ヤマハ音楽支援制度は、優れた音楽能力を有し、将来音楽分野で活躍が期待される方への支援として「音楽奨学支援」(13歳以上~25歳以下)を実施しています。
今回は2019年度の支援対象者で、現在、東京藝術大学音楽学部器楽科オーボエ専攻4年に在学中の小林 加奈さんにお話を伺いました。
プロフィール:小林 加奈(コバヤシ カナ)
1997年生まれ、千葉県出身。9歳よりオーボエを始める。
2013年 第17回 全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテスト中学生の部第1位
2014年 第16回 日本ジュニア管打楽器コンクール銀賞
2018年 第28回 日本クラシック音楽コンクール第1位
2019年 第25回 浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバル、講習会受講
2019年 Oboen-Akademie Bozau(ドイツ)にてD.ヨナス氏の講習会受講
東京音楽大学付属高等学校を経て、現在 東京藝術大学音楽学部器楽科オーボエ専攻4年在学中、これまでに、金光圭子、安原理喜、小畑善昭、吉井瑞穂の各氏に師事
大学では、オーボエ・ソロのレッスンとオーケストラの授業、および室内楽のレッスンを受けている。4年生になってからはオーケストラで勉強する機会も多く、室内楽は「トリオダンシュ」という編成で、昨年に続き同じメンバーで勉強中。
音楽を始めたきっかけ
ピアノは幼い頃から習っていましたが、オーボエを初めて手にしたのは小学3年生の時でした。学校に管弦学部があり、フルートをやりたくて入部したのですが定員オーバーだったので、それまで見たことのなかったオーボエをやることになりました。当時のことはあまりよく覚えてはいませんが、オーケストラの中心で吹けることが気持ち良くて(笑)、毎日一生懸命部活に行っていたことを記憶しています。
両親は音楽家ではありませんが、母は高校までピアノと吹奏楽を続けていたので、幼い頃から楽器をやりたいと言った私を理解し、サポートしてくれました。中学生になってソルフェージュを習い始めた頃から、音楽の道に進むことを意識するようになりました。
「やりたいことをやりなさい」と背中を押してくれた両親にはとても感謝しています。
印象に残った先生、レッスン
大学では、1年生で小畑善昭先生に、2年生からは吉井瑞穂先生に師事しています。
お二人とも本当に「美音」で、レッスンに行って先生の音を聴くと、「ああ、この後に吹きたくないな…」と思うほどです。特に吉井先生のレッスンでは「あなたのその音は、あなたに出せる最も美しい音ですか?」と問われたことがあります。それまでは、美しい音を出したいとは思いつつも、その意識は心のどこかにあるという状態でした。それが、先生の言葉にハッとさせられ、いつも美しい音を出すように意識していないといけないのだと悟りました。それからは常に「今の音は美しかっただろうか?」と自問自答するようになりました。先生方の美音はこうやって生まれているのだと気づけた言葉でもありました。
影響を受けた音楽家・好きな音楽
影響を受けた音楽家はたくさんいます。初めて買ったオーボエのCDはハンスィエルク・シェレンベルガーのものでしたし、ハインツ・ホリガー、モーリス・ブルグ、ゴードン・ハント、フランソワ・ルルー など、挙げたらキリがありません。ずっとCDを聴いていて憧れだった方々のレッスンを受ける機会を、大学内でたくさん設けていただいたことはとても有難いことでした。藝大には招聘教授として毎年海外から先生が来られ、2週間ほど朝から晩までみっちりと全員のレッスンをして下さるのです。特に大学1年の時はシェレンベルガー先生がいらっしゃった年で、初めてお会いしたのですが「夢みたいだ…」と思いました。ずっと憧れを抱いていた方でしたので、お会いできてとても嬉しかったです。
でも、やはり一番影響を受けているのは今まで私を育ててくださった先生方です。
「音」には、その人の人間性や性格が現れる、と日々感じています。そして今まで師事してきた先生は、どの先生も人として尊敬する方ばかりです。音楽のことだけでなく、メンタルの保ち方や日々の生活についてなど、音楽家である前に1人の人間として少しずついろいろなことを教えてくださる先生方には頭が上がりません。
普段聴く音楽はクラシックではないことが多いです。理由は、音量差の大きいクラシックは電車での移動時に聴くのが大変だからです(笑)。クラシックはリード削りの際などの、家でじっとしているときのためにとっておいて、移動時には、Stevie WonderやBUMP OF CHICKEN、星野源などをよく聴きます。BUMP OF CHICKENは中学生のころからの大ファンです!
今後に向けて、近い将来の夢
バロックから近現代まで、幅広い音楽を取り上げていきたいです。またオーケストラや室内楽にもどんどんチャレンジしていきたいです。
また、大学卒業後は留学を考えています。海外のオーケストラのアカデミーに入って勉強することを目標にしています。たくさんの人を笑顔にできるオーボエ奏者になりたいと思っています。
2019年12月28日(開演時間未定)
吉井瑞穂門下によるオーボエ三昧コンサート
場所:鎌倉ギャラリー
2020年2月21日(金) 18:00開場 18:30開演
東京藝術大学オーボエ科定期演奏会
場所: 渋谷区文化総合センター大和田6階伝承ホール