
音楽を通して子どもたちの豊かな感性を育む活動を続けてきたヤマハ音楽教室。その活動は60余年にわたり、これまでに550万人以上の卒業生を送りだしています。ヤマハが展開する、ジュニアオリジナルコンサート(JOC)、ヤマハエレクトーンコンクール(YEC)、ヤマハジュニアピアノコンクール(YJPC)、ヤマハマスタークラスなどの幅広い音楽教育・普及活動の中から選ばれた出演者によるコンサート「ヤマハ・ガラ・コンサート」は2004年よりスタートし、16回目となる今年は、2019年6月30日(日)Bunkamuraオーチャードホール(東京都渋谷区)にて開催しました。
第1部は、15歳以下の子どもたちが心に感じたことを表現し自ら演奏する「JOC」2017年度の参加作品より、新井遥斗さん(10歳)のエレクトーンソロ『To the Bright Future ~輝かしい未来へ~』で幕開けです。ファンファーレを思わせる明るいサウンドが高らかに響き、華やかなスタートとなりました。市川紗良さん(10歳)はカラフルに変化するハーモニーが印象的な『ワンダーランドの扉を開けて』をピアノソロで披露しました。
続いて、山平爽太さん(11歳・「第3回YJPC B部門第1位」)が登場し、快活でなめらかな『ソナタ 変ホ長調(ハイドン)』、楽しいアレンジの『おおスザンナ』という好対照の2曲を披露しました。「YEC 2018小学生低学年部門ファイナリスト」の吉原良さん(9歳)は、ビッグバンド風にアレンジした『夢をかなえてドラえもん』を熱演。ふたたび「JOC」2017年度の参加作品から、永見怜大さん(15歳)が『IWANA Voyage』を、永見さんのアルトサクソフォンと、ピアノ、ソプラノサクソフォンの3人で披露。サクソフォンのフレーズに呼応する流麗なピアノ、中間部の繊細なカデンツァなど緻密なアンサンブルで会場を魅了しました。
「ヤマハ音楽院 ヤマハマスタークラス ピアノ特別コース」に在籍する小田島薫子さん(14歳)が演奏したのは『波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ「2つの伝説」S.175より (F.リスト)』。さまざまに変化する曲想をドラマティックに、そして優美に描きました。第1部のプログラム最後は、⻆田万実(14歳)さんの『春のいぶき』(2017年度JOC参加作品)です。姉の千果さん(16歳)のエレクトーンにパーカッションも加わった編成で、息の合った迫力のあるアンサンブルとなりました。
第2部は、大友直人氏指揮、東京交響楽団を迎えてのプログラムです。舞台には関根真歩さん(14歳)が登場し、『組曲「不思議の森」』(2017年度JOC参加作品)を共演。多彩に変化するピアノを包み込むようなオーケストラの響きが胸に迫りました。続いて湊真音子さん(17歳)の『始まりの瞬間(とき)』(2017年度JOC参加作品)。静謐なホルンのハーモニーに始まり、後半に向けて少しずつエネルギーが高まっていく曲想を表情豊かに表現しました。
そしてヤマハ音楽教室、JOC出身で、作曲家・ピアニストとして活躍し続ける西村由紀江さんのステージへ。ピアノソロ『あなたに最高のしあわせを』に続いて、今年リリースした通算40枚目となるアルバムから、黒鍵のみを用いたオリジナル曲『黒鍵』。お客さまの中から8歳の男の子がステージに上がり、黒鍵をパーカッションのように和音で弾き西村さんと即興演奏するコーナーも。軽やかなリズムと黒鍵独特のハーモニーで客席を楽しませてくれました。ルノワール作「かわいいイレーヌ」にインスパイアされて創られた『少女がみたもの』は、切ないメロディーがオーケストラとともに壮大なコンチェルトとなり、ドラマティックに響き渡りました。
最後はヤマハ音楽教室の教材としても20年以上にわたり親しまれている『オルゴールを聴きながら』。西村さんの「みんなで歌いましょう」との呼びかけとともに「レファラ・ソファソ…」と、子どもたちの声に混ざって大人の方たちの声も聴こえ、長い間親しまれている曲ならではのひとときとなりました。そしていよいよボーカルの江原陽子さんも加わってのオーケストラバージョンの演奏へ。ワルツや短調、おどけたイメージにとテーマが次々に変奏され、江原さんのあたたかな歌声とともにおなじみのメロディーがよりいっそう冴えわたりました。
「子どもの頃に、川上源一理事長(当時)から『由紀江ちゃん、音楽を楽しみなさい』といつも励ましていただき、その気持ちを忘れずに今も音楽を続けています」と語った西村さん。西村さんの音楽への想いが伝わってくる素晴らしいステージに、会場から大きな拍手が贈られました。
コンサートの模様は7月27日(土)13:00〜13:55、BS朝日にてテレビ放送予定です(再放送は8月24日(土)13:00〜13:55)。ぜひご覧ください。