中学生以下のピアノ学習者を対象に、ピアノを学ぶ生徒の学習と研鑽、若手ピアニスト育成の場として2016年より開催している「ヤマハジュニアピアノコンクール(YJPC)」。音楽ジャンルを問わないことや、編曲演奏の要素が含まれるなど、演奏曲の自由度や幅広さが特長となっており、年齢別に4部門で展開しています。
2017年12月28日と2018年3月27日・28日に、コンクールの審査員でもあるパスカル・ドゥヴァイヨン氏を講師に迎え、「ピアノ特別レッスン」を実施しました。これは「第2回YJPC」(2017年開催)の第1位から第3位入賞者を対象に、副賞のひとつとして学習の機会を提供したもので、ヤマハ音楽振興会本部(東京都目黒区)、ヤマハなんばセンター(大阪府大阪市)で、合計13名が60分間から90分間のレッスンを受講しました。
世界中のピアニストから、その指導を受けたいと熱望されるパスカル・ドゥヴァイヨン氏。言葉だけではなく、実際に演奏したり、フレーズを歌ったり、拍子感を身体全体で表したりなど、ピアノへの情熱あふれる指導、また受講生ひとりひとりが持つ創造性を大切に指導される姿から、氏の人間的な暖かさが伝わってきました。受講者に対し「何を想って弾いてる?」「ピアノ以外の楽器で弾くとしたら?」「色をつけるとしたら?」といった時折投げかけられる質問からは、受講者本人が作品を掘り下げ、イマジネーションを広げられるような配慮があり、リズムについては「ワルツを踊るように、クルクル回るんだよ」と、自らステップを踏んで見せる場面もありました。また、「弾き方の癖を直さないと、大きくなって背中を痛めてしまうから」と姿勢についてもアドバイスするなど、さまざまな角度から丁寧に指導されました。
受講者からは、「身振り手振りで教えていただいて、とてもわかりやすかった」。また、「楽しかった」という声も聞かれました。「日本人はどうしても内向的というか、縮こまった演奏になりがちなので、今回外国の先生にレッスンしていただいて、自由な発想で弾くことを学べました」との感想も。緊張の中でもたくさんの学びを得る貴重な機会となりました。
今年度、第3回を迎える「YJPC」は、既に3月より全国28地区で「地区予選」がスタートしています。その後、5月20日から6月16日の間に全国6エリアで「エリアファイナル」を開催。「グランドファイナル」は7月23日(月)・24日(火)の両日、紀尾井ホール(東京都千代田区)で開催予定です。全て公開形式で行われます(地区予選・エリアファイナルは入場無料)ので、ぜひご来場ください。
-パスカル・ドゥヴァイヨン-
1978年のチャイコフスキー国際コンクールで、フランス人ピアニストとして過去最高位となる第2位を獲得するほか、名だたる国際コンクールで上位入賞。レパートリーは多彩で幅広く、これまでNHK交響楽団、ロンドンフィルハーモニックオーケストラをはじめとする、世界的オーケストラと共演を重ねる。室内楽でも著名演奏家と共演。近年は、夫人である村田理夏子とピアノデュオを組み本格的に活動を開始し、すでに世界各地から招待を受ける。
パリ高等音楽院(コンセルヴァトワール)教授を経て、現在ベルリン芸術大学教授、英国王立音楽院(ロイヤルアカデミー)客員教授および準名誉会員、桐朋学園大学特任教授を務める。核心をついた丁寧かつ熱心な指導法には定評があり、教えを乞う者が後を絶たない。
2018年5月20日(日)には東京・浜離宮ホールにて、オールラヴェルプログラムによるリサイタルが予定されている。