
中学生までのピアノ学習者の研鑽、および若いピアニストの育成の場として2016年より展開しているヤマハジュニアピアノコンクール。第3回となる今年も、2018年7月23日(月)24日(火)の両日、紀尾井ホール(東京都千代田区)を舞台にグランドファイナルを開催しました。全国6エリアでのエリアファイナルを通過した38名が、課題曲、課題編曲、自選曲を演奏。厳正な審査を経てB、C、D各部門の入賞者がそれぞれ選出されました(A部門はエリアファイナルが最終審査)。受賞結果はこちら。
各部門で第1位を受賞した皆さんの、喜びの声をご紹介します。
(同位は出場順に掲載/年齢は開催日時点)
B部門第1位 山平 爽太さん(10歳)
音がよく響くホールで、いつもよりも楽しく弾けて気分がよかったです。ハイドンは誰かと会話をしているようなイメージを表現しました。『おおスザンナ』は曲調がいろんなふうに変化するのがおもしろく、ジャズっぽくなるところがお気に入りでした。自選曲のモンサルバーチェは『きらきら星』のメロディーが急に出てくるので、聴いている人をびっくりさせようと思いながら弾きました。
ピアニストらしい表現ができるように練習を続けて、将来はオーケストラと共演できるようになりたいです。
B部門第1位 小野 里紗さん(11歳)
今日は大きな舞台で演奏できてとても嬉しいです。舞台に出る時は緊張しましたが、演奏を始めたら落ち着いて弾くことができました。1曲目のベートーヴェンは「自己紹介をするような気持ちで笑顔で」という先生からのアドバイスもあり、できるだけ明るい気持ちで弾きました。『時の踊り』はリストをイメージして強弱の差にこだわって編曲しました。先生には幼児科の時から教えていただいていて、今日は「私の演奏に感動した」と褒めてくださったので感激しています。
これからも大好きな古典派の曲などをたくさん練習してさらに大きな曲に挑戦していきたいです。
C部門第1位 小田 愛音さん(12歳)
憧れの紀尾井ホールで思いきり気持ちよく弾くことができました。課題曲のモーツァルトはオペラのイメージで、人の声でメロディーをきれいに歌っているように聴こえるように弾きました。『スケーターズ・ワルツ』は伴奏を変奏したりエンディングを加えたり、工夫して編曲をするのが楽しかったです。自選曲のサン=サーンスはアパッショナートの意味「情熱」を意識して弾きました。地区予選では何日も前から緊張してしまうこともあったのですが、よい結果になって嬉しいです。
今後ももっとレパートリーを増やして、自分らしく個性的に演奏したいと思っています。
D部門第1位 岡田 季樹さん(15歳)
いちばん好きな作曲家であるハイドンを1曲目に選び、安心感を持ってスタートでき、とても楽しく弾けました。自選曲のメンデルスゾーンはきれいな部分と力強いところの音色の違いが出せるようにしました。「自分の音をしっかりと聴いて、響きを楽しんで弾くように」と先生からアドバイスをいただいていたので緊張しても一つ一つの音に耳を傾けるようにしました。『峠の我が家』はメンデルスゾーンの作風をイメージしてメロディーが引き立つアレンジを心がけ、自選曲と課題編曲との一体感を表現できたと思います。
これからも大好きなハイドンのことをさらに知り、多くの作品に触れたいです。またピアノだけでなく作曲や編曲にも力を入れて、自分の表現したい音楽を追求していきます。
主な審査員のコメント
上原彩子氏(ピアニスト、東京藝術大学准教授)
大人が弾くことを想定して書かれた曲を成長の途中である皆さんの年齢で弾くには、想像力を膨らませて音楽から多くのことを感じ、楽譜を細かく読み取るといった取り組みがとても大切です。日本で勉強している私たちにとって遠い異国の作曲家、違う時代を生きた作曲家が創った作品を理解する難しさもありますが、そうした全てを楽しみながら、楽譜の裏側まで読むつもりで勉強を続けてください。
青柳晋氏(ピアニスト、東京藝術大学准教授)
大人びた表現力や楽器の鳴らし方の上手さなど、皆さんの演奏に感心しながら聴いていました。そうした中で、次の曲を弾くときに曲間をあまり空けずに次の曲を弾き始めてしまう傾向が少し気になりました。これだけ豊かな響きの会場では、曲を弾き終えた後もその雰囲気がしばらく漂っているものです。それが消えたのを確認してから次の曲を弾くようにして意識してみましょう。
パスカル・ドゥヴァイヨン氏(ピアニスト、ベルリン芸術大学教授、英国王立音楽院客員教授)
皆さんがそれぞれベストを尽くし、素晴らしい演奏を聴かせてくれたことに感謝します。良い音楽家になるためにますますピアノを愛し、好奇心を持ち続けて欲しいと思います。音楽を聴くだけでなく本もたくさん読み、自分の周りで起こっていることに常に目を向けましょう。これから知ることがまだまだたくさんあるということを自覚して成長していってください。
第3回ヤマハジュニアピアノコンクールグランドファイナルの審査員コメントは8月末に、第4回概要は9月中旬にオフィシャルサイトに掲載予定です。