エレクトーンによる自由な音楽の創造の場として開催しているヤマハエレクトーンコンクール(YEC)。 YEC2015では、ビデオ審査、一次・二次選考会、セミファイナルを経て、2016年1月24日(日)、ファイナルが日経ホール(東京都千代田区)で行われました。6名のファイナリストが、30分以内のソロリサイタル形式で、オリジナル曲2曲を含む4曲の演奏を披露。審査の結果、第2位に2名、第3位に1名の受賞者が選出されました。※第1位は該当者なし。
審査員は「甲乙つけがたく、点数は僅差」としつつ、その中でも「オリジナリティが特に際立った人」が評価を得て高得点を獲得しました。
コンクール全体としては、「音色やテーマが盛り込まれ過ぎて、一番大切なものが伝わりにくいものが見られた」という感想も聞かれました。「伝えたいテーマ、ストーリーの確立を」「お客様とどうつながるかを考えて」「こだわりが狭くならないよう、ライブやコンサートで感動体験を積み、音楽のストックを増やして」などのアドバイスが寄せられました。
第2位 寺島怜志さんのコメント
3年前からYECに挑戦しており、昨年は1次選考で落選したので、受賞できたことに驚いています。 自分らしさを出したくて、今回、4曲すべてオリジナル曲で挑戦しました。ファイナル前日~当日にようやく書き上がったものもありますが、3年前から準備していて、もっとも思い入れがある曲が『avidya‐無明‐』です。
大学受験を控えて浪人していた1年間、音楽から離れていました。大学入学後、もう一度音楽に向き合うかどうか迷った末に、続けていく決意をしたときの気持ちを込めました。
自分の思いを100%伝えられるのはやはりエレクトーンであると感じています。普段から、遊びながら音を作り、面白い音ができたら保存して蓄えを増やしています。今後克服したい課題として、音作りだけでなく、「説得力がある演奏」ができるようになることを目指します。
第2位 細川萌絵さんのコメント
小学1年から毎年コンクールに出場していますが、YECは今回が初めての挑戦です。 正直なところ、自分の思い通りに演奏できたとはいえず、受賞できたことが信じられません。
緊張してしまったのですが、もっと1曲1曲にしっかり熱を込めたかったです。それでも「お客様に楽しんでいただきたい」という思いがあり、そのためにはまず「自分が楽しむぞ!」と、弾きながら自分に言い聞かせました。
プログラムを決める際、雰囲気がまったく異なる4曲で構成したのも、「お客様が楽しめるように」を意識しました。
将来はたくさんの人に演奏を聴いてもらえる仕事ができたら、と考えています。これからもっといろいろなものを観たり、聴いたり、感じたりしながら、私らしい音楽を追求したい。大好きなクラシックに、私ならではの遊び心を加えていきたいですね。いつかジャズにも挑戦したいと思っています。
第3位 森田和弥さんのコメント
受賞できる自信はまったくなかったのですが、とにかく「楽しく弾いたろう」と思って本番に臨みました。
小学校3年生からコンクールへの出場を続けているのも、賞を獲得したいというより、弾くことが楽しいから。
インストゥルメンタルのバンド活動もしていますが、コンクールの独特の緊張感はバンドとは異なる面白さがあると感じています。
今回の4曲はすべてがオリジナルですが、もっともこだわった曲は4番目に弾いた『not light』です。これは高校3年のときに書きました。「人とのつながり」というものに真剣に向き合い、先生や友人たちのことを考えた、当時の熱い思いを込めた曲です。仕上げていく過程では「足し算」したくなるのをぐっと抑え、メロディーが活きるように心がけました。
今回の挑戦では力不足を感じた部分もありましたので、さらに磨きをかけて、これからも音楽を続けていきたいと思います。
※「YEC2015」の審査講評およびファイナリスト演奏動画(抜粋)は、2月下旬「YECオフィシャルサイト