ヤマハ音楽支援制度は、優れた音楽能力を有し、将来音楽分野で活躍が期待される若手音楽家への支援として「音楽奨学支援」(13歳以上~25歳以下)を実施しています。
今回は2017年度の支援対象者で、現在、ベルリン・フィルハーモニー・カラヤン・アカデミーに在籍、ヴァイオリンを専攻されている小川響子さんにお話を伺いました。
プロフィール:小川響子(オガワ キョウコ)1992年生まれ、奈良県橿原市出身
2011年4月 東京藝術大学音楽学部器楽科入学
2015年3月 東京藝術大学卒業、同声会賞を受賞
2015年4月 東京藝術大学大学院修士課程入学
2018年3月 東京藝術大学大学院修士課程卒業、アカンサス賞受賞
2018年10月より、ベルリン・フィルハーモニー・カラヤン・アカデミーに在籍
2012年8月 第10回東京音楽コンクール弦楽部門第1位および聴衆賞を受賞
2015年3月 ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール第1位
2018年9月 ミュンヘン国際音楽コンクールピアノ三重奏部門第1位
ソロ、室内楽をはじめ在京のオーケストラとの共演も多く、幅広い分野で活動中。
これまでに、塩谷峰子、西和田ゆう、漆原朝子、原田幸一郎、堀正文、松原勝也、樫本大進の各氏に師事
音楽を始めたきっかけ
両親は音楽家ではありませんが、クラシック音楽を聴くことがとても好きでしたので、私も幼いころから自然に音楽に慣れ親しんでいました。自宅の近くに「スズキ・メソード」の教室があり、見学に行ったことがきっかけでヴァイオリンを始めました。
印象に残った経験、好きな音楽
サントリーホール室内楽アカデミーの演奏会で、師である原田幸一郎先生や、池田菊衛、磯村和英、堤剛の各先生方と室内楽を演奏し、またアンネ・ゾフィ・ムターさんと、バッハの『ドッペルコンチェルト』を共演させていただいたことが大変大きな転機となりました。世界で活躍されている演奏家との差を歴然と感じ、このままではだめだと思いました。
演奏する曲は好きにならないと弾けない性分なので、今まで演奏してきた曲はほとんど好きですが、1つだけ選ぶとしたらベートーヴェンの弦楽四重奏曲です。これを全曲演奏するまでは死にたくないと思っています(笑)
今後チャレンジしたいこと、近い将来の夢
私は語学が大変苦手で外国に出ていくのが怖く、また、海外で教えていただく先生を見つけることもできず、留学の機会を逃していました。しかし今年度より2年間カラヤン・アカデミーで勉強する機会をいただき、ついに海外に飛び出しました。アカデミーでは、生徒同士の室内楽や、アカデミーのオーケストラで演奏したり、樫本大進さんなどベルリンフィルの団員の方にレッスンをしていただいたり、月に1回程度、ベルリンフィルの演奏会に出演したりもしています。また、「葵トリオ」(ピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏)によりミュンヘン国際音楽コンクールで第1位を受賞し、それをきっかけにドイツを中心にヨーロッパで演奏する機会をいただいています。これからは語学も恐れずに、しっかり勉強し、日本だけでなくヨーロッパでも活動できるような演奏家になりたいと考えています。
また、今世界最高峰のオーケストラで勉強できる環境に恵まれているので、たくさんのことを吸収し、もしチャンスがあればベルリンフィルのオーディションにも挑戦したいと思っています。
私は学生時代より室内楽の勉強を大切にしてきました。広い意味ではオーケストラも大きな室内楽だと思います。これからは「葵トリオ」の活動を軸に、広い意味での室内楽奏者として活動できるように勉強を続けていきたいと思います。
小川響子さんが出演されるコンサートの予定をご紹介します
2018年12月8日 「葵トリオコンサート」(埼玉県所沢市 松井まちづくりセンターホール)
2018年12月14日 「葵トリオ凱旋リサイタル」(東京 サントリーホール・ブルーローズ)
2019年1月27日 「葵トリオコンサート」(札幌市 ふきのとうホール)
2019年3月8日 クァルテット・ウィークエンド「クァルテット・エクセルシオ×クァルテット奥志賀」(東京 第一生命ホール)
2019年3月21日 東京・春・音楽祭「チェンバーオーケストラ」(東京文化会館小ホール)
2019年4月3日 東京・春・音楽祭「ブラームスの室内楽 Ⅵ~小山実稚恵(ピアノ)を迎えて」(東京文化会館小ホール)