エレクトーンプレイヤー・平部やよいの待望のソロコンサートが、バレンタインデーの2016年2月14日(日)にヤマハ銀座スタジオで行われた。ゲストを招き隔年で開催してきたリサイタルシリーズ『Chamber Tone』とは一線を画したセルフプロデュースのソロコンサート。「よりシンプルで楽しめる曲を」と、自作曲だけでなく、カバーやセルフアレンジも入れたプログラムがラインナップされた。
1982年にリリースされたLP「フラッシュ・ポイント」からの懐かしいナンバー『Santa Ana Freeway』でコンサートの幕開き。アメリカのフリーウェイの風景が爽快な音に乗って届けられ、デジタルとブラスが強烈に交錯する『竹林』へと続く。平部が奏でたいと語るのは「どのジャンルにも分類されず、どの実在する楽器にも実演できない、エレクトーンだからこそ奏でられる音楽」。スタートからその言葉を体現した、デジタルとオーケストラが融合したサウンドが会場いっぱいに広がっていった。
第1回目のJOC(ジュニアオリジナルコンサート)に出演した際の、当時中学1年生という幼きやよい少女が創った『雨』では、STAGEA02の瑞々しいサウンドで雨を楽しんでいる情景がファンタジックに描き出される。対照的にバレンタインデーにちなんで奏でられた『My funny valentine』はエレピとフリューゲルホルンのコンビネーションでぐっとシックに。そして前半のラストは『黎明』『Mobius circle』の大曲を続けて。リアルタイムで変化するデジタル音が重なり合い変化し合い、そのエッセンスが不可思議な異空間へと誘った。
後半はクラシックギターの温かな音色とともにスタート。オーケストラとエレクトーンのためのコンチェルト曲『Parallel Motion Ⅱ』の2楽章をソロ用にリアレンジした楽曲で、繊細な表現力からやさしさがにじみ出てくる。一転、JOCオープニング曲としておなじみの『Fly over the world』は、子どもたちへの「世界へ羽ばたいてほしい」という想いが、軽快なリズムに乗って躍進するポジティブなナンバー。作曲家自らの生演奏でこの曲が聴ける機会は貴重!