ヤマハ音楽支援制度は、優れた音楽能力を有し、将来音楽分野で活躍が期待される若手音楽家への支援として「音楽奨学支援」(13歳以上~25歳以下)を実施しています。
今回は2019年度の支援対象者で、現在 東京藝術大学音楽学部器楽科ヴァイオリン専攻1年に在学中の佐々木つくしさんにお話を伺いました。
プロフィール:佐々木 つくし(ササキ ツクシ)
2000年生まれ、3歳よりヴァイオリンを始める
2015年 第17回 日本演奏家コンクール中学校の部第1位、併せてテレビ神奈川賞受賞
2015年 第69回 全日本学生音楽コンクール中学校の部 東京大会奨励賞、全国大会入選
2016年 第10回ベーテン音楽コンクール高校の部第1位
2017年 第18回 洗足学園ジュニア音楽コンクール高校の部最優秀賞、弦楽器部門グランプリ受賞
2018年 第87回日本音楽コンクール第2位、併せて岩谷賞(聴衆賞)、黒柳賞受賞、NHK FM『リサイタル・パッシオ』に出演
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部1年在学中
これまでに、川合左余子、川上久雄、小林美恵、清水高師の各氏に師事
現在、玉井菜採、ドンスク=カン、渡辺玲子の各氏に師事
現在勉強していること
今年度から大学で玉井菜採先生とドンスク=カン先生に師事していて、ほぼソロを中心に勉強しています。玉井先生はとてもロジカルなレッスンで、今の私に足りないことをいろいろな視点から明確に教えてくださるので、毎回目を開かれる新しい発見があります。
カン先生は体の内から出てくる音楽への情熱がすさまじく、音楽を演奏することにおいて根本的に大切なことを気付かされます。
また、プライベートでは渡辺玲子先生にレッスンをしていただいていますが、先生は音色に対するアイデアや技術的な引き出しが多く、とても刺激的なレッスンです。
音楽を始めたきっかけ
音楽にほぼ縁のなかった両親ですが、私の幼稚園入園を機に、母が駅前の音楽教室でヴァイオリンを習い始めました。最初は母のレッスンに付いて行くだけでしたが、次第に「私もやりたい!」と言い出して、母と同じ教室で3歳の終わりころから始めました。
印象に残ったレッスン、経験
もともとヴァイオリンの美しい音が好きでしたが、あるとき玉井先生にレッスンで、「常に美しい音じゃなくてもいいんだよ」と言われたことがあります。音楽は人間が持つ感情をすべて包容しているので、ときには絶望的で響きのない音、金属的で冷たい音などがあってもいいのだと思い、音に対するイマジネーションが一気に膨らんだ瞬間でした。
印象に残っている経験はたくさんありますが、ものすごく良い緊張感の中で音楽を心から楽しめた本番として、高校時代に修学旅行で演奏した弦楽合奏と日本音楽コンクールの本選会が、私の中でとても思い出深いものとなっています。
また、ヨーロッパのセミナーで初めて海外のお客さまの前で演奏しましたが、お客さまがみんなクラシック音楽を愛していて楽しそうに聴いてくださっている、そんな中で演奏することはとても気持ちの良いことだと気づきました。
影響を受けた音楽家、好きな音楽など
フランク・ペーター・ツィンマーマンの大ファンで、定期的にYouTubeで彼の名前を検索しては聴いています。彼の音楽は正統派かつ自然体で、音楽そのものが生きているように聞こえます。またオーケストラとのアンサンブル能力も素晴らしく、スコアが頭の中にすべて入っているからなのか、時々コンチェルトの間奏の場面で、セカンドヴァイオリンやヴィオラのパートを弾いていることがあるくらいです(笑)。他にもオーギュスタン・デュメイとマリア・ジョアン・ピレシュや、ギドン・クレーメルとマルタ・アルゲリッチのデュオも好きですし、プロコフィエフなどのロシア音楽を勉強するときにはレオニード・コーガンの録音を必ず聴きます。
今後チャレンジしたいこと、目標
まずは国際コンクールに挑戦したいです。海外へ出てみて自分の音楽がどのように評価されるのかとても興味があります。演奏面では音色の種類をたくさん増やし、自由自在にいろいろな音を操れるようになりたいです。
具体的に将来どのような演奏家になりたいのかはまだ決まっていませんが、ソロも室内楽もオーケストラも全てに魅力を感じるので、今はさまざまな分野の勉強を重ねていこうと思っています。