活動リポート:水野 魁政(ピアノ)

2023年度の支援対象者で、現在リスト音楽院 室内楽課程に在籍の水野魁政さんにお話しを伺いました。

好奇心旺盛で負けず嫌いな少年時代

物心ついた頃から興味を持ったことへの執着心が強く、毎日いくつかの習い事をし、同じ興味を持ったよきライバルと切磋琢磨していました。
ピアノもそのうちの1つで、私が生まれたときから6歳上の姉がいつも練習しているのを見聞きしているうちにやりたいと思うようになりました。

空手全国大会の様子です
身体が小さいながらも頑張っていました

書道展で最高位の会長賞をいただいたときの写真、集中力を養えた習い事でした

音楽一本に絞ったのは案外遅い?

地元で習っていた先生や家族の方針で、いろいろな選択肢を残せるようにと公立高校の普通科に進みました。その頃は、勉学のほかに空手・書道・ピアノの三つに力を注いでいて、どれに絞って大学を決めるか大変悩みました。
結局、ピアノが一番やめたくない気持ちが強く、高2からピアノに集中するようになりましたが、もっと早く決めていたらなと思うこともたびたびあったりします。

昨年、札幌で開催のリスト音楽院セミナーで、ファルカシュ・ガーボル先生とのトーク付きコンサートをさせていただきました

短期留学時代から現在に至っても、家族のように支えていただいているホストファミリーには感謝の言葉しかありません

東欧の国、ハンガリーへ

現在、ハンガリー国立リスト音楽院の室内楽課程にて勉強させていただいています。
ハンガリーに決めた理由は、東京音楽大学在学中に短期留学生としてハンガリーに滞在した経験と、在学中に師事していたファルカシュ・ガーボル先生が私の卒業と同時期にリスト音楽院に戻られるということを総合して、自分に適した環境であると思ったからです。

修士課程、ソリスト・ディプロマコースを修了し、次に何を勉強したいのか自問自答し、室内楽を更に本格的に勉強したいと思うようになりました。ピアノソロだけでは得ることが難しい、繊細な耳やタッチを会得したいと思っています。

ディプロマコンサートにて
ハンガリーに来てからモーツァルトを弾く機会が多くなり、今では大好きな作曲家になりました

現在、室内楽課程で一緒に勉強している青木馨音さんとは数多くのコンサートで共演しています

さまざまな出会い

師であるファルカシュ・ガーボル先生の紹介で知り合ったハンガリー人のジョルジ・アダム先生には今まで味わったことがない経験をさせていただきました。
現在はニューヨークを拠点に全世界で活躍されているピアニストで毎夏ハンガリーのポマーズでマスタークラスを開催されています。

アメリカやイギリス、韓国など各国から受講生が集まり、お互いの練習を聞き合って意見交換する他、期間中の寝食や音楽以外のアクティビティなども共にするという内容で毎年開催の案内をいただき楽しみにしています。

アダム先生のマスタークラスにて、家族のような一体感を感じる素敵な仲間たちです

リスト音楽院の大ホールでディプロマコンサートをさせていただいた際に、大鷹大使や駐在の方、友達などたくさんの方が応援に来てくれました

また、元在ハンガリー日本大使閣下でおられる大鷹大使がいつもリスト音楽院の生徒をご支援くださったのも大きかったです。ハンガリーでのコンサートの半分は聴きにきていただいたのではないかと思います。

故フジコ・ヘミングさんなど、国際的なピアニストと直接お話できる機会も数多くありました。人とのご縁を大切にしたいと思うきっかけになりました。

大使館にて故フジコ・ヘミングさんとお会いさせていただける機会がありました
間近で聞いた演奏の迫力、伝わってくる想いは忘れられません

音楽祭にて挾間美帆さんの曲を演奏させていただき、その後お話もさせていただきました
第一線で活躍されている方とのお話はいつも大切に胸にしまっています

ネガティブをポジティブに

ネガティブ気質、負けず嫌い、頑固、見栄っ張り等、自分の悪い性格を挙げればキリがないなとよく思います。これはやはり日頃の練習や本番の演奏、人との関わり方にも出てきてしまうもので、顧みればたくさん反省があります。ただ、それをただの欠点ではなく、どうやって自分の個性・長所に変換できるのかを考えるようになってから、練習や本番を少し楽に捉えられるようになった気がします。

ある程度の法則があるとは思いますが、そもそも音楽の世界には絶対的な正解はなく、時代や世間の風潮、個人の思想、自身の年齢や経験などとともに変わってくるものだと思います。なので、先入観や固定概念は極力排除して考えていきたいと思っています。
何が間違いか本当に分かるのは案外遅かったりします。後々、あのときの失敗があったからと振り返ることも多々です。

やりたいと思ったことに挑戦できる機会は年齢とともに少なくなり、責任も大きくなってきます。自分がまだ若いとは言いにくくはなってきましたが、それでもたくさんの新しいことに挑戦して失敗して、その失敗を糧として将来的に自分の音楽として伝えられるようになりたいと思っています。

リストフェレンツ室内楽管弦楽団との共演は、将来を通して忘れられない経験となりました

演奏できる機会があるとは思わなかったベートーヴェンの「三重協奏曲」、機会をくださった先生や関係者の皆様への感謝が尽きません

先日ウィーンにて開かれた音楽祭に大学代表として参加させていただきました。絵画や詩と音楽を掛け合わせた珍しい演奏会で新しい世界を知るきっかけになりました

他の国から友達が遊びに来ることも多く、ハンガリーのよさを少しでも伝えられるよう観光案内を積極的にしています

水野 魁政(KAISEI MIZUNO)さん プロフィール

  • 1997年 神奈川県秦野市生まれ。
  • 東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業後、ハンガリー政府奨学生としてリスト音楽院修士課程、ソリスト・ディプロマコースを最高成績で卒業。現在、同大学室内楽課程に在籍中
  • リストフェレンツ室内楽管弦楽団、リスト音楽院学生オーケストラ、メンデルスゾーン室内楽管弦楽団、リスト音楽院弦楽団と共演、日本やハンガリー各地でソロリサイタルを開催する他、札幌リスト音楽院セミナー主催「ランチタイムコンサート」や、欧州文化都市"InterUrban"プロジェクト ユネスコ音楽都市「浜松ウィークス」、ファーイースト音楽祭等において高い評価を受けるなど、多方面において活躍している
  • 2017年 第25回ヤングアーチストピアノコンクールSグループ金賞
  • 2021年 第10回フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ワイマール) セミファイナリスト、同年 ニューヨークリスト国際コンクールHonorary Mention
  • 2022年 ヴァルティドーネ国際コンクール(イタリア) ファイナリスト
  • 2024年 フランツ・リストセンター国際コンクール1位など国内外の多数のコンクールで入賞
  • これまでにピアノを石井晶子、小坂圭太、斎藤龍、秋山徹也、岡田敦子、武田真理、ファルカシュ・ガーボル、レーティ・バラ―ジュ、ファルヴァイ・シャーンドルの各氏に、室内楽をフレイ・バラージュ、グヤーシュ・マールタ、ヴァルガ・オスカーの各氏に師事

今後の演奏会予定

  • 「内﨑章太×槙和馬×水野魁政 ジョイントリサイタル」
    7月21日(日)15:00開演(東京 / 音楽堂 anoano)

  • 「青木馨音×水野魁政 ヴァイオリン&ピアノデュオリサイタル」
    7月22日(月)18:00開演(東京 / リスト・ハンガリー文化センター)
  • 「吉岡瑞貴×水野魁政 ジョイントリサイタル」
    8月4日(日)14:30開演(東京 / 尾上邸音楽室)
    9月1日(日)14:30開演(愛知 / スタジオフィオリーレ)

  • 「4人のピアニストによるピアノ演奏会 in AMAMI」
    8月6日(火)18:30開演(鹿児島 / アマホームPLAZA・奄美市市民交流センター)