ヤマハ音楽教室OBでプロのオーケストラの金管楽器奏者として活躍されている3名の方にお話を伺う企画の第2弾。今回はヤマハ音楽教室の話から発展し、現在演奏されている楽器との出会いについて伺います。また、テキスト収載曲の特別金管アンサンブル演奏動画もお届けします!
進行:元田健太郎 [ヤマハ音楽振興会 教育指導本部]
ヤマハ音楽教室で身についたもの
元田:
そういえば今回の座談会企画について、皆さんのことをご存知の音楽家の方と話す機会があったんですが、「彼らはヤマハ音楽教室出身なんですね? 耳がいいと思っていたんですよ。」と仰っていたんですよ。
長谷川さん:
本当ですか?(笑)。僕自身は当時楽しく通っていたのですが、あまり鍵盤を弾くのが得意だったわけではないんです。ただトランペットを始めた時に、音感とか和声の感覚とかがあったのでスムーズに始められたと思います。
鳥塚さん:
僕はコーラスをやっていたことがあるのですが、自分のパートと他のパートの音を、鍵盤楽器の和音のイメージで捉えることができていました。
元田:
ホルンの楽譜で「ド」と書かれた音を吹くと「ファ」の音が鳴るので、目で見た音と耳で聴こえてくる音が違うことで、最初は違和感があるんですよね。
岸上さん:
でも今となっては、音感があることで、自分がこれから吹く音をあらかじめ予想してから吹けるので、楽譜の読み換えもスムーズにでき、「とても得したな」と思っています。
長谷川さん:
レッスンの時にそのような力を鍛えられているつもりはないのですが、いい響きを自然と覚えることでそんな力がついたのかもしれないですね。それはトランペットを吹く時にも役に立ったと感じます。あと、レッスンでは楽譜を書く経験をするから、初めて渡された楽譜も苦労せずに読めるようになりました。楽しみながらやっていたから、すんなりと身についたのかもしれませんね。
金管楽器との出会い
元田:
現在の楽器に取り組むようになったのはいつ頃ですか?
長谷川:
僕は小学校2年生の時、誕生日にコンサートのチケットを親にプレゼントされて、ニニ・ロッソというトランペッターの演奏を見て「これだ!この楽器やりたい!」と思ったのがきっかけです。
元田:
素晴らしい出会いですね!
長谷川:
子どもだったので、実は誕生日プレゼントが「コンサートのチケット」だと知ったときはとてもがっかりしたんですけど(笑)。それまではトランペットという楽器を聴いたことも見たこともなかったので・・・。普通小学生が有名なトランペッターのコンサートに行っても、あっけに取られるだけかもしれませんよね。でも、ヤマハに通っていたことで、自然に音楽を受け止められる下地ができていたのかもしれません。そのおかげで、強く感動できる体験につながったのかな、と思います。
元田:
他の皆さんはどうですか?
岸上:
僕は中学でブラスバンドを始めたときにホルンを選択しました。
鳥塚:
僕も中学でビッグバンドを始めた時ですね。実はドラムとか、トランペットとかも「かっこいいな、やってみたいな」と思っていたんですが、「お前男だからトロンボーン!」というふうに決まってしまいました(笑)。でもやり始めたらほんとに楽しくて、ヤマハのテキストに、有名なメロディーが書かれた楽譜があったのですが、それを出してきて順番に演奏したりしていました。
本格的に音楽の道へ
元田:
オーケストラに入りたいと思ったのはいつ頃からですか?
鳥塚:
僕は大学受験がきっかけかなぁ・・・それからオペラとかバレエとか、オーケストラで伴奏をする機会があった時に、本当に楽しくて。「どうやったらこれをずっと続けていけるだろう」と真剣に考えて・・・やっぱりオーケストラに入ろう!と思いました。
岸上:
僕は音楽高校に進んだのですが、進学してから、それまでと違うレベルでオーケストラに触れる機会が増えて、その素晴らしさを感じる中で、この世界でやっていきたいといと願うようになりました。
長谷川:
僕はいつ頃この道に進むと決めたのか、記憶があまりないのですが・・・(笑)。音楽との出会いが自然だったから、トランペットも自然に続けてこられたのかもしれませんね。でも小さい頃から人と同じことをするのは嫌だな、とは思っていました。そしてトランペットに関してだけは、「絶対にやめない」という意志を持って続けてきました。「中途半端にしたくない、できないことは必ずできるようにしたい」という気持ちで取り組んできたと思います。(第3回につづく)
『めんどりとひよっこ』~金管アンサンブル~
今回の座談会の特別企画として、ヤマハ音楽教室 幼児科のテキスト「ぷらいまりー3」収載曲を、3名に演奏していただいた動画をご紹介します!
次回(第3回)は、音楽家としての活動についてさらに詳しく伺うほか、読者の皆さまへのメッセージもお伝えします。(第1回の記事はこちら)