1964年に始まり、57年もの歴史を重ねてきたエレクトーンコンクール。時代とともにさまざまな形態・部門で展開され、現在開催されているヤマハエレクトーンフェスティバル(YEF)は、子どもから大人まで日ごろの学習成果披露およびエレクトーン演奏の楽しみを発信する場として、また演奏力・音楽力向上を目的としたコンペティションとして、多くの人の目標となっています。
ソロ演奏部門の最終ステージであるYEF2021グランドファイナルは、2022年1月29日(土)、30日(日)の2日間にわたって、よみうりホール(東京都千代田区)で開催されました(主催:(株)ヤマハミュージックジャパン、共催:ヤマハ音楽振興会)。
昨年度はコロナ禍で中止となったため2年ぶりの開催。特約店大会、地区大会、一般部門審査会、セミファイナルを経た43人が、久しぶりの大きな舞台で演奏できる喜びと感謝を込め、最高のパフォーマンスを次々に披露していきました。
また審査の時間を利用し、来日が叶わなかった海外エントリー7名の演奏ダイジェスト映像が会場で上映され、客席からは温かな拍手が沸き上がりました。
1日目は小学生高学年部門、中学生部門で、自由曲と、事前に発表された楽譜を自由なレジストレーションで演奏する課題(高学年:『ふるさと』/中学生:『愛の挨拶』)の2曲を演奏。2日目は小学生低学年部門、一般部門の開催で、小学生低学年部門は自由曲を演奏。一般部門はオリジナル曲またはオリジナルアレンジ曲の演奏と、事前に提示された2曲(『山の音楽家』『スカボロー・フェア』)のうち、いずれかを選曲、4分以内に編曲する課題編曲演奏で審査が行われました。
熱演が繰り広げられた結果、第1位に選ばれたのは、小学生低学年部門は髙安 紗季さん(小学1年生・大阪府)、小学生高学年部門は赤坂 哲さん(小学6年生・茨城県)、中学生部門は松尾 和香さん(中学3年生・兵庫県)、一般部門は井上 暖之さん(高校1年生・京都府)。
審査員からはコロナ禍に負けず練習に励み、素晴らしい演奏を披露した出演者への賛辞とともに、保護者や指導者への感謝の言葉も述べられました。出演者に対しては「詰め込みすぎず、演奏時間の中での構成感を考えてみては」「会場の広さを加味した演奏の伝わり方を研究してほしい」「音色がたくさん出せることに頼りすぎないで、指での表現力に強い意識を」など、今後に生きる多くのアドバイスも送られました。最後に審査員長の水戸瀬秀(ヤマハ音楽振興会)から、「確かな演奏技術や表現に加え、聴衆の心に響かせる音楽を意識し“普通にうまい”から一段上がった“感動できる演奏”を目指してほしい」とエールを込めた総評を行いました。
一般部門 第1位 井上暖之さんコメント
正直驚きが大きいのですが、ここまで来られたのも支えてくださった方のおかげ。感謝の気持ちが一番強いです。ここまで苦しいことも多かったので、受賞ができてホッとした気持ちです。ミスタッチも結構あったのですが、楽しく演奏できたので満足しています。
エレクトーンでしか出せない電子音や効果音にとてもこだわっていて、自由曲、課題編曲ともに時間をかけて作っています。課題編曲では『スカボロー・フェア』の風景に溶け込ませた効果音をどうしても入れたくて、弾くのを諦めるパートもあったほど。自由曲では電子音だけで作ることをテーマに、みんなが聴いたことのない音になるよう、一音ずつカスタマイズしていきました。