1歳の子どもをもつママで、ピアノやエレクトーンの生演奏をゆったり聴いたり、楽器で遊んだり、音楽にあわせて親子で体を動かしたりといった経験をしたママに、音楽をすることによって赤ちゃんとママにどのような変化があるか聞いてみました。するとこのような回答が…。
「一緒に歌って!」とよくせがまれるので私もともに歌うことが多いです。とても幸せなひとときで私にも心のゆとりが生まれ、子育てや子どものイヤイヤ期に柔軟に対応できるので、子どもにとってもプラスになっているのではと思います。
体を使って音楽を楽しむことがすごく楽しいようで、ご機嫌が悪いときに再現すると機嫌が直ることがあり、助かっています。
以前は、何で子どもとコミュニケーションをとればいいかわからなかったのですが、音楽を通じて、子どもと一緒に楽しむことができるようになりました。
一緒に音楽を楽しむ経験をしているので、日常生活の中でも、ふと聞こえてきた音楽など、自然と一緒に歌ったり踊ったりして、音楽に親しんでいると思います。そのようなときは、子どもも私も笑顔でリラックスできていると思うので、教室に通う前より、コミュニケーションの幅が広がり、育児も楽しめるようになっていると思います。
ママたちがこのような変化を実感できるようになったのはなぜなのでしょう。発達心理学でとくに乳幼児と音楽について研究されている玉川大学リベラルアーツ学部/脳科学研究所教授の梶川祥世先生に聞いてみました。
「6カ月の赤ちゃんと保護者に半年間、週に1回1時間、音楽を使ったセッションに参加してもらい、成長の様子を調査した研究があります。そのとき、保護者にも積極的に歌をおぼえ、赤ちゃんの発達的な変化を注意深く観察するようにお願いした親子の赤ちゃんは、音楽をBGMとして流していた親子の赤ちゃんより、音楽に対する反応がよく、よく笑い、落ち着きやすい、などの傾向があることがわかりました。
保護者の育児への積極的なかかわりが、赤ちゃんや子どもの社会性やコミュニケーション力を育てる助けになるとよくいわれますが、ママたちがいつも育児に積極的な気持ちをもてるとは限りませんよね。そのようなときでも、音楽は赤ちゃんと楽しくかかわるきっかけになりそうです。ママ自身が歌うことに自信がなくても大丈夫。赤ちゃんに歌いかけたり、一緒に音楽を楽しんだりしてください」(梶川先生)
梶川 祥世(かじかわ さちよ)
玉川大学 リベラルアーツ学部 教授/脳科学研究所
専門:発達心理学