選曲は何日もかけ、エレクトーンに向かったら完成まで一直線!
●今回の演奏曲に限らず、アレンジはどのように進めているのですか?
選曲でも何曲も何枚も、何日もかけてCDを聴きますが、曲を決めたらさらに違う演奏の録音を幾通りも聴きます。たくさん聴くと「こういう演奏や解釈があるなら、自分はこうでもいいかな」とアプローチに自由度が広がるんです。構成を固めて、楽器に向かうのはかなり最終段階になってから。テンポも決めてタッチの使い方が変わらなくなってから、レジストを作り始めます。そこから完成までは一直線、ということが多いです。
●本番に向けての練習方法や心構えなどを教えてください。
子どものころは「いつか体が覚えるだろう」と頭を使わずとにかく何回も何回も弾いていました。これが、すごくよくなかった…。今は弾けるところと弾けないところを、勇気を持って分類します。例えば5分の曲を6回弾いたら30分。でも弾けない2小節の10秒をピックアップして、同じ30分で練習したら180回弾けるんです。気持ちいいから弾けるところを弾きたくなるものなんですが(笑)、弾けないところをピックアップすることが大事で、大変なんですよ。 本番のステージでは練習したことが全部はできないもの。違う音が鳴るものなんです。これを読んでくださってる皆さんも、音符を間違えることよりも大事な、音楽の流れを見失わず、自信を持っていい演奏をしてください。
●コンサートではそんな睦樹さんの姿勢も楽しみに(笑)聴かせていただきます。
曲は少し難しいものもあるかもしれませんが、エレクトーンって楽しいなと思ってもらえたらうれしいです。エレクトーンは楽器としての個体はひとつなのに、そこから出てくる世界はいろいろで、どんな音楽の世界にも対応してくれる。もしかしたらふだんはあまり聴いていない音楽や音色が出てくるかもしれません。その発見が、聴いてくださる方の何かしらのきっかけになってくれるといいなと思います。
渡辺睦樹リサイタル~Organism~の詳細はこちら>>> http://www.yamaha-mf.or.jp/el-player/watanabe/entry_4783.html
―インタビューを終えて
インタビュー終了を伝えると「あぁ、よくしゃべった!」とおっしゃった睦樹さん(笑)。プログラムやエレクトーンについて、言葉を尽くしてお話をしてくださいました。残念ながら書ききれなかったこともありますが、それはリサイタルでの音のひとつひとつの裏側に、しっかりと込められることと思います。