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第1回では「音感」というのは幅が広く、定義づけが難しいものだというお話を伺いました。今回は、絶対音感と音感の違いや、子どもに絶対音感をつけさせたほうがいいのかなどを、引き続き小川容子先生にレクチャーしていただきます。
連載
絶対音感だけじゃない!子どもの「耳の力」を育む要素とは?

「絶対音感」にこだわらず 音楽を楽しもう

子どもに音楽を習わせるときに「絶対音感が身につくかどうか」が話題になることがあります。そもそも「音感」と「絶対音感」はどう違うのですか?

前編でもお話したとおり「音感」は定義づけられない言葉ですが、「絶対音感」(absolute pitch)には定義があります。絶対音感について、これまでの研究でさまざまなデータが提示されていますが、「絶対音感の有無」のとらえ方は、研究者のスタンスによって変わります。

「ド」の音を聞いたら「ド」だと聞き分けることができる力が、絶対音感だと思っていましたが、それだけではないのですね。

絶対音感にも程度や幅があり、自然界の音やテレビから聞こえてくる音までわかることなのか、あるいは音大の受験にあるようなピアノによる聴音ができることなのか、440ヘルツの「ド」の音と439ヘルツの「ド」の音の違いがわかることなのか、とらえ方はさまざまです。

子どもが音楽の習い事をしたり、楽器を演奏したりする上で「絶対音感」は身につけたほうがよいのでしょうか?

たとえば、音響技術の専門家をめざすなら、微細なところまで聴き分けられる絶対音感が求められるかもしれません。絶対音感が、何か特別な力であるようなイメージが先行しているのかもしれませんが、絶対音感の有無は、音楽を楽しむ上でひとつの側面にしか過ぎず、「音感」の有無とはあくまでも別の話です。

 

絶対音感を身につけるために「ド」の音を覚えるのではなく、子どもたちが音楽を聴いたり、歌ったり、演奏したり、楽しくレッスンを続けることのほうが、大きな意味があると思います。

では「音感」を身につけるにはどうしたらいいでしょうか?

繰り返しになりますが、音感に絶対的な定義はありません。音程がわかることも音感の一つです。リズム感があること、お友だちと合わせて演奏できることも音感だととらえられます。どれも大事ですが、どれかだけに特化するものでもありません。「音感」は、音程、拍子、リズム、強弱など、音楽を形作るさまざまな要素が、点や線ではなく、網の目のように広がっている状態をイメージしていただけたらいいと思います。

 

私たちはみんな、日々の暮らしの中で音楽を聴いています。音楽が楽しい、心地よい、おもしろいから聴く→聴くと別の面白さに出合う→もっと聴きたくなる、こうしたよい循環が子どもたちの中に生まれるように、大人がサポートしてあげることで、豊かな音楽環境を作れるのではないでしょうか。

「絶対音感」と「音感」が別物であること、「音感」には、音楽のさまざまな要素が含まれていることがわかりました。まずは親子で好きな曲を聴いたり、一緒に歌ったり、体を動かしたりして、日常生活の中で音楽を楽しむことからスタートしてみましょう!

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◇プロフィール

小川 容子(おがわ ようこ)

岡山大学大学院 教育学研究科 教授

専門:音楽教育、音楽認知心理学

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