活動リポート:山地 祐莉香(ピアノ)

山地 祐莉香

2026年度の支援対象者で、現在、ウィーン国立音楽大学ピアノコンサート科修士課程に在籍している山地祐莉香さんにお話を伺いました。

現在勉強していること

ウィーン国立音楽大学ピアノコンサート科修士課程の1年に在籍し、Anna Malikova教授のもとで学んでいます。Malikova教授のレッスンは非常に刺激的で、一つの注意から派生してたくさんのことを学べるのはもちろん、門下や出身国に関係なく、さまざまな友人の演奏を頻繁に聴ける環境も私にとってはとても勉強になっています。日本にいた時よりもさらに、それぞれが持つ良さには多様性があり、自分に足りない部分を明確にできたり、その気づきを軸に持ちながら練習することで、練習が効率的になったりと、尊敬する周りの友人のおかげで有意義な時間を過ごすことができています。
また、ウィーン楽友協会やコンツェルトハウスでのコンサートがたくさんあり、立地がよく、頻繁に足を運べることもとても幸せな環境です。


                                    クラスコンサートのリハーサルにて

クラスコンサートのリハーサルにて


                                クラスコンサート後 クラスの食事会にて

クラスコンサート後 クラスの食事会にて

ピアノコンサート科では、ソロに加えて専門として履修するカテゴリーを2つ決められるのですが、私はKorrepetitionとImprovisationを選択しています。KorrepetitionではHerbert Rüdisser教授に師事しており、バレエ作品やオペラ作品をスコアリーディングしたり、室内楽作品に取り組んだりしています。Improvisationの授業はすべてグループで行われていて、グループの友人と一緒にジャズのコードや、クラシックに基づいた様式的なコードを学び、そのコードに従ってリレー形式で即興演奏をしています。
また、自由即興でテーマや情景のみを決めて始める授業もあります。これらの授業は、ソロ演奏に通じるばかりでなくバレエの伴奏にも活きています。バレエクラスでは、即興や既成曲のアレンジで伴奏するため、コード進行を研究することで伴奏の幅が広がり、毎回の授業で即興実習があることで、臨機応変に音楽の長さや構成を調整したり、動きのイメージから音を考えたりする練習になっています。

                                    授業にて:演奏中の体の使い方を学ぶ授業で、教授にアドバイスをいただいたり、お互いの演奏を聴きながら体の使い方を見て、意見交換をしたりします

授業にて:演奏中の体の使い方を学ぶ授業で、教授にアドバイスをいただいたり、お互いの演奏を聴きながら体の使い方を見て、意見交換をしたりします


                                Improvisationのコンサートにて:動画をもとに構成を考え、ハープとヴァイオリンの友人と即興演奏をしました

Improvisationのコンサートにて:動画をもとに構成を考え、ハープとヴァイオリンの友人と即興演奏をしました

音楽を始めたきっかけ

私の母がヤマハで講師をしていたこともあり、私は3歳からヤマハ音楽教室に通っていました。ヤマハでは弾くことも楽しかったですが、同じグループの友達とエレクトーンでアンサンブルをしたり、スコアの一部を書く練習をしたり、伴奏を考える課題、旋律を創る課題が出たり、即興演奏をする試験があったりと、音楽を通していろいろな経験ができました。その頃の経験が、今も実験的に楽しみながらピアノに向かう習慣につながっています。
また、私は小学生時代、ずっとバレエを習っており、当時の趣味は、バレエの発表会やコンクールで使う曲を弾くことと、大河ドラマやアジアの歴史ドラマのサウンドトラックを弾くことでした。また中学・高校時代はダンス部に所属しており、踊ることが弾くことの次に大好きでした。現在のレパートリーは自然と舞曲が多く、自分は動きのイメージや情景、場面と音楽を結びつけながら弾くことを楽しんできたのだと思います。

U27プログラムにて、ウィーン国立歌劇場でオペラ「カルメン」を鑑賞
                                クラスコンサートのリハーサルにて

U27プログラムにて、ウィーン国立歌劇場でオペラ「カルメン」を鑑賞

年末休暇に訪れたスイスのRigi Kulm山頂にて

年末休暇に訪れたスイスのRigi Kulm山頂にて

イースター休暇中 友人と訪れたHallstattにて

イースター休暇中 友人と訪れたHallstattにて

印象に残っていること

3年前、ドイツへ行ったとき、シュトゥットガルト・バレエ団を訪れました。そこで初めてプロのダンサー・クラスを見学させていただいたのですが、音と動きの呼吸感がぴったりと合っていて、音の中で自然に踊っているダンサーの方々がとても素敵でした。YouTubeで見たバレエ団の様子よりも、実際に見ることでさらに感激し、特に、何も持たず身一つでいらっしゃったにもかかわらず、さまざまな音色とキャラクターに溢れたクラス伴奏を弾いて帰るピアニストの方が私の憧れになりました。そのときの本番演目はブラームスのピアノ協奏曲第2番で、リハーサルではピアニストの方が音楽的な視点からバレエマスターとすり合わせを行う姿を見て、やり甲斐のあるお仕事だと思いました。
また、ウィーンに来てから特に印象に残っている発見の一つは、Malikova教授とのレッスンや友人との会話を通して、曲数が増える中で譜読みから本番までを最短で効率よく進めるために、マイナスの練習をしないことを意識し、練習方法にこだわるようになったことです。

バレエとピアノの融合 :ウィーン国立歌劇場専属ピアニストの滝沢さん、同歌劇場ピアニストでMalikova教授門下の先輩でもある石田さんがピアノを担当されていました

バレエとピアノの融合:ウィーン国立歌劇場専属ピアニストの滝沢さん、同歌劇場ピアニストでMalikova教授門下の先輩でもある石田さんがピアノを担当されていました

ハープの友人が書いた新曲の初演、ダンサーの動きを見ながらイメージを膨らませました

ハープの友人が書いた新曲の初演、ダンサーの動きを見ながらイメージを膨らませました

今後の目標

私はバレエ団専属ピアニストになることを目指しています。たくさんのバレエ作品に関わり、たくさんのダンサーの方々と音楽を共有したいと思っています。そのため、バレエ団のオーディションにチャレンジする予定です。クラスでもリハーサルでも、単にダンサーの踊りに音楽をつけたり合わせたりするだけでなく、ダンサーの動きをアシストできるような演奏を目指して、ダンサーの方々の音楽性を高める役割を担えるように、即興も演奏もたくさんのことにアンテナを張って吸収し、精進したいと思います。また、シュトゥットガルト・バレエ団で見たようなバレエマスターとの対話ができるように、自分の中に自立した音楽性を持つことも、この2年の目標です。踊りと音楽の融合である以上、すり合わせが必要になることもあると思いますが、そのときに、どちらにとっても最上質になることを目指して、音楽的な視点から意見を伝えられるように、また柔軟な対応ができるように、音楽的な引き出しをたくさん増やしていきたいです。

Grigory Sokolovのコンサートにて:本当に美しい音を聴きました。人が立ち上がりすぎて前が見えないほどでした

Grigory Sokolovのコンサートにて:本当に美しい音を聴きました。人が立ち上がりすぎて前が見えないほどでした

日本食が得意料理という友人が振る舞ってくれました。お味噌汁に鮭が入っていて新鮮でした。とても美味しかったです

日本食が得意料理という友人が振る舞ってくれました。お味噌汁に鮭が入っていて新鮮でした。とても美味しかったです

山地 祐莉香(YURIKA YAMAJI)さんプロフィール

  • 2000年 東京都生まれ、3歳よりピアノ、9歳より作曲を学ぶ
  • 2022年 第13回音楽大学オーケストラ・フェスティバルにおいて、開会式用ファンファーレを作曲、同式にて初演
  • 2023年 第42回飯塚新人音楽コンクールピアノ部門第1位ならびに文部科学大臣賞受賞
  • 2024年 第7回いしかわ国際ピアノコンクール一般部門第2位
  • 2024年 第24回国際ピアノデュオコンクール演奏部門プロフェッショナル・カテゴリー第2位、課題曲賞・スタインウェイ賞
  • 2025年 桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻・作曲副専攻を経て、同大学大学院音楽研究科ピアノ専攻修了
  • 2026年 第15回ロザリオ・マルチアーノ国際ピアノコンクール第2位

これまでに、ピアノを松田映子、蓼沼恵美子、下田幸二、高橋多佳子、上野久子の各氏に、作曲を鈴木輝昭、加藤真一郎の各氏に師事
現在、ウィーン国立音楽大学ピアノコンサート科修士課程に在籍し、Anna Malikova氏に師事