「日本音楽知覚認知学会 平成27年度秋季研究発表会」が、2015年12月5日(土)6日(日)の2日間にわたり、ヤマハ音楽振興会本部(東京都目黒区)にて開催され、全国から約80名の参加がありました。ヤマハ音楽振興会は、これまでも音楽研究の発展のため支援制度等を設けていますが、今回も支援・協力の一環として本研究発表会の場を提供しました。
「日本音楽知覚認知学会」は、音楽学、心理学、音響学、情報科学、音楽教育学、医学・生理学、およびそれらに接する学際領域に関わる研究者が協力し、音楽の知覚・認知に関する研究の進歩を図ることを目的とする学術団体です。
今回の研究発表会は、2日間で17テーマの発表があり、ヤマハ音楽研究所からも4つの研究成果の発表を行いました。
1.「音楽のグループ学習が子どもの発達に与える影響」(河瀬諭研究員)
音楽レッスンが子どもの発達(社会性など)に与える影響を検討するため、ヤマハ音楽教室に通う生徒を対象に行った調査結果の報告。
2.「電子オルガン演奏の脳機構」(小幡哲史研究員)
電子オルガンの奏者の手足の協調運動等と聴覚との関係について、fMRIを用いた実験から、特異的な脳機構について報告。
※fMRI (functional magnetic resonance imaging) はMRIを利用して、ヒトおよび動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法の一つ。
3.「音楽聴収時の自律神経系指標と主観的な心地よさ評価の時系列的比較②」(谷口高士大阪学院大学・情報学部教授、ヤマハ音楽研究所特別研究員)
実験参加者に12曲の現代音楽と古典音楽のピアノ演奏を聴取してもらい、自律神経等の計測と快・不快の主観評価を実施。楽曲ごとの自律神経系指標と主観評価の時系列的変化を比較した結果を報告。
4.「音楽体操は高齢者の認知機能を改善する」(佐藤正之三重大学大学院・医学系研究科准教授)
三重大学・三重県御浜町と紀宝町・ヤマハ音楽振興会の産学官による共同研究。健常高齢者を対象に、音楽体操プログラムを「音楽伴奏有り群」と「音楽伴奏無し群」に分けて週1回1年間実施し、介入前後の認知機能の変化を調査。「音楽伴奏有り群」が認知機能により高い改善効果が認められた。
ヤマハ音楽振興会は、これからも共同研究や研究支援等を通じて、日本の音楽文化の発展と社会貢献に寄与して参ります。