ヤマハ音楽支援制度 2021年度「音楽奨学支援」は、将来音楽界の第一線で活躍が期待できる音楽学習者5名が対象となり、2021年4月26日(月)認定証授与式をオンラインにて実施しました。
式では、まずヤマハ音楽振興会理事長の中田卓也が挨拶し、「コロナ禍による閉塞感が広がる中、先行きの見えない不透明で不安な状況が続くからこそ、人と人との絆を深くする『音楽の価値』が見直され、人々の生活に『なくてはならないもの』として再認識されています。皆さんはその『なくてはならない音楽の担い手』であり、高い志を持ち続け、さらに大きく飛躍されることを心から祈っております」と祝辞を述べました。
その後各対象者が今後の抱負を交えながら、支援対象者に選ばれた喜びを語りました。
井上 陽南子さん(ハノーファー音楽演劇メディア大学/専攻:ピアノ)
このたびは、奨学生に採用していただき誠にありがとうございます。学びを深め、さまざまなことに挑戦する機会をいただけたことに、心から感謝しております。
ドイツでは、昨年より新型コロナウィルス感染症拡大防止のためロックダウンが続いており、対面でのレッスンが叶わず、演奏会やその他芸術関係の催しなども行うことが難しい状況です。私もどのように音楽と向き合うべきか、どのように学んでいくのかということを自問自答する機会が多くなったように思います。ソロだけでなく、伴奏や室内楽など誰かと演奏する喜びや奏者同士のコミュニケーションによりいっそう大きな感動を覚えるようになったのもこの頃でした。
今後も真摯に音楽と向き合い、一生を通じて音楽を学び続ける意思を育むものとなるよう、今できる全てを模索しながら貪欲に吸収し、誠心誠意励みたいと思っております。
宇野 由樹子さん(バーゼル音楽院/専攻:ヴァイオリン)
このコロナ禍において、残された限りある学生としての期間をこうしてヤマハ奨学生として過ごさせていただける事は大変ありがたく、寛大なご支援に心より感謝しています。
現在師事しているライナー・シュミット教授のもと、ライン川が流れる開放的なバーゼルで勉強を始めてから、無意識にかけてしまっていた音楽表現のリミットを外し、実験的に無限の可能性を探るようになり、自分の中で意識の変化を感じています。
今後はソロや室内楽の勉強を通して成長を図りつつ、オーケストラを含めたあらゆる形態でのコンサート活動を増やし、意欲的な活動を目指したいと考えています。
奨学生としての自覚を持って勉強に取り組み、幅広い視野から多くを吸収し、確立した音楽家になれるよう日々邁進してまいります。
島方 瞭さん(ミュンヘン音楽演劇大学/専攻:ヴァイオリン)
現在、ドイツ(ミュンヘン)で学んでおりますが、こちらに来てから約半分くらいはコロナ禍での生活となっています。大変厳しい状況が続いておりますが、このような環境の中で、自分自身と向き合う時間がとても多くなっており、足りないものが浮き彫りになっていく感覚がありました。その中で、より自分を高めていきたいという思いから、今回ヤマハ音楽支援制度に応募させていただきました。
今後もより一層時間をかけて音楽を深く追求していけることに、大きな喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。このたびは誠にありがとうございました。
佐藤 桂菜さん(ジュリアード音楽院/専攻:チェロ)
このたびは奨学生に選んでいただきありがとうございます。とても身の引き締まる思いです。
今年度の目標は、夏に受けるコンクールで良い成績を残すことです。それに向けて毎日練習に励んでいます。また、いくつかコンサートやセミナーも予定しているので、しっかりと準備をして最高の演奏が出来るようにしたいです。
コロナ禍で世の中が暗くなっている中、私の演奏がほんのわずかでも皆さまの日常に潤いを届けることができたら幸いです。また、音楽がどれほど重要かというものを改めて知り、それに携わっているということに感謝し、これからも勉学に励んでいきたいと思います。
ヤマハの奨学生ということに誇りを持ち、この素晴らしい機会を生かしてさらに精進し、将来は国際的に活躍できる音楽家になれるよう努力してまいります。
片岡 友紀さん(ローザンヌ高等音楽院/専攻:クラリネット)
私は将来、オーケストラ団員、またソリストとして世界的に活躍できる音楽家になりたいと思っています。現在在学中の音楽院をマスター課程まで修了し、その後プロのオーケストラに入団したいです。
学業をこのまま継続すること、特に国際コンクールに挑戦するためには時間とお金を要します。本来は参加することが難しいコンクールがたくさんありますが、奨学金制度による金銭的な支えはとても大きく、今まで出場できなかったコンクールにたくさん挑戦していきたいです。
ご支援いただいているすべての方への感謝を忘れず、目標に向かって更に精進してまいります。このたびは誠にありがとうございました。
2008年よりスタートした「音楽奨学支援」は、これまでに100名を超える奨学生を支援しておりますがが、その中から2011年度奨学生の阪田知樹さん(ピアノ)、2015年度奨学生の佐藤晴真さん(チェロ)、2018年度奨学生の大井駿さん(指揮・ピアノ)よりビデオメッセージが寄せられ、今年度新たに対象となった皆さんへエールが送られました。
最後にヤマハ音楽振興会常務理事の大池真人が挨拶し、これまでの活躍をたたえるとともに、「今後も健康と安全に注意し頑張っていただきたい」と激励し、閉式となりました。