサート後のパーティーにて

古市 沙羅(SARA FURUICHI)さんプロフィール

  • 2000年 神奈川県川崎市生まれ
    桐朋学園女子高等学校音楽科、桐朋学園大学卒業
    ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程在籍
  • 2025年 テネリフェ国際ヴィオラコンクール(スペイン)第1位、聴衆賞、委嘱作品賞受賞
  • 2025年 オスカー・ネドバル国際ヴィオラコンクール(チェコ・プラハ)第2位など国内外のコンクールで入賞
  • 2026年 7月までStaatskapelle Berlin(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)に在籍
  • 2026年 9月よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のKarajan Akademieに在籍中
  • 2027年 第51回国際ヴィオラ会議にて、カナリア諸島でツアーを開催予定

Schumann QuartettやSuyeon Kang(Belcea Quartet)、室内オーケストラ Barocco Sempre Giovane、池田菊衛氏、練木繁夫氏と共演
Kronberg Academy Festival、トリトン「晴れた海のオーケストラ」、リッカルド・ムーティ指揮「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」、東京・春・音楽祭、サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデンなどに出演
Tabea Zimmermann氏、Antoine Tamestit氏、Timothy Ridout氏、Garth Knox氏のマスタークラスを受講
サントリーホール室内楽アカデミー第6・7期フェロー
紀尾井ホール室内管弦楽団2024年シーズンメンバー
これまでにヴィオラを磯村和英、Annemarie Moorcroft、安藤裕子、村上淳一郎の各氏に、ヴァイオリンを神谷美千子氏に師事