今回は、ヤマハ音楽教室出身で、現在プロのオーケストラ団員として第一線で活躍されている金管楽器奏者3名の方に座談会形式でお話を伺い、教室に通っていた頃の思い出や、音楽に対する思いなどを語っていただきます。プロの演奏家ならではの視点も交えた楽しいお話を3回にわたってご紹介します。
進行:元田健太郎 [ヤマハ音楽振興会 教育指導本部]
ヤマハ音楽教室の思い出
元田:
これまでもヤマハ音楽教室出身の、鍵盤楽器が専門の方にお話を伺う機会はあったのですが、管楽器奏者の方々にこのような形でお話しを伺うのは初めてなんです。本日はとても楽しみにしておりますのでよろしくお願いします。
それでは早速、みなさんがいつごろからヤマハ音楽教室にお通いだったかお聞かせいただけますか?
鳥塚さん:
僕は4歳から通っていました。うちは兄弟3人みんな通っていたんです。
岸上さん:
僕も「幼児科」に通っていたことを覚えています。母がヤマハ音楽教室の講師をしていて。当時、幼児科より下のコースってありましたか?
元田:
そうですね、「なぁ~にちゃん」というキャラクターのコースがあって・・・。
長谷川さん:
あっ!、ひよこの(口をとがらせて)口がこういう?
元田:
そうですそうです。
岸上さん:
覚えてるかも!
元田:
長谷川さんと岸上さんは「なぁ~にちゃん」の登場する3歳のコースからお通いだったようですね。
記憶に残っているエピソード
元田:
当時のことで、特に記憶に残っていることなどはありますか?
長谷川:
先生が優しかったことはとても印象に残っています。10代になって音楽学校受験に向けてピアノの個人レッスンを受けた時は、ヤマハの優しい先生のイメージがあったので、厳しいレッスンに驚いたくらいです(笑)。あと、僕は北海道の函館出身で、街の中心地にあるデパートの中にある会場に通っていたのですが、レッスンの後に買い物できるのがとても楽しみでした。
岸上:
僕も似たような思い出があります!通っていたのはスーパーの 3階の教室だったのですが、駅の反対側のビルにおもちゃのお店があって、親によく連れて行ってもらっていました。
元田:
レッスン前後のことも、当時子どもだった皆さんにとってとても思い出深い風景なんですね。レッスンの内容で印象に残っていることはありますか?
鳥塚:
そういえば、変奏とかは苦手だった記憶があります。
岸上:
変奏、あったかも!
元田:
ヤマハはグレードなどでも、メロディーをいろいろと形を変えて表現する「変奏」に取り組みますからね。今は第一線で活躍されている音楽家の皆さんも最初から何でもできたわけではないのですね。
岸上:
そういえば皆さん作曲した記憶はありますか?僕は、『猿』と『鳥』という曲を創ったんです。今でも『猿』だけは何となく覚えています。
長谷川:
はっきりは覚えていないのですが、自分で創った曲を譜面に書いたことをなんとなく記憶しています。先生にアドバイスしてもらって、だんだん出来上がってきた曲を清書して・・・そしてその譜面を「青いバインダー」にはさんでいた記憶があります。
元田:
その「青いバインダー」、今度探し出してぜひ演奏していただきたいですね(笑)。皆さんレッスンはいつ頃まで続けられたのでしょうか?
長谷川:
小学校3年生になって、ブラスバンドのクラブ活動でトランペットを始めたのですが、それまではヤマハでジュニア専門コースに通っていたと思います。
岸上:
僕は4年生の頃に当時気になっていた同じグループの女の子がやめてしまって・・・それをきっかけに自分もやめてしまいました(笑)。ジュニア専門コースに進んでいたのですが、今となっては、途中でやめてしまったことが悔やまれます。
現在の音楽生活に繋がっているところ
長谷川:
幼児科に通っていた頃は、記憶があいまいな部分もあるのですが、気がつくと生活の中に自然に音楽がある環境だったことはありがたかったな、と親に感謝しています。トランペットを始めるにあたっても、自分の中に自然に音楽の根幹が入っていたことでスムーズに始められたと思います。
鳥塚:
僕は幼児科からジュニア科エレクトーンコースに進んで、そこでエレクトーンをやっていたこともあって、コード(和音)を理解できるようになったことが良かったです。歌曲などを演奏する時も、自分でコードを付けたりして。大学時代の教育実習もコードの知識が役に立ちました。クラシックだけじゃなく、いろんなジャンルの曲に触れられたこともよかったですね。エレクトーンは中学2年生くらいで足のベースの動きが大変になってやめてしまいましたけど(笑)。
長谷川:
あと僕は、グループで音楽を始めた経験が根底にあるためか、人と一緒に演奏することが自分の中でとても自然なんです。常に周囲の音を聞きながら、自分の音を合わせる、という感覚がとても居心地がよくて。「トランペット吹き」の性なのかもしれませんが、自分が目立つところもほしいけど、ずっと見られているのはいやというか(笑)・・・
(第2回へつづく)
次回(第2回)は、ヤマハ音楽教室の話から発展し、現在演奏されている楽器との出会いなどについて伺います。また、今回の座談会の特別企画として、3人に幼児科のテキスト収載曲を演奏いただいた動画もご紹介する予定です!どの曲が演奏されるか?ご期待ください。