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子育て・教育
子どもの脳は、自分を取り巻く環境にあるものをお手本にし、情報を得て、どんどん育ちます。ですから、お父さん・お母さんが普段どんな言葉を使うか、どんな聞き方をするかが、子どもの脳の成長に大きく影響してくるそう。連載の最終回は、親のどのような言動が子どもの脳の栄養になるのか、について伺っていきます。

脳の一番の栄養は、お父さん・お母さんの言葉

脳は、遺伝子よりも「環境」や「人との関わり」に影響される

今まで、子どもの「脳の聞く力」を伸ばすための方法をいくつか紹介してきましたが、「人の脳ってそんなに簡単に変えられるの?」「脳の潜在能力って、生まれたときから決まっているのでは?」と、疑問に思う方もいるかもしれません。

 

たしかに顔や身体つき、体質などは、親から受け継いだ遺伝子によっておおよそが決まります。でも、「聞くのが得意」、「話すのが苦手」……などの脳の特徴は、あくまでも「脳番地への栄養」が決め手。どのような環境で、どのような“情報”や“経験”を得たかということが脳への栄養となり、それによって脳は成長の仕方を変え、個性を表していきます。

 

さらに、子どもの脳は、大人よりも格段に吸収力が高く、自分の身のまわりにあるものから影響を受けやすいもの。そして最も影響を与えるのは、一番身近な「親」という存在です。中でも、生活の中で何度も繰り返される親の「習慣」や「口ぐせ」は、子どもの脳への影響が非常に大きい。親子の性格や行動傾向が似てくるのはそのためなのです。

子どもたちは日々、家の中で「脳の使い方」を学んでいる

ですから、お父さん・お母さんが、家庭の中でどんな聞き方、接し方をしていて、どんな言葉を使うか、そして行動するかが、子どもの脳の聞く力に大きく影響してきます。

たとえば、子どもには「人の話は目を見てしっかり聞くように」と言いつつも、親自身は子どもやパートナーの話を“ながら”で聞いたり、きちんと最後まで聞かず口をはさんだりしていませんか? また、子どもには「ぐずぐずしないで」と言いつつ、親はブツブツ文句を言いながら子どもの世話をしたり、面倒くさがりながら家事をしたりしていませんか? そのような親の言動を子どもは見て、そこから脳の使い方を学んでいるのです。

「親の意識」と「子どもへの言葉」を少しだけ変えてみよう

子どもの脳の聞く力を育てるため、ぜひお父さん・お母さんは自分の習慣や口ぐせを見直し、子どもの脳の栄養になるような言葉を選びましょう。以下、簡単なコツをご紹介します。

 

◆話を聞くときは「聞いている」ことがわかる言動をし、ときどき顔を見る

家族が話していても、スマホを見ながらうなずくだけ……この様子を子どもが学んでしまうと、話を半分に聞いてしまう脳になってしまいます。もし手が離せない状態で話を聞く場合は、聞いていることがわかる言葉がけ(「そう、それはよかったね~」「そっか、大変だったね~」など)をしてください。また、脳には“顔細胞”と呼ばれる顔を認識するための細胞があります。顔をあわせて話すと、より脳の働きがよくなるので、できればときどき手を止め、一瞬でもいいので目をあわせるようにしましょう。

 

◆瞬時の「言い返し」をやめ、相手の言葉をいったん受け取る

家庭内で子どもの脳の成長をいちばん阻むのは、「相手の言ったことを聞き入れず、はねのける」という習慣。大人同士が瞬時に言い返しあい、「でも」「だけど」ばかりの会話を常に聞かされていると、子どもも言い返す能力が強く育っていきます。ゆくゆくは、相手の意見を聞き入れない脳になってしまうでしょう。家族の会話では、まずは「そうだね」と、相手の言ったことを一度受け取ることが大切。異なる意見をはね返すのではなく、情報をいったん脳に入れて「わかろうとしてみる」ことが、子どもの脳の成長につながります。

 

◆脳を育てるほめ方は「途中でほめる」「事実を伝える」

子どもの脳のために親が与えられる“いちばん大切な栄養”は何ですか?と聞かれたら、迷わずに「ほめること」と答えます。ポイントは、「途中でほめること」と、「事実を伝えること」です。例えば、お母さんのお手伝いなどは、すべて終わってからではなく半分ほどで「もう半分やったの!?」と事実を伝えるかたちでほめる。宿題などは、途中どころか取りかかったときに「もう机に向かっているんだね!」とこまめにほめる。大切なのは、おだてるのではなく、今の子どもの達成状況を嬉しそうに言葉にすること。そんな親の言葉が、子どもの脳を適切に動かし、本気で取り組むことを促すスイッチになるのです。

 

約半年にわたりお送りしてきた「子どもの脳」と「聞く力」に関する連載、いかがでしたでしょうか? 脳全体の成長を促すために「聞く力」が欠かせないこと、その力を伸ばすために親ができる様々なこと、またそれは簡単な心がけですぐ実践できること、などがわかって頂けたと思います。加藤先生いわく、子どもの脳の成長に「もう遅い」ということはないし、大人になってからも栄養を与え続ければ、脳は一生、成長できるのだそうです。子どもの脳の可能性を信じ、育てていきながら、私たち親も共に成長していけるといいですね。

◇プロフィール

加藤 俊徳(かとう としのり)

1961年、新潟県生まれ。株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長。小児科専門医。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。MRIを使った加藤式脳画像診断で脳分析することで、個人に合わせた脳の育て方や脳番地トレーニング法を指導。テレビ・ラジオ番組出演のほか、『部屋も頭もスッキリする!片づけ脳』(自由国民社)、『男の子は「脳の聞く力」を育てなさい』(青春出版社)など、著書多数。

取材・文:横山 香織(よこやま かおり)

1979年、新潟県生まれ。編集プロダクションを独立後、フリーランスの編集・ライターとして活動。現在は3人の子どもを育てながら、絵本・子育て・健康医療等をテーマに、WEBサイトや書籍、広告媒体で執筆中。

 

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