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子育て・教育
親が「待ってあげること」が、子どもの脳の成長に有効なトレーニングになる、というのが前回のお話でした。実際、私たち親の言動は、子どもの脳に良くも悪くも大きな影響を与えているようです。今回は、「待つこと」を実践するうえで、見直したい習慣や、心がけたい接し方などについて、引き続き加藤先生に伺っていきます。

子どもの「聞く力」が伸びる親子の話し方

どんなときでも、すぐに言い返さない

子どもにとって親の言動は、脳の成長を促す“栄養”なのですが、その言動次第では、逆に脳の成長を妨げてしまうこともあります。中でも、脳の聞く力を育てるうえで、お父さんお母さんにこれだけは絶対にして欲しくない、という行動がひとつだけあります。それは、「すぐ言い返す」こと。

 

忙しいときや急いでいるとき、子どもが何か言ったり、ぐずったりすると、「でも、○○でしょ!」「だから、それは○○なの!」と、瞬時に言い返したくなりますよね。しかし実はこの行為は、聞く力だけでなく、子どもの脳全体の発達を妨げてしまう、非常に危険な行為なのです。子どもの話を最後まで聞かず途中でさえぎったり、話を聞いたあと、すぐ頭ごなしに反論したり……。これを続けていると、子どもの脳の聞く力は育たなくなってしまいます。

しっかり伝えたいときほど「間を取る」のが大事

今までお伝えしてきた通り、子どもの脳は未熟なので、複数の脳番地を同時に働かせることがうまくできません。子どもにとって、聴覚系脳番地で相手の話を聞き、理解系脳番地で内容を理解する、というのは、とても高度な脳の働き。大人と違って、聞いた内容を理解するまでには、少し時間が必要なのです。

それなのに、お父さんお母さんに矢継ぎ早に話をされると、言葉の意味を取る時間がなく、話の中身をきちんと理解する余裕もありません。これが日常的に続くと、意味ではなく「音」のみ、つまり話の表面しか聞けない脳になります。また、話をしっかり聞かず、理解もできないと、その後の情報の行き先である思考系や伝達系の脳番地も働かないので、脳全体が使われる機会を逸してしまうのです。

 

ですから、親子で話すときは、上手に「間」を取って、子どもが脳番地の処理を順番に進めていく時間を確保することが大切。そのためには、「瞬発的に返答せず、一拍置いてから話し始める」「子どもが何らかの反応をするまで次の話はしない」「子どもの返答を急がずに待つ」というのが理想です。

お父さんお母さんは、子どもの脳に考えさせるだけでいい

とは言っても、忙しい毎日の中で、これを全て意識して実践するのは難しいと思います。まずは、「話すスピードをゆっくりにする」ことから始めてみましょう。身近にいる、ゆっくり、のんびりな人をイメージしながら、おっとりとしゃべる。これを続けるだけで、子どもの脳の聞く力・理解する力はグンと伸びるはずです。

 

私のクリニックや講演会などでもよく感じるのですが、おっとりと話す親御さんのお子さんは、総じて頭がよかったり、脳の成長が早かったりします。おそらく、親御さんがゆっくり話すおかげで、子どもの脳で「考える」時間がしっかり確保されているのでしょう。

 

「まだできないの?」と急かしたり、「こうしたら早いのに」と先回りしたりしてアドバイスするより、たとえ時間がかかっても、子どもが自分の脳を働かせているのをだまって見守るほうが、脳の成長にはずっと役立ちます。忙しい毎日の中で大変だとは思いますが、その余裕が、その後の子どもの脳に大きく影響してくることを、どうか忘れないでください。

子どもの聞く力を育てるためには、「間を取ってしゃべる」「おっとり話す」ことが大切。でも、時には子どもがワガママを言ったり、いたずらが過ぎたり、危ないことをしたりして、つい声を荒げてしまうときもありますよね。次回は、そんな「大声で叱られた」状態の子どもの脳の様子、また、大事な場面において伝えたいことを子どもの脳へきちんと届ける方法についてお伝えします。

 

※次回は9月に掲載の予定です。

◇プロフィール

加藤 俊徳(かとう としのり)

1961年新潟県生まれ。株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長。小児科専門医。昭和大学客員教授。発達脳科学・脳機能生理学・MRI脳画像診断・脳機能計測の専門家。MRIを使って脳を画像化し、独自の方法で分析・診断することで、個人に合わせた脳の育て方やトレーニング法を指導。テレビ・ラジオ番組出演のほか、『脳の強化書』(あさ出版)、『男の子は「脳の聞く力」を育てなさい』(青春出版社)など、著書多数。

取材・文:横山 香織(よこやま かおり)

1979年、新潟県生まれ。編集プロダクションを独立後、フリーランスの編集・ライターとして活動。現在は3人の子どもを育てながら、絵本・子育て・健康医療等をテーマに、WEBサイトや書籍、広告媒体で執筆中。

 

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