お母さんやお父さんの声、テレビやラジオの音、生活音、雨や風など自然の音など、赤ちゃんは生まれたときから、いろいろな音や音楽に囲まれています。日常の中で耳にする音の中から「この足音と声はママかな」など、ある特定の音の集まりを特定の人と結びつけたりすることもできるのだそう!
生後6カ月くらいになると、繰り返し聞いた歌やメロディを、違う楽器で演奏したり、オクターブを変えて演奏したものを聞いても、同じ曲だと認識できるのだとか。
赤ちゃんとの絆を育むには、お母さん、お父さんと赤ちゃんがお互いの顔を見て、手や足を触ったりして、「楽しい」「心地よい」感情を表現しながら、語りかけや歌いかけを経験することが重要だそうです。具体的には、次の3つの歌いかけがおすすめです。
こうした親と子の相互作用については、コミュニカティブ・ミュジカリティ(Communicative Musicality)ととらえる新しい概念です。歌やメロディなどに限定された「音楽性」ではなく、親子間、赤ちゃんと大人の相互作用の中で生まれる、触覚、視覚、 聴覚を通したやりとりそのものを「音楽性」ととらえる概念です。
親子で触れ合いながらの歌いかけを繰り返すことで、赤ちゃんは周囲から聞こえる音楽や言葉の意味・内容、ひいては音楽が表現する感情をも聞き取れるようになります。
まだ小さな赤ちゃんに音楽を聞かせたり、歌を歌ったりすることに意味があるのかな?と疑問に思ったことはありませんか? 言葉の話せない赤ちゃんでも、実はしっかりと音や言葉、メロディを聞いて、認識しています。赤ちゃん自身が自分で声を出したり、体を動かしたりすることで、豊かな音楽性が育まれていきます。
親子で触れ合いながらの歌いかけを楽しんではいかがでしょうか?
志村 洋子(しむら ようこ)
所属:埼玉大学名誉教授、同志社大学赤ちゃん学研究センター研究員
専門:博士(教育学)、乳幼児音楽教育学、声楽