YMFエレクトーンライブVol.14では
アーティストとしての音楽を聴かせたい。
新進気鋭のエレクトーンプレイヤー中野正英さん。2015年5月24日(日)にヤマハ銀座スタジオで行われる「YMF エレクトーンライブVol.14」を直前に控え、その準備で慌ただしい中、お時間をいただいてインタビューしました。
初めてエレクトーンを見たとき「これがやりたい」と思った
●エレクトーンとの出会いを教えてください。
中野正英(以下MN) 実は最初はピアノを習っていたんです。小学校1年のころだと思うんですが、ピアノを習っていた教室の発表会で、他の生徒の方が弾くエレクトーンを初めて見て「僕はこれがやりたい!」と思いました。それが出会いでした。
●エレクトーンのどこが気に入ったのですか。
MN いろんな音色が出せて、リズムも出せるところです。それから音楽のジャンルとしても気に入りました。エレクトーンはフュージョンっぽい曲があってすごくカッコ良かった。音を自分で選んだり、音色をいじったりできるのも楽しかったです。
「クリエイティブ魂」が刺激される電子音
●2011年からエレクトーンプレイヤーとして活動されていますが、中野さんのプレイの特徴はどんな点だと思いますか。
MN 僕は電子音楽的なアプローチが得意なので、そのあたりが自分の個性かな、と思っています。小学校3、4年のころにはやっていた小室哲哉さんの音楽が大好きで、それを入り口にハウスやテクノが好きになって、ジャミロクワイでアシッドジャズを知り、マライア・キャリーでR&Bに夢中になったりと、今で言うEDM(Electric Dance Music)にどっぷりハマっていました。ですからエレクトーンで電子音を多用するのも、僕としては自然なことなんです。
●電子音はどんなところが面白いですか。
MN 電子音って「クリエイティブ魂」が刺激されるんですよ。例えばオーケストラ的なクラシックなら,
音色も音の配置も実際のオーケストラをシミュレーションしますし、ジャズやポップスなら、ドラムやベース、ピアノやサックスなど、実際に演奏で使われる生の楽器に音やフレーズを近づけようとしますよね。でも電子音には、そういうルールは一切ありません。どんな音色でもいいし、どこに配置してもいい。制約もルールも一切なくて、ゼロから自分で発想できます。その自由さが電子音の楽しさだと思います。
●中野さんがアレンジした『ボレロ』を聴きましたが、電子音が印象的でした。
MN 『ボレロ』のように誰もが知っているスタンダードな曲を、エレクトーンの個性に合わせてアレンジするスタイルは、大事にしています。僕もエレクトーンを始めたときには、そういったエレクトーンらしいアレンジの曲に夢中になりました。これはエレクトーンの文化だと思うんです。『中野正英 「ボレロ~electro remix~」』という、僕がアレンジした曲集も、そんな気持ちで作りました。
STAGEA・ELポップスコア5~3級 Vol.5 『中野正英 「ボレロ~electro remix~」』
[収録曲]ミッキーマウス・マーチ/ボレロ 〜electro remix〜/宇宙戦艦ヤマト/糸/イパネマの娘/Emotional high 全6曲
YMFエレクトーンライブは自分にとって特別なコンサート
●5月24日にヤマハ銀座スタジオで開催される「YMFエレクトーンライブVol14. 中野正英」は、どんなコンサートになるのでしょうか。
MN 僕の場合、普段のコンサートはエレクトーンの生徒さん向けであったり、あるいはファミリー向けだったりと、その時々でお客さまのタイプが違いますから、お客さまに合わせてプログラムを組んでいます。でも5月24日のYMFエレクトーンライブは、せっかくのいい機会なので、「アーティストとしての中野正英」をしっかりと見て、聴いていただけるようなプログラムにしようと思っています。具体的には僕のオリジナル曲や、オリジナルのアレンジを中心とした曲を演奏する予定です。
http://www.yamaha-mf.or.jp/el-player/nakano/entry_4274.html
●オリジナルはアルバム『gonna be brave』に収録されている曲ですか。
MN それもありますが、まだCDには収録されていない新しい僕のオリジナル曲もありますので、それらも演奏する予定です。先ほどの曲集『STAGEA・ELポップスコア5〜3級 Vol.5 中野正英 「ボレロ〜electro remix〜」』からも演奏します。
それと素晴らしいメンバーとのアンサンブルを聴いていただけるのもこのライブならではです。ギターに望月優作さん、ドラムには生田目勇司さんを迎えます。望月さんは僕のCDでもギターを弾いてもらっていますし、実は高校の同級生でもあるのでツーカーの仲です(笑)。生田目さんは非常に素晴らしいドラマーで、今回ぜひにとお願いしました。さらにゲストとしてサックス奏者の福井健太さんも参加してくださいます。福井さんには新しいオリジナル曲でウインドシンセサイザーも吹いてもらう予定です。僕自身もとても楽しみです。
●中野さんはエレクトーン指導者としての顔もお持ちですが、エレクトーンを習っている生徒さんにはどんなことを伝えたいですか。
MN クラシックでもポピュラーでもいいので、まずは自分が得意なジャンルを持った方がいいと思います。そしてそれを土台とした上で、幅広いジャンルの知識を持ってほしいです。例えばクラシックが専門の人でもドラムセットのことは知った方が絶対いいし、ジャズの人でもオーケストラアレンジのスコアが最低限読めるような、知識は持ってほしいと思っています。
●最後に今後の目標を教えてください。
MN エレクトーンに関しては電子音を生かした方向性に加えて、ピアノやストリングスなど自然な音色の伴奏で、メロディーの美しさを際立たせた、映像が浮かぶような音楽をやっていきたいと思っています。それからオリジナル曲を作っていますので、いい曲が集まったら、新しいCDを作りたいですね。作曲に関してはエレクトーンの曲だけではなく、CMの音楽やJポップの曲、映画やテレビドラマなどの劇中音楽などにも挑戦してみたいと思っています。
—インタビューを終えて
コンサートを控えての忙しい中、インタビューに答えてくださった中野正英さん。エレクトーンや音楽について話すときの大人びた落ちついた表情と、その日履いてきたスニーカーの話など、たわいない雑談をしているときの若者らしい爽やかな表情のギャップがすてきでした。コンサートが楽しみです。
インタビュー 池谷恵司
中野正英 profile
http://www.yamaha-mf.or.jp/el-player/nakano/profile_biography.html