ジュニアオリジナルコンサート(JOC)、ヤマハジュニアピアノコンクール(YJPC)、ヤマハエレクトーンフェスティバル(YEF)、ヤマハマスタークラスなど、ヤマハが展開する幅広い音楽教育・普及活動で、その才能を育む若き音楽家たちが年に一度集うスペシャルコンサート「ヤマハ・ガラ・コンサート」。第19回が、9月10日(日)東京芸術劇場コンサートホール(東京都豊島区)で開催されました。
コンサートのオープニングは、エレクトーンプレイヤーの渡辺睦樹さんによる特別委嘱作品『「黎明(れいめい)」~トランペットとオルガンのための~』の初演が飾ります。パイプオルガンが荘厳な音色を響かせ、トランペットの透明感あるメロディーとともに徐々に明るさを増していくような“黎明=新しい時代の始まり”を感じさせる楽曲で、渡辺さんのヤマハで学ぶ人たちへ向けた温かな想いが溢れていました。
第1部の前半は2022年度のJOC作品からの演奏が続きます。演奏前には自己紹介動画が映し出され、曲への想いなどを聞くことができました。今回最年少の大礒由衣(おおいそゆい・9歳)さんは“夢”をテーマにした『Believing heart ~夢をえがいて~』をエレクトーンで演奏。伸びやかに進んでいくオーケストラ曲で、堂々とした演奏を披露しました。
小林直史(こばやしなおと・12歳)さんは、ナポリの舞曲であるタランテラの楽曲『ぼくのタランテラ』。毒グモ・タランチュラに噛まれ毒を抜くために踊り狂っている……そんなちょっと恐ろしいシーンをピアノで表現しました。
ミュージカル風の楽しいナンバー『Fancy Cats Overture』を演奏したのはエレクトーンの髙橋美礼(たかはしみれい・12歳)さん。多彩なシーンを次々に繰り広げ、華やかなステージを展開しました。
ピアノの堀川奈愛(ほりかわなな・11歳)さんは、色をテーマにした3曲からなる『ソナチネ「COLORS」』を。『Ⅰ.Shiny Yellow』『Ⅱ.MarineBlue』『Ⅲ.Popping Rainbow』で、色鮮やかなイメージが伝わるメロディーや和声を軽やかに紡ぎました。白いドレスに音が映えるようでした。
バイオリンとの共演で登場したのは出雲沙弥(いづもさや・15歳)さん。“感情”を意味する『Emotion』で、怒りと優しさという正反対の心模様を映し出します。バイオリンの音色を生かした調和ある美しい響きが、会場を魅了しました。
続く石崎夏向(いしざきかなた・11歳)さんは第7回YJPCのB部門(10歳以下)で第1位を受賞。プーランク『15の即興曲より 第1番ロ短調 第15番ハ短調「エディット・ピアフを讃えて」』を味わい深く丁寧に紡ぎ、聴衆を惹きつけました。
ニールセンの『交響曲第2番「四つの気質」作品16より第1楽章』というスケールの大きな楽曲を演奏したのは、YEF2022小学生高学年部門で第1位を受賞した増田和輝(ますだかずき・13歳)さん。“短気で移り気、前向きでエネルギッシュ”という気質を、立体感あるオーケストラサウンドでダイナミックに表現しました。
そして第1部最後は再びJOC作品から。ライブでは初めてとなるアメリカからの出演を果たしたのは、ランドン・クルーンさん(12歳)。アコーディオン、チェロとともに、スリリングなフェンシングの世界を、3曲立ての組曲『アン・ガルド! ~内なる闘い~』で。不安や緊張、興奮など、音による心理描写に引き込まれてしまいました。
そして第2部。ガラコンサートのハイライトとなる“オーケストラとの共演”が今回も実施されました。指揮の大井駿さん率いる東京フィルハーモニー交響楽団とピアノで共演した一人目は、井本在樹(いもとありき・10歳)さん。JOC参加作品『Journey of Discovery ~行こう!新大陸へ』で、大航海時代の胸躍る冒険をオーケストラとともにドラマティックに作り上げました。小さなソリストの堂々たる演奏には、オーケストラメンバーからも温かな拍手が贈られていました。
コンサートの最後を飾ったのはヤマハ音楽院ヤマハマスタークラスピアノ特別コースで研鑽を積む上原悠(うえはらゆう・20歳)さん。ラヴェルの『ピアノ協奏曲ト長調』全楽章の演奏で、トリッキーさもある第1楽章から観衆の耳をぎゅっと掴み、静謐なピアノソロを聴かせた第2楽章、テクニカルな第3楽章と、どんなシーンもオーケストラを従えて冷静にピアノを歌わせる姿が印象的。若きピアニストの頼もしい姿に、客席からは賞賛の嵐が巻き起こりました。
- 前編
- 10月21日(土)13:30-14:00
- 後編
- 10月28日(土)14:00-14:30
- 再放送 前編
- 11月11日(土)23:30-24:00
- 再放送 後編
- 11月25日(土)23:30-24:00
協賛:三井住友海上火災保険株式会社、ヤマハ株式会社