ヤマハ音楽支援制度は2010年度より「地域音楽活動支援」をスタートし、地域への音楽普及や音楽文化向上の視点で演奏や創作の活動に取り組む音楽グループ・団体への支援を行っています。2016年度も、幅広いジャンルと活動でいずれも活発に音楽の素晴らしさを地域に伝える77件が対象となりました。
今回は下記団体の活動リポートをご紹介します。
- ・団体名:Glanz弦楽合奏団(神奈川県横浜市)
- ・協 力:ヤマハミュージックリテイリング横浜店
- ・実施日:2016年5月28日(土) 神奈川公会堂
- ・活動内容:「Glanz弦楽合奏団 第3回演奏会 ~キミと歩く彼(か)の街へ~」
弦楽合奏は、オーケストラや吹奏楽などに比べて地味で馴染みが薄く、あまり聴く機会がないというような声をよく耳にします。そんな現状を少しずつ変えて、もっと弦楽ならではの美しさ・激しさ・楽しさ・面白さなどの魅力を広めていきたいという趣旨のもとに、弦楽合奏団としての活動を始めました。
メンバーは約20名で、横浜市内の一般大学の学生を中心とした高校生~40歳代のアマチュア奏者と、プロとして活動している奏者がほぼ半々の割合です。
プロ奏者の適切なアドバイスによる地域のアマチュア演奏家のレベルアップを図ることも、この団の活動の一つの柱としています。
毎年5月に定期演奏会を開催しており、直前の2ヶ月間はそのための練習になります。また夏には水谷晃氏(東京交響楽団コンサートマスター)をお迎えして合宿を行い、ハイドンやベートーヴェンの室内楽を教材に、アンサンブルなど音楽面の地力をつける練習を実施しています。
多くのメンバーが関係する横浜市に密着した活動を意識しており、地域への文化啓蒙に少しでも貢献できればという思いで、幅広い世代の方々に楽しんでいただける内容のコンサートを企画したり、百貨店でのロビーコンサートを行うなどしています。
弦楽合奏はオーケストラよりも曲のレパートリーが少なく、またその分、一般のお客様へのアピールが難しいので、集客には大変苦労しています。ですが弦楽器のみによる響きは本当に美しく、それを知っていただくためには、自分たちでニーズを掘り起こしていかなければならないという開拓者精神に燃えています。
今回の演奏会は「メンバーによるプロデュースシリーズ」ということで、団員みんなで話し合いながら内容を考えました。「~キミと歩く彼(か)の街へ~」と題して、古今東西の弦楽合奏の名曲を取り上げ、曲の解説やエピソード、国や地域による音楽の多様性などを、分かりやすく楽しみながら体験できるトーク&レクチャー付きのコンサートにしました。
当日の来場者数は約100名でしたが、皆さん最後まで集中して聴いてくださいました。またトーク&レクチャーに対する反応も非常に良く、演奏者側と客席との距離を感じさせない演奏会となりました。
終演後のアンケートからも、内容に満足していただいたお客様が非常に多かったと感じました。ただ、演奏の質の割にお客様が少なくて非常に勿体ないというご意見も数多くいただき、やはり集客が今後の課題であると痛感しています。
演奏会を終えて、前回よりも音楽面で着実に進化していることが実感でき、団としての大きな自信につながりました。
これからも私たちの活動を通じて、弦楽合奏には多彩な魅力が備わっていて、とても楽しく素晴らしいものだということをより多くの人たちに伝えていきたいと思います。