ヤマハ音楽支援制度は2010年度より「地域音楽活動支援」をスタートし、地域への音楽普及や音楽文化向上の視点で演奏や創作の活動に取り組む音楽グループ・団体への支援を行っています。2015年度も、幅広いジャンルと活動でいずれも活発に音楽の素晴らしさを地域に伝える76件が対象となりました。
今回は下記団体の活動リポートをご紹介します。
- ・団体名:La brise(ラ ブリーズ)(北海道標津郡標津町)
- ・協 力:エルム楽器
- ・実施日:2015年11月29日(日) 中標津町総合文化会館 しるべっとホール
- ・活動内容:小川ようこ 岩井沙織 ファンタジック・ピアノデュオ・コンサート
北海道中標津町とその近隣の市町村では、プロのピアニストによるコンサートが開催されることは稀で、数年に一回程度の頻度です。
そのため、ピアノを習っているにも関わらず、一度もピアノコンサートに足を運んだことのない子どもたちが大多数で、コンサートは敷居が高いものと考えられている傾向があります。そこで、地域のピアノを学習する子どもたちにピアノ演奏を楽しんでもらう機会を作ることにより、今後もピアノをはじめとする音楽イベントに興味を持ってもらいたいと思い今回のコンサートを企画しました。
私たち2人は、もともと学生時代にペアを組んで一緒に演奏していましたが、再びアンサンブルの演奏をしていきたいという思いから活動を始めました。
普段の活動は、自主公演やコンサートの他、依頼を受けての訪問演奏も行っています。中標津町の成人式での記念演奏や、札幌のJRタワー展望室でのコンサートなど、それぞれの地元で色々な層のお客様に聴いていただく機会にも恵まれています。また2人とも後進の指導を行っていますが、自己研鑽のためにコンクールに出場したりもしています。
今回のコンサートは2部制で、第1部は誰もが知っているクラシックの名曲とポピュラーソングのピアノ編曲版、また地元のピアノ指導者コミュニティで募った、子どもたちによるリクエスト曲もとり入れ、連弾で構成しました。
また第2部は、ソロと2台ピアノによる演奏で、専門性の高い曲を入れ、愛好家も楽しめる内容にしました。
当日の来場者数は154名でしたが、幅広い年齢層のお客様に来ていただき、親子連れの方も多く、開演前からとてもアットホームな雰囲気でした。ポピュラー曲で舞台照明が変わると、客席の子どもたちの嬉しそうな歓声が聞こえたり、また後半の2台ピアノの演奏後は熱い拍手をいただき、終始真剣に聴いてくださっている反応が感じられ、大変嬉しく思いました。
演奏後の来場者アンケートでは「知っている曲もあり楽しかった」「ポピュラー曲を目当てに来たが、2台ピアノが素晴らしくて聴き入ってしまった」「こういうコンサートならまた足を運びたい」などの温かい言葉をいただきました。
当初の目的であった「地域のピアノ学習者にピアノの生演奏を気軽に聴く機会をつくる」ことは達成できたと思い満足しています。また、普段あまりクラシック音楽に触れることのない方々が、後半の専門性の高い曲を聴かれ、今後のコンサートに興味を持ってくださったことはとても励みになります。
これからも、聴いてくださるお客様の声に耳を傾けながら、時流に合ったコンサートを提供できるように、できるだけ長く活動していきたいと思います。
また、「クラシックコンサートは決して敷居が高いものではない」ということと、「アンサンブルの楽しさ」を届けながら、より専門的なコンサートへの橋渡しになれるよう頑張ります。
当日のプログラム
第1部
- ・そりすべり(アンダーソン作曲)
- ・ジブリメドレー(久石 譲 他作曲)
- ・スラヴ舞曲 ホ短調 Op.72-2(ドヴォルザーク作曲)
- ・スラヴ舞曲 ハ長調 Op.46-1(ドヴォルザーク作曲)
- ・ラプソディー・イン・ブルー (ガーシュイン作曲)
第2部
- ・3つの前奏曲から 嬰ト短調 Op.32-12(ラフマニノフ作曲)
- ・楽興の時より ホ短調 Op.16-4(ラフマニノフ作曲)
- ・別れの曲(ショパン作曲)
- ・パガニーニの主題による変奏曲(ルトスワフスキ作曲)
- ・ラ・ヴァルス(ラヴェル作曲)