ヤマハ音楽支援制度は、優れた音楽能力を有し、将来音楽分野で活躍が期待される方への支援として「音楽奨学支援」(13歳以上~25歳以下)を実施しています。
今回は2019年度の支援対象者で、現在、東京藝術大学附属音楽高等学校ピアノ専攻3年に在学中の西本裕矢さんにお話を伺いました。
プロフィール:西本 裕矢(ニシモト ユウヤ)
2002年 香川県生まれ、2歳半よりピアノを始める
2008年 ヤマハPTCピアノコンクール飛び級にて優秀賞
2009年 第26回香川ジュニア音楽コンクール金賞第1位・西日本放送賞受賞
2011年 第12回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA小学部門アジア大会金賞第1位、コンチェルトA部門(15歳以下)アジア大会 大会部門史上最年少で金賞第1位
2012年 第13回大阪国際音楽コンクールファイナル 第2位
2016年 第3回スタインウェイ・コンクール全国大会カテゴリーC第1位
2016年 第70回全日本学生音楽コンクール中学生の部全国大会 第2位
2019年 第9回安川加壽子記念コンクールファイナリスト
【演奏活動】
2010年 広島県立美術館主催 「ポーランドの至宝」 開催記念ピアノ演奏会 「ショパンの夕べ」に出演
2014年 フランス・パリユネスコ大会議場にて行われた「広島平和演奏会」に出演
2015年 紀尾井ホール(東京)にて行われた「広島平和演奏会」に出演
2017年 埼玉会館にて飯森範親氏指揮、東京交響楽団とラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』を共演
2018年 広島にて「西本裕矢ピアノリサイタル」を開催
2020年9月 ヤマハ銀座コンサートサロン(東京)にて「西本裕矢 & 小西健太郎ピアノ&ヴァイオリンコンサート」を開催予定
現在、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校3年ピアノ専攻に在学中、青柳晋氏に師事
現在勉強していること
学校では一般学科、音楽科目(音楽理論・鑑賞研究・ソルフェージュ・室内楽)、副科声楽の授業を受けながら、学識や音楽技能、豊かな感性を有する芸術家になることを目指して、研鑽を積んでいます。大学教授の先生の研究室で行われる実技レッスンでは、演奏に対する直感的な発想を広げるためのアドバイスをいただいています。3学年時には、音響効果に優れた東京藝術大学奏楽堂で行われる試験で、研究成果を発表します。日常的に上野公園の自然に触れたり、国立西洋美術館、東京文化会館などで芸術鑑賞をしたりすることができ、恵まれた環境で学生生活を送っています。東京藝術大学附属図書館でも、研究書などの貴重な資料から多くの学びを得ています。
音楽を始めたきっかけ
ピアノ曲や歌を聴いて育ち、ピアノを始めました。
母の手ほどきで最初に練習を開始した教本が、「ヤマハ オルガン・ピアノの本」でした。楽しい絵のついた楽譜に引き込まれ、3歳の私は夢中で弾き歌いをした思い出があります。
印象に残った経験
私が在学する東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校(藝高)は、国内で唯一の国立芸術高校として文部科学省のSGH(Super Global High school)指定校に選定されています。
最も印象に残った経験は、2019年9月、私たち藝高65期生が実施したウィーン・ハンガリー演奏研修旅行における、リスト音楽院での交流演奏会とマスターレッスンです。リスト音楽院を訪問し、音楽院ホールでの交流演奏会を成功させました。その中で私は日本とハンガリーの外交関係開設150周年を祝う演奏会の開幕スピーチを、英語とハンガリー語で行い、聴衆から温かい大歓声をいただきました。
さらに私は、リスト音楽院のBalázs Réti先生から音楽院内のホールでマスターレッスンを受講しました。ショパンの『幻想ポロネーズ』の指導を受け、さらに新しい視点から音楽を捉えられるようになりました。
ハンガリー滞在中は、首都ブダペストの歴史的建造物を見学し、ウィーンでは作曲家ゆかりの地を訪ね、神聖な土地でさまざまなインスピレーションを湧かせました。これは帰国してからの作曲活動にも活かすことができました。
帰国後の12月22日、文部科学省・筑波大学主催で東京国際フォーラムにて行われた「All Japan High School Forum 2019」に、藝高の代表研究生として出場しました。「フランツ・リストから学ぶ音楽家としての使命とは」をテーマに研究活動を行い、SDGs(※註1)における音楽家の社会貢献活動の提言を英語でスピーチしました。インタビュー調査では、藝大音楽学部教授の先生をはじめ、ハンガリー人の国家演奏家と、同じくハンガリー人の藝大指揮科客演指揮者の先生にもご協力いただきました。語学の勉強にもなった経験でした。
2019年夏、霧島国際音楽祭で、ダン・タイ・ソン先生のマスタークラスを受講しました。ソン先生のクラスの受講生の半数は、中国や台湾などのアジア諸国の学生でしたが、私はクラスの中で最年少の受講生合格者でした。ソン先生の音楽は、即興的に書かれたパッセージの心地よいアゴーギクや抑揚、ハーモニーの作り方が独創的であり、ショパンの作曲時の心情が読み取れると思えるほど自然な解釈で、大変貴重な経験ができました。
また、印象に残っていることの一つが、新築で最新の大ホールである群馬県太田市民会館が所蔵されている、ヤマハコンサートグランドピアノ「CFX」です。タッチの繊細さ、温かみと力強さのある斬新な響き、ダイナミクスレンジの広さに魅了されています。私の身体と一体になって演奏を創り上げてくれる素晴らしい楽器であり、時々練習に通っています。
今後の目標
古典派から近現代まで幅広い作品のレパートリーを持つことができるように、引き続きさまざまな時代の楽曲の学習に取り組んでいきたいと考えています。そして、今後受験したい国際コンクールや理想とする演奏活動に向けて、学生時代に学ぶことのできる時間を大切にしたいです。また、海外での留学生活を視野に入れ、1人の人間として立派に社会生活が営めるように、英独の語学学習や料理なども日々修行に励んでいます。
将来は、社会的に活躍する「芸術家」として、成長した姿で世に羽ばたけるように、与えられる学習・演奏の機会を大切にしていきたいと考えています。引き続き頑張ります!
※註1 Sustainable Development Goals
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標
【今後の演奏会予定】
「西本裕矢・小西健太郎 ピアノ&ヴァイオリンコンサート」
日時:2020年9月23日(水) 19:00 開演(18:30開場)
場所:ヤマハ銀座コンサートサロン