ヤマハ音楽支援制度は、優れた音楽能力を有し、将来音楽分野で活躍が期待される若手音楽家への支援として「音楽奨学支援」(13歳以上~25歳以下)を実施しています。
今回は2017年度の支援対象者で、2019年4月に、東京藝術大学音楽学部器楽科ヴァイオリン専攻に入学される戸澤采紀さんにお話を伺いました。
プロフィール:戸澤采紀(トザワサキ)2001年2月生まれ、東京都出身
2013年11月 第67回全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会入選
2014年5月 第30回神奈川音楽コンクール大賞
2014年10月 第15回大阪国際音楽コンクールAge-J部門第1位
2015年10月 第69回全日本学生音楽コンクール東京大会第1位
2015年11月 第69回全日本学生音楽コンクール全国大会第1位、横浜市民賞
2016年4月 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校入学
2016年7月 クフモ室内音楽祭ヤングアーティスト
2016年10月 第85回日本音楽コンクール第1位
2017年8月 ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール第2位(1位なし最高位)、
併せてユース審査員賞を受賞
2019年4月 東京藝術大学音楽学部器楽科ヴァイオリン専攻入学予定
これまでに、保井頌子、ジェラール・プーレ、玉井菜採の各氏に師事
現在勉強していること
ソロのレッスンでは、学校とプライベートでそれぞれ玉井菜採先生、ジェラール・プーレ先生の下で勉強させていただいています。先生方が言葉でおっしゃることはもちろん、時々実演してお手本を示してくださる時は、レッスン中にもかかわらず鳥肌が立ちます!それから、マスタークラスもたくさん受講させていただいています。昨年はワディム・レーピン先生やアナ・チュマチェンコ先生、ピエール・アモイヤル先生のレッスンを受けることが出来ました。
また、昨年からチェルカトーレ弦楽四重奏団のメンバーに加わり、サントリー室内楽アカデミー第5期フェローとして活動をしています。弦楽四重奏の他のメンバーはもちろんですが、学校でも尊敬できる仲間たちに囲まれ、常に刺激を受ける日々です。
音楽を始めたきっかけ
両親ともにヴァイオリン奏者ですが、私は初めピアノを習っていました。小学校1年生の時に、たまたま両親が同じオーケストラで演奏するコンサートがあって、聴きに行く機会がありました。その時に、ピアノではこの中(オーケストラ)には入れない!と幼心に思ったようで、ヴァイオリンをやりたいと言い出しました。本格的にレッスンを受け始めたのは7歳頃からなので、かなり遅めだと思います。
印象に残ったレッスン、経験
フィンランドのクフモ室内音楽祭で、マーク・ダネル先生のレッスンを受けたのですが、その際に「リスクを冒せ!」と何度も繰り返しおっしゃっていたのが印象的です。ミスを恐れず、本番のその時だけの雰囲気を感じ取って、今の自分にしかできない音楽を目指すようになりました。
印象に残った経験はたくさんあります。私の場合、年に一回あればいい方なのですが、とんでもなくうまくいく本番、というのが時たまあります。日本音楽コンクールの本選、藝高受験の二次試験、修学旅行での弦の合奏、などなど。どれもこれも、自分なりにリスクを冒せた本番だと思います。なかなか無いので印象に残っています。
影響を受けた音楽家、好きな音楽など
好きなヴァイオリニストは、自分の師匠の皆さんはもちろん、レオニダス・カヴァコス、ヒラリー・ハーン、ヘンリク・シェリング、レオニード・コーガン、ヤッシャ・ハイフェッツなどです。「この人ならどの曲でも!」というよりは、曲によって聴く演奏家を変えることが多いです。
音楽家として一番尊敬しているのが、指揮者のクラウディオ・アバドです。家族全員がアバドファンなので、CDやDVDが家に大量にあります。
私は彼の振るマーラーのシンフォニーを愛してやまず、アバドが先だったかマーラーだったかはよく覚えていませんが、どちらも私にとって欠かせない存在です。
今後どんな音楽をしていきたいか
ここ2年ほど海外のコンクールに挑戦していますが、いつも他のコンペティターたちの演奏を聴いて驚くことは、表現の幅の広さです。表現の種類ももちろんですが、それぞれの表現のピンとキリ、攻めと引きの差がものすごく大きいのです。日本でそこまでやってしまうと「やりすぎ」と言われかねないような表現もあるかもしれません。でも、それを厭わずに、自信を持って自分の音楽をする彼らにものすごく感心します。ぜひとも盗みたいと思います(笑)。
今後チャレンジしたいこと、近い将来の夢
まず、留学の夢を叶えたいです。そのために今語学の勉強を頑張っていますが、なかなか一筋縄では行かず・・・それより一筋縄では行かないのは家事かもしれませんが、どちらも努力して成長したいです。「ソロ」、「室内楽」、「オーケストラ」全てに対応できる一流の演奏家になれるよう、これからも精進していきたいと思います。