このたび2022年度 ヤマハ音楽支援制度 「音楽奨学支援」の対象者4名が決定しました。対象者には、返済不要の奨学金給付の他、個々の状況にあわせて演奏会やレッスン受講等の機会を提供いたします。
4月26日(火)にはオンラインにて認定証授与式を実施し、対象者4名が今後の抱負を交えながら、支援対象者に選ばれた喜びを語りました。ヤマハ音楽振興会理事長・中田卓也の祝辞とあわせてご紹介します。
嘉屋 翔太さん(東京音楽大学/専攻:ピアノ)
僕は以前ヤマハの音楽教室に通っていたので、今回ヤマハの支援のもと奨学生として活動できる事はとても嬉しく、光栄に思っています。
現在、来年5月にドイツで行う演奏会の打ち合わせを行っているところです。このチャンスを逃さないように、取れる機会は全て自分のものにできるようにということを念頭に置いて活動しています。
ようやく新型コロナウイルスの収束の糸口が見えてきたかなという中で、今度はヨーロッパの情勢が非常に厳しくなり不安定な世の中ですけれども、困難な状況だからこそ見えてくる音楽の価値であったり、私たち音楽家がどのように貢献できるのかが問われていると思います。音楽がいかに国境を越える存在であるかというのを改めて見つめ直し、聴き手にもその存在を届けられるような音楽家になりたいと思っています。
水越 菜生さん(桐朋学園大学/専攻:ヴァイオリン)
今回、奨学生に選んでいただいたことに心から感謝いたします。大変嬉しく、身の引き締まる思いです。
私は聴いてくださる方の心に響く演奏ができるバイオリニストになりたいと思って頑張ってきました。そのためには、いろいろなコンクールへの出場やセミナーへの参加を念頭に置いてさらに研鑽を積み、技術だけでなく感性も磨いて、音楽家としても一人の人間としても成長しなくてはと思っています。まだまだ道は遠く険しいのですが、今回いただいたチャンスを最大限に生かして、音楽と自分と日々向き合って精進していきたいと思います。
今、世界の情勢があまり良くない状況ですが、そんな中でも音楽が人々の心を動かしたり勇気づけたりできる事を信じて、頑張っていこうと思います。このたびはありがとうございました。
平井 菜々子さん(パリ地方音楽院/専攻:ハープ)
今回こうして心おきなく音楽に没頭できるようにご支援いただけることに、大変感謝しています。
フランスでは、私が憧れ、とても尊敬している先生方がたくさんセミナーを行っているので、できるだけ多く参加し、たくさん吸収していければと思っています。また、この夏に行われる世界3大ハープコンクールのうちの1つに出場が決まり、現在はそれに向かって曲の完成度を高めているところです。
私は音楽には感情や情景描写がとても不可欠だと思っていて、音楽だけやっていても人の心を動かせる演奏ができないと思っているので、偉大な作曲家たちがたくさん生きてきたこのフランスで、私も同じ景色を見ながらヨーロッパの色彩感を出せるような演奏ができるハーピストになれるよう努力してまいります。
森本 隼太さん(サンタ・チェチーリア音楽院/専攻:ピアノ)
このたびはヤマハの奨学生に採用していただき、本当にありがとうございます。精一杯頑張ります。
僕は、明るくとてもオープンな街ローマで勉強していることをとても光栄に思っています。古代ローマや現在に至る文明の発展をよく理解したいと思い、本を読み始めたり、積極的に友達と話をしたりもしています。
音楽院ではさまざまな音楽家と一緒に学習を進めて、毎日新しい刺激を受け取っていますし、音楽院の外でも音楽家だけに留まらず、たくさんの人との交流を通じて毎日新しい価値観を受け取っているように感じます。
僕がこのローマで勉強していることを、日本での演奏会を通じて日本の皆さんにもお届けできたらなと思っています。頑張ります!
ヤマハ音楽振興会 理事長・中田卓也 祝辞
このたび2022年度ヤマハ音楽支援制度の対象者となられた皆さま、誠におめでとうございます。
皆さまにはそれぞれ目指す姿や描く夢があると思いますが、今回の支援が、その夢の実現に近づく一助となることを心より望んでおります。そして、皆さまの人生の大切な時期にご支援できることを大変嬉しく思います。弊会としては、ヤマハグループ各社とも連携し、これからも多くの音楽学習者の方々を応援させていただくと共に、幅広く音楽文化の発展に貢献してまいりたいと考えております。
皆さまも実感されていらっしゃる通り、コロナ禍において音楽業界は大きな影響を受けてまいりました。しかし一方で、このような状況だからこそ、人と人との絆を深くする「音楽の価値」が見直され、人々の生活に「なくてはならないもの」として再認識されています。皆さんはその「なくてはならない音楽の担い手」です。どうか、高い志を持ち続けていただき、さらに大きく飛躍されることを心から祈っております。