
ヤマハ音楽研究所は、内外の専門家と協働し、音楽と人、音楽と心や身体の関係をテーマに研究活動を行っています。「音・音楽の魅力や素晴らしさをもっと感じてほしい」との思いで2018年8月31日(金)に中目黒GTプラザホール(東京都目黒区)にて開催した、1~2歳児の親子を対象としたイベント「子育て×音楽~音楽でより深まる親子のきずな~」には、多くの親子連れが来場されました。
午前の部では、初めに「子どもと音楽で遊ぶ -発達心理学からのヒント-」と題し、梶川祥世氏(玉川大学リベラルアーツ学部教授/脳科学研究所)によるセミナーが行われました。子どものころの音楽経験が発達にもたらす影響や、音楽を使った親子コミュニケーションのコツなどについて、さまざまな研究事例を交えながらご紹介くださいました。
午後の部には、「どうして音は楽しいの?-子どもの音体験に寄り添うことから見えてくるもの-」をテーマに、丸山慎氏(駒沢女子大学人間総合学群心理学類准教授/ヤマハ音楽研究所研究員)が登壇。音を体験することは、聴くことだけではなく、空間的、身体的な体験であり、音の出るモノで自由に遊ばせ(=探索的遊び)、それを見守り、受容することの大切さなどを解説してくださいました。
続いて、マリンバ奏者の武井千晴さんによるミニコンサートが行われ、『アメリカンパトロール』『マリンバ協奏曲第1楽章』他、計5曲を演奏。『ラデツキー行進曲』では、配られた手作りのマラカスを手に、子どもたちも思い思いに体を動かしていました。参加者からは「生演奏を聞ける機会が無いので、私自身癒されました」「始めて見るマリンバに子どもがとても嬉しそうでした」などの感想が寄せられ、親子ともに楽しんでいただけたようです。
その後のフリータイムでは、ratatap(ラタタップ)、Mountain Guitar(マウンテンギター)の展示コーナーで子どもたちが大いに賑わいました。
いずれも金箱淳一氏(産業技術大学院大学創造技術専攻教授)が考案した「共遊楽器(造語)」で、ratatapは楽器を鳴らすとキャラクターが飛び出すしくみ。普段目に見えない音を可視化することで、障がいの有無にかかわらず、共に音楽を楽しむことのできる作品です。Mountain Guitarは、弾く真似をする(本体に弦は無し)ことで本体を構える高さに応じたコードを奏でることができ、体全体で音高を感じ、本体を傾けたり揺らしたりすることで直感的に演奏テクニックをまねることができます。初めて見る不思議な楽器に、子どもだけでなく大人たちも興味深そうに見る姿が印象的でした。
<主催者コメント>
音楽をとりまく多様な研究情報を広くご紹介することを目的に、ヤマハ音楽研究所が開設しているウェブサイト「ON-KEN SCOPE」は、4月にリニューアルを行い、(従来の研究者の執筆記事に加えて)<子育て・教育><学び・教養><健康・暮らし>の3つのカテゴリーにて、身近なテーマで気軽に楽しんでいただける記事を掲載しています。