音楽支援事業開く
活動リポート:大谷 恵理架(クラシックギター)

2023年度の支援対象者で、現在リール高等音楽舞踊学校(ESMD)ギター科に在籍の大谷恵理架さんにお話しを伺いました。
フランスでの学び、演奏活動について
私は2023年9月からフランスのリール高等音楽舞踊学校(ESMD)のギター科とリール大学での学びを始めました。ESMDでは、ジュディカエル・ペロワ先生とカルロ・マルキオーネ先生に師事しており、3年間で学士号を取得する予定です。
フランスでは2020年にESMDを含む10の高等音楽院がパリ、リヨン国立音楽院と並び、音楽学士号に相当する国家音楽家専門資格(DNSPM)を取得できる国直轄の高等音楽院に指定されました。近隣大学との協力により、EU内の音楽大学に近いカリキュラムが組まれています。
私がESMDを受験した理由は、ギター科の教授であるジュディカエル・ペロワ先生に師事したかったからです。ペロワ先生との出会いは2018年の東京でのマスタークラスで、その曲解釈のアイディアの豊富さ、クラシック音楽への造詣の深さ、そして指導への情熱に感動しました。さらに、ペロワ先生は演奏活動だけでなく教育にも強い思いを持ち、多くの国際コンクールの優勝者を輩出していることを知り、いつかはペロワ先生に師事したいと考えるようになりました。
フランス・リールの街並み
右側の建物はオペラ座
リール高等音楽舞踏学校
リール宮殿美術館
国内最大規模の美術館
2023年度は、音楽院では個人レッスン、ティボー・ガルシアとペトラ・ポラーチコヴァ先生、パベル・シュタイドル先生のマスタークラス、室内楽、古楽、合唱などの実技の授業を受け、リール大学ではTranscription du Sonoreという講義を受けました。基本的には個人レッスンとそのための練習が生活の中心で、その合間に別の授業を受けている感じです。ペロワ先生とマルキオーネ先生は全く別の切り口からレッスンをしてくださるので解釈の幅を広げることができ、非常に恵まれた環境だと感じています。
ジュディカエル・ペロワ教授
カルロ・マルキオーネ教授
ボラーチコヴァ先生のマスタークラス後の記念写真
10月にトゥールーズで開催された「ギターの日」というイベントに参加しました。
パリ国立音楽舞踊学校と9つの高等音楽院のギター科の生徒と教師が一堂に会し、マスタークラス、コンサート、講義などが行われ、非常に濃い3日間でした。
このイベントをきっかけに2025年度のトゥールーズ・ギター協会のコンサートシリーズに「新星ギタリスト」として出演させていただくことになりました。
映画『マチネの終わりに』にも出演した世界的ギタリスト、ティボー・ガルシア氏のマスタークラス
ロマンティックギターに関する講習
コンサートのリハーサル風景
11月には、ギタリストの手塚健旨さんのスペインツアーに参加、スペイン南部のリナーレス、アルムニェーカルで、合計5つのコンサートを行いました。またリナーレスではアンドレス・セゴビア博物館を訪れることができました。
巨匠アンドレアス・セゴビアの博物館をはじめ、5カ所でのコンサートを行いました
音楽を始めたきっかけ
音楽(クラシックギター)を始めたきっかけは、人生最大の謎で、自分でもよく分かりません。5歳から祖母にピアノを習っていたのですが、小学3年生の冬に突然クラシックギターを弾いてみたいと思ってしまったのです。おそらく、どこかで聞いたクラシックギターのナイロン弦の柔らかい響きが、何よりも美しい音として幼かった私の心の琴線にも触れたのだと思います。この感覚は今日に至るまで全く変わることがありません。
クラシックギターは、私にとってすべての楽器の中で最も美しく響く楽器なのです。
きっかけが何であれ、そのような楽器との不思議な出会いが与えられたこと、さらに今後、自分が最も美しいと感じているものを演奏家として多くの人と分かち合えることに、大きな喜びと感謝を覚えています。
影響を受けたギタリスト
これまでレッスンを受けたすべての先生から大きな影響を受けてきました。その中で、最も関わりが深く、強い影響を受けたのはパク・キュヒさんです。
人気、実力ともに、女性クラシックギタリストのトップランナーと言える方です。ギターを習い始めてすぐに動画サイトでパク先生の演奏を見て衝撃を受け、大ファンになりました。ある不思議な出会いがきっかけで弟子にしていただき、12歳のときから留学するまで、お忙しいスケージュールの合間を縫ってレッスンをしてくださいました。世界で活躍するパク先生への憧れは、ギタリストを目指す大きな原動力になりました。レッスンでは先生が学んでこられた技術、知識、経験について惜しみなく教えてくださいました。また、演奏家として大切な肉体的、精神的なケアについても助言もしていただきました。今では尊敬する師であると同時に、大好きなお姉さんのような存在です。
今後の目標
フランスでの一年目の日々を振り返ると、毎週レッスンの準備に追われ、必死に練習するなかであっという間に時間が過ぎてしまったように感じます。初めての海外での生活で不安もありましたが、素晴らしいギター科の仲間にも恵まれて学校にもすぐに馴染むことができ、自分の成長を実感できる一年にすることができました。今後は多くのレパートリーに挑戦し、レッスンやマスタークラスでできるだけ多くのことを吸収していくことで、自分に合った時代や作曲家、自分の個性や自分にしかできないことを見つけていきたいです。また新年度からはヨーロッパの国際コンクールにもチャレンジしていきたいと考えています。
大谷 恵理架(ERIKA OHTANI)さん プロフィール
- 2003年 米国テキサス州生まれ
- 9歳でクラシックギターを始め、これまでに齋藤浩、朴葵姫、福田進一の各氏に師事
- 2023年度に渡仏し、フランス・リール高等音楽舞踊学校の学士課程においてジュディカエル・ペロワ、カルロ・マルキオーネ各氏の元で学び始める
- 中学在学中に国内2大ユースコンクールである第38回ジュニアギターコンクール、第43回GLC学生ギターコンクールにて優勝
- 2018年 第8回イーストエンド国際ギターコンクール 第1位受賞
- 第4回台湾国際ギターコンクール 第3位 及び審査員特別賞を受賞
- 2020年 第38回スペインギター音楽コンクール 第1位
- 2021年 第48回日本ギターコンクール 第1位
- 第52回クラシカルギター・コンクール 第1位
- 2020年、映画「現在地はいづくなりや」の中でバッハのシャコンヌを演奏し、各界から高い評価を得る。同年、ファーストアルバム「ERICA」をリリース
今後の演奏会予定
- 大谷恵理架 クラシックギター弾き比べ
2024年8月18日(日)12:30開場・13:00開演
クロサワ楽器日本総本店
https://www.kurosawagakki.com/sh_ohkubo/2f/2024_Erikaotani_concert/index.html

- アクト・ニューアーティスト・シリーズ
浜松市文化振興財団主催
2024年8月24日(土)13:30開場・14:00開演
アクトシティ浜松 音楽工房ホール

- マルシン・ディラ ギター・リサイタル オープニングステージ
公益財団法人メニコン芸術文化記念財団主催
2024年9月4日(水)17:45開場・18:00開演
HITOMIホール メニコン ANNEX 5F
https://event.menicon-ba.co.jp/event_info/event.php?id=342

- トゥールーズ・ギター協会コンサートシリーズ「2人の新星」
Erika Otani & Virgile Bareth
2025年1月31日(金)20:00開演
会場:Salle du Sénéchal
住所:17 rue Rémusat 31000 Toulouse









