エレクトーン作品コンテスト2019エレクトーン作品コンテスト2018 受賞作品

藤田 真菜美さん
刻ノ狂幻(トキノキョウゲン)
水口 ひなさん
at dusk
小林 里央さん
Bluebottle
藤﨑 美咲さん
Concerto per Theremin e Orchestra
村瀬 萌々香さん
timshel

受賞者コメント

優秀賞:藤田 真菜美さん(札幌大谷大学)

[画像]藤田 真菜美さん
部門
作曲部門
作品タイトル
刻ノ狂幻(トキノキョウゲン)
コメント
この度は、このような素晴らしい賞をいただくことができて大変うれしく思っております。
この曲は、1曲の中に色んな場面が見えてくる曲となっています。
この世界は時間軸が歪み、さまざまな場所へ飛ばされます。皆様がこの曲を聴くときは、自分自身が主人公になり、目を瞑り思い浮かべながら、いろんな事を体験してみてください。皆様を色んな世界へ誘います。
楽器はグロッケン、アコーディオン、ピアノ、ストリングスなど様々な音色で編成されており、電子オルガンで楽しめる曲なので、ぜひ弾いてみて欲しいです。
今回この曲が受賞した事で、私が作曲をこれからもしていく事の自信につながりました。
ご指導してくださった先生方、支えてくれている家族に感謝申し上げます。ありがとうございました。

優秀賞:水口 ひなさん(相愛大学)

[画像]水口 ひなさん
部門
作曲部門
作品タイトル
at dusk
コメント
この度はこのような素晴らしい賞をいただくことができ、とても光栄に思います。
私は一日の終わりを告げる夕焼けの空がとても好きです。夕日が沈むまでのほんの数分の間、様々な表情を見せ、見る人に癒し、切なさ、儚さなどの色々な感情を与えてくれます。
どこか懐かしく暖かい、優しく寄り添ってくれる夕焼けの空のような曲が作れたら…と思い作りました。
エレクトーンには様々な音色を使い表現できるという魅力がありますが、今回あえてシンプルな音色でメロディを1番に届けることを目標とし、フレーズが印象に残るように曲の中に沢山織り交ぜました。
音楽を追求していく中で日々沢山の出会いや発見があり、とても刺激的な毎日を過ごしています。これからも様々な面から追求をして、音楽の、そしてエレクトーンの可能性を更に広げていきたいです。
最後になってしまいましたが、この賞をいただくにあたりご指導いただいた先生方をはじめ、家族、友人、支えてくださった皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

佳作:小林 里央さん(新潟大学)

[画像]小林 里央さん
部門
作曲部門
作品タイトル
Bluebottle
コメント
「Bluebottle」はカツオノエボシという海の生き物をイメージして作りました。カツオノエボシはクラゲの仲間で、青く透けた浮き袋を持っていることから「ブルーボトル」と呼ばれることがあるそうです。響きが良いと思ったので曲名にしました。エイリアンのような奇妙な外見と、毒を持っているため触れると危険な生物である反面、海面を漂う姿は神秘的に思えて、その不思議な感じを曲にしてみたいと思いました。
大学では現代音楽の作曲を学んでいます。これまでは4または8小節単位でないとフレーズを考えることができなかったり、決めた拍子に収めるメロディーの作り方をしていましたが、大学での勉強を経て、自由なリズムや拍で考え表現できるようになってきました。エレクトーンでの作曲にも活かせるようになり、この曲ではブルーボトルの漂うイメージを自分の思うように表すことができたと思います。
この度は賞をいただくことができてとてもうれしいです。

佳作:藤﨑 美咲さん(会社員)

部門
作曲部門
作品タイトル
Concerto per Theremin e Orchestra
コメント
この度は佳作にお選びいただきまして、大変うれしく思います。
「テルミンとオーケストラのための協奏曲」と題したこの曲は、元々テルミンの協奏曲を作ろうとして出来上がったものではなく、主題が決まったあとで歌わせる音色にテルミンを選んだという経緯から成ります。エレクトーンはボタン一つで様々な音色に変えられ、申し分ないほど多種多様なエフェクトや波形のエディットまでできますから、無限の可能性の中からしっくりくる音色を模索できました。
このテルミンが奏でる第二主題の音色選びに時間がかかった曲で、そのあとはどんどんと次の音が聴こえ作曲できたので、楽器の音色の持つ力には大きいものがあることを実感いたしました。
今後もこの賞を励みに、さらなる邁進を続ける所存でございます。最後になりましたが、応援してくださったすべての皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

佳作:村瀬 萌々香さん(名古屋音楽大学)

[画像]村瀬 萌々香さん
部門
作曲部門
作品タイトル
timshel
コメント
この度はこのような素晴らしい賞をいただくことができ、大変うれしく思っております。
今回応募させていただいたオリジナル曲「timshel(ティムシェル)」とは、ジョン・スタインベックの古典文学「エデンの東」に登場する有名な台詞で、作品の核となるテーマになります。ヘブライ語で「汝、意思あらば、可能ならん」と言い、「自分の運命は、自分で切り開いていかなければならない。」という意味があります。以前から、新しいジャンルに挑戦し、新しい自分を見つけようと思いました。この曲が自分の運命を切り開く一歩になればいいなと思い、作曲しました。まだまだ勉強不足なので、これからも色々な音楽や理論を学び、多くの方々を感動させられる作品、演奏ができるよう日々努力し、私らしく音楽と向き合っていきたいと思います。
最後になりましたが、審査してくださった審査員の皆様、いつもご指導してくださっている恩師の先生方、この曲を聴いてくださった皆様、支えてくださったすべての方々へこの場をお借りして心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

審査員コメント

新垣 隆氏

昨年に続き、今回も審査を務めさせていただきました。前回同様、様々なスタイルのものが寄せられ、それも演奏、作品の完成度が高く、音楽を聴くことの悦びに素直に浸り、作曲家である私にとって大変啓発される機会となりました(それは審査という行為がとても困難であるということでもあります)。
「作曲」のひとつの主眼である「この音の流れは、次にどうなっていくのだろう」と常に耳を捉えて離さない、音によるストーリー展開のおもしろさ__がここでの私の判断基準となりました。それは一つの曲の中にいろいろなキャラクターが登場することかもしれないし、逆にちょっとした落差の設定だったり、あるいはひとつのことが連綿と続いているのに気づいたら全く別の風景になっていたり、など、あらゆる可能性がありますね。※
皆さんには今後も様々な試行錯誤を臆することなく続けていってほしいと思います。もちろん「自分には確固としたものがある。だから周りがどうあろうとも気にせず、自分というものを貫いていくのだ」もオッケーですよ。実は自分がそうなので(笑)
※また、あるいは「パターンの中にこそ、自由がある」というのもでてくるかもしれない。音楽も世の中のあらゆる事と同様、複雑なものですね!

守屋 純子氏

今回、どの曲も素晴らしい作品ばかりで、一次審査の段階でも外して良いと思える曲がない中、<心を鬼にして>曲数を絞りました。当然の帰結として、最終審査に残った16曲は、更に粒揃いとなり、点差をつけるのは困難な作業でした。
それでも、何らかの基準を持って点数をつけなくてはいけなかったわけですが、<より心に響いた曲に良い点を!>なんていう甘い基準では到底無理でした。どの曲からも、作曲者の意欲と熱意が伝わり、心に響きましたから!
そこで、<曲を通して作曲者が表現したいこと、主張したいことがより伝わって来るか><曲の流れや展開がより自然に、スムーズに感じられるか><アイディアや発想の断片をより具体的に、明確に発展させているか><構成に必然性が感じられるか>といった様々な要素を総合的に判断したつもりです。
しかし、とにかく、どの方もそれぞれ自由でユニークなアイディアとコンセプト、それを表現するための、高度な作曲能力と演奏技術を持っていらっしゃることに感心いたしました。エレクトーンは、あらゆる楽器の音色が出せ、無限の可能性を持っている<魔法の楽器>です。何が飛び出すか予測のつかない楽しさがあります。皆さんには、今後も、この楽器の特性を生かした素晴らしい作品を次々と作っていただき、またぜひ聴かせていただきたいと思います。

林 祐介氏

まずは皆さん、作曲活動本当にお疲れ様でした。
今回はプログラミング、ミキシングに大きな問題を抱えている作品は少なかったと思います。
一部リバーブが掛かりすぎていて、音が飽和してしまっている楽曲がありました。
特にオーケストラ系の音色にはリバーブを掛けたくなる気持ちは分かりますが、一つひとつに深く掛けてしまうと重なった時にもやもやしてしまいます。
特殊な効果を狙う時以外は自然な残響の量にしてすっきりさせておいた方が多くの場合良いです。
緻密に練られたリズム、洗練された音色、印象に残るメロディー、雄大なオーケストレーションなど、個性あふれる力作揃いでとても聴き応えがありました。
また譜面を見るとパートの割り振りがよく考えられており、電子楽器の魅力をしっかりと引き出している曲もありました。
さらにはプロ顔負けの演奏があったりと、とても難しい審査となりました。
そんなハイレベルなコンテストであったので、音楽にとって最も大切である’個性’がより感じられる楽曲や、音楽的に特徴のある所謂’面白い曲’を選ばさせていただきました。
今回受賞された方も、そうでなかった方も独自の世界があって素晴らしかったと思います。
今後もぜひ良い音楽を作り、そして演奏を楽しんでいってください。
皆さん一人ひとりが活躍されることと思います。