
「ヤマハジュニアピアノコンクール(YJPC)」(主催:(株)ヤマハミュージックジャパン、共催:ヤマハ音楽振興会、後援:ヤマハ株式会社)は、ヤマハの教育理念のもと「楽譜から演奏者自身が感じたものを自由に表現してほしい」「音楽の幅や演奏表現の幅を自由に広げていってほしい」という願いから、満15歳以下のピアノ学習者を対象に、学習と研鑽、および若きピアニスト育成の場として 2016年より開催してまいりました。
第6回となる今年は、国内外を問わず、グローバルな活躍が期待される若手演奏家の支援を強化するため、満18歳以下の有望な若手演奏家の発掘・育成を目的とした「ユース部門」が新設され、2021年7月29日(木)にヤマハホール(東京・銀座)でグランドファイナルが開催されました。当日は、事前の映像審査、6月13日(日)に行われたセミファイナルを通過した4人のファイナリストたちが出場、日頃の研鑽の成果を出すべく、45分程度にまとめたプログラムを演奏しました。
厳正なる審査の結果、第1位に菅原千尋さん、第2位に神原雅治さん、第3位に大同理紗さんが選ばれました。
出場者と演奏曲目
第1位:菅原千尋さん(14歳)
第2位:神原雅治さん(18歳)
第3位:大同理紗さん(17歳)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第1番 ハ長調 BWV870
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第26番 変ホ長調Op.81a全楽章
ショパン:序奏とロンド 変ホ長調 Op.16
ラフマニノフ:絵画的練習曲「音の絵」Op.33-6 変ホ短調、Op.33-7 変ホ長調、Op.39-9 ニ長調
河原由依さん(16歳)
今もてる力を出しきった満足感からか、出場者のみなさんがリラックスした和やかな様子で表彰式に臨んだあと、審査員お二人から講評がありました。
審査員講評
迫昭嘉氏(ピアニスト、指揮者、東京藝術大学教授)
今日弾いていただいた皆さん、お疲れさまでした。コロナの大変な状況の中、毎日練習してここまでくるのは大変なことだったと思います。4人の方それぞれの演奏をとても楽しく聴かせていただきました。みなさんの年齢は、ちょうど大人になる変わり目の時期です。今までは気持ちよく弾けたとか、楽しく弾けたというレベルだったかもしれませんが、これからは、作曲家が身を削って作った作品をどのように人に伝えていくかという方に少しずつシフトしていってほしいなと思います。そのためには、作品の理解を深め、さらに自分がどんな音を出しているのか客観的に聴けるようにしてください。
岡田敦子氏(ピアニスト、東京音楽大学教授)
このコンクールは、国際コンクールにつながっていけるようにという大きな目的で開催されていると聞いているので、皆さんにお伝えしておきたいことがあります。自由曲のプログラミングは、自分が本当に心から共感できるような曲を選ぶ。また共感できるような自分を育てていってください。そして、若い人にとって古典派の曲を弾きこなすことはなかなか難しいと思いますが、国際コンクールでは、当然演奏することを要求されます。古典派の時代は、弦楽器や管弦楽の合奏が中心だったことを考えると、ピアノを弾いたり、ほかのピアニストの演奏を聴くだけではなく、この時代の管弦楽の演奏を、録音やできれば生で聴く体験をして、ハイドンやベートーヴェンの作品がどういうものかを知ることを通じて自分を育てていき、大きく羽ばたいてもらいたいと思います。
国際的な演奏家としての成長を支援するため、入賞者にはヤマハ主催のコンサートへの出演や、国内外でのピアノマスタークラスへ参加する機会など、さまざまなサポートが行われます。若き演奏家たちのさらなる活躍が期待されます。
※第6回 YJPC各部門の受賞結果はこちらからご覧いただけます。