
アンサンブルフェスティバルは、首都圏・関東地区のヤマハ大人の音楽レッスン管楽器・弦楽器コースに通う生徒さんが出演する大規模なコンサートです。2004年から始まり、2年に1度開催されているこのコンサートを、2018年7月16日(月・祝)に、ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川県川崎市)で開催しました。
今回は、昼の部と夜の部合わせて11グループ、総勢930名の生徒さんが出演。日々の練習に加えて、本番前に行われる3回のセミナーで腕を磨き、その成果を舞台上で発表しました。
昼の部はクラシック曲のプログラム。バイオリンのほか、ビオラ、チェロ、賛助出演のコントラバスの総勢100名を超える弦楽器が集まった「クラシックストリングス」の演奏からスタートしました。演奏曲は、マスカーニの『「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲』と、モーツァルトの『「交響曲第40番」第1楽章』。舞台いっぱいに並んだ弦楽器からは、さざ波のようにゆらぐ繊細で美しい音がときに甘く、ときにせつなく響きました。
フルートだけで編成された「フルートオーケストラ(1)」は、軽やかで柔らかい音に混じって奏でられる、車のクラクションや人々の喧騒を表すようなにぎやかな音が楽しいガーシュウィンの『パリのアメリカ人』を演奏。「パリの街を散歩するような恰好で」と、曲に合わせた赤やグリーン、ネイビーなど色鮮やかな衣装が、耳だけでなく聴衆の目も楽しませてくれました。
バイオリンだけで編成した「バイオリンアンサンブル」が演奏したのは、エルガーのポピュラーな3作品。ピアノの伴奏に合わせて『愛の挨拶』『朝の歌』はユニゾンで、『威風堂々』は、メロディとベースラインの二部に分かれて弦の美しい響きを聴かせてくれました。今回が初めての参加という松冨元英さんは演奏後のインタビューで、「緊張して汗びっしょり」だったそうですが、日頃のレッスンは「同じクラスの人といっしょに楽しく練習しています」とのこと。三井香椰子さんも「レッスンは週1回の癒しの時間です」と話してくれました。
続く「フルートオーケストラ(2)」の演奏は、4つの要素からなるロッシーニの『ウィリアム・テル序曲』。なごやかなアルプスの山の夜明けから始まり、嵐がやってきて再び静けさが戻り、最後に軍隊が軽快に行進していく様子を表情豊かに演奏しました。
昼の部の最後は、バイオリン、ビオラ、チェロに目黒吹奏楽団が加わった「シンフォニーオーケストラ」。ブラームスの『「交響曲第2番」第4楽章』は、滑らかな弦楽器の音やインパクトのある金管楽器やティンパニの音が響きあい、穏やかな中にも情熱を秘めた厚みのある演奏で締めくくりました。
夜の部はポップス中心のプログラム。スタートは、今回初めて登場する「フルート&ストリングス」。『リカード・ボサノヴァ』『ウェーブ』『マシュ・ケ・ナダ』と、夏らしいボサノヴァのスタンダードナンバーを、フルート、バイオリン、チェロが軽やかに演奏しました。
クラリネットだけで編成された「クラリネットオーケストラ」は、ドラム、ベース、ピアノとともに、お客さまにもなじみ深い『ゲバゲバ90分!テーマ』『異邦人』『New York,New York』の3曲を、温かみのある音で元気よく演奏しました。
そして、ヤマハ大人の音楽レッスンで開講しているすべての管弦楽器で構成された「ジャズオーケストラ」は、『Tea for Two』で、サックス、フルート、クラリネット、バイオリン、チェロ、トランペット、トロンボーンがそれぞれソロ演奏を披露し、『炎のたからもの』では、遊び心にあふれた演奏を聴かせてくれました。
サックスだけで編成された「サックスアンサンブル」は、アップテンポでノリのいい『シェリーに口づけ』と、スイング感あふれる『My Favorite Things』をサックスならではの迫力ある力強い演奏で聴かせてくれました。演奏後のインタビューで、レッスン4年目という森田祐美さんは「レッスン中は集中するので、いやなことも忘れることができます。また、年齢も職業も異なる人たちといっしょに練習して、終わったあとも1時間くらいおしゃべりするのが楽しいです」とグループレッスンの楽しさを話してくれました。
バイオリンとチェロによる「ポップスストリングス」は、クラシック曲をロック調で演奏することに挑戦。ヴィヴァルディの『四季』と、パッヘルベルの『カノン』をアレンジした『カノンロック』を、ダイナミックな弓さばきで力強く演奏しました。